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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
10章 墓地エリア
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188話 恐怖魔法と階層の狭間

「そろそろ沼地を抜けてもおかしく無い位だな」


添島が呟く。

俺としては早く抜けて欲しい。


俺達はゾンビウィルスから復帰した皆と共に再び探索に乗り出して蝙蝠系のモンスターを軽くあしらった所だ。


森墓のハロウィンからヴァンパイアを想定したが、そんな事は無かった。


ただ、ブラッドバットと言う蝙蝠型のモンスターは血を吸うと得るエネルギーから眷属を生成できる能力を持っていた。


だが、ブラッドバットの牙だと俺達の鎧は貫けない。


そして、耐久力も低く範囲攻撃で一気に焼き払える。


みんなは休憩を取れば、マナは回復するから良いものの俺とアクアは交互に休息を取る事しか許されない。


重光の場合は、探索を進めている時だけはフル稼働だが土台は魔力供給が終わっても存在し続ける為に土台の修繕以外で魔法を行使する事は無かった。


よって、俺とアクアにかかる負担は途轍もなく大きい。


もう俺に至ってはインプレス一、二発撃てれば良いレベルまでマナが減少している。


戦闘でも俺のエンチャントはほぼ必須と言っても過言ではない為それは仕方が無い事だ。


だから、非戦闘時はアクアのオリヴィエを主体にしていたのだが、俺とフレッシュゴーレムとの戦闘でアクアの聖属性エンチャントの威力の方が沼地のアンデッドと相性が良い事が発覚してアクアも重要戦闘員になっている。


重光の魔法も使えるが、並立詠唱の状態になる為強力な魔法が撃てない上に詠唱時間は長くなる。


それだと明らかに手数不足である。


強いて言うならば山西が多少属性を扱える為重光の負担は多少軽減されたと言える。


この先が思いやられる。


そう思った矢先、地面に怪しい巨大な穴が見える。


え、何だあれ……。地面に大きな穴が空いており、その周りを蔦が巻きついて落とし穴の様になっている。


オートマップを確認するとそこが次の階層への入り口を示していた。


「あの穴に入れって言うのか?」

「そうみたいだな」


次の階層も瘴気がある可能性も否定出来ないが、ここが最後だと思って使うか……。


穴の入り口を塞いでいる植物を退かす為に俺はアクアと協力して蒼い炎でインプレスエンチャントを発動して蔦を断ち切る。


聖属性込みで良かった……。


その蔦はフレッシュゴーレムと同じ様に光の粒子を飛ばしながら消滅して行く。


中途半端に倒してしまうとアンデッド系モンスターは死なないからな。


もう死んでるけどな……アンデッドの死亡表現ってどう言えば良いんだろうな?


帰還とかか?

まぁ良い。


重光にネットの魔法を使って貰って俺達は穴に飛び込む。


その瞬間視界が歪む。


「「恐「楽「ようこそ「ようこそ」よく来たね」しみましょう?」れよ」」





「うがぁぁぁあ!」


何なんだよ!一体何だと言うんだよ!

複数の様々な声が頭の中を伝い、目の前の視界がぐるぐると回り始める。


頭が痛い!


「キュイイ!」

「っ!?」


アクアが、オリヴィエを唱えた途端ピタリとその声は聞こえなくなった。


「これは恐怖スケアーの魔法ね……この部屋に罠として設置してあったのね……」


こんな事は初めてだ。


俺達は完全に階層の狭間は安全地帯だと思い込んでいたんだ。

ここも既に階層の一部だ。


ここも本来であれば注意して行動しなくてはならない筈だ。


そうであれば、ジジイの拠点がある階層も……。


もしかしたら、沸いているのかも知れないな。


だけど、第零階層と言われているあそこは階層区分では無いのかも知れない。


エルキンドの話だとここは元の世界のロークィンドから隔離された迷宮だ。


そうなれば、この迷宮の第零階層は元ロークィンドに当たる部分を仮想形成した部分とも取れる。


そうなると、もしかしたら迷宮としてでは無い為にモンスターが形成されない可能性もある。


しかし、色んなファンタジー小説でもあるが、たまに迷宮でモンスターが大量増殖してから地上に溢れ出したと言うランニングピードと言われる現象が発生する事もある。


それが、この迷宮に有るのかどうかは不明だ。


ただ、あの拠点の防衛網とジジイを突破できるとは思わないけどな。


状態耐性覆服トレラントヴェール


重光は魔法を詠唱して俺達の身体に淡い黄色光を放つ透明な布を纏わりつかせる。

トレラントヴェールか……確か、この魔法はレジスタンスクローズとかと違って状態異常耐性特化型の防御魔法だ。


一回かけると一定時間の間状態異常に対する耐性をかなり上昇させる事が出来る。


一方レジスタンスクローズは魔法耐性を向上させる事が出来る。


他にも属性特化型の防御魔法もあるが、現時点ではあまり使い道が無かったのも事実だ。


だが、一定時間効果がある魔法は重光にとっては相性が良い。


並立詠唱する必要が無い為に、事前に魔法をかけて他の魔法に集中する事が出来る。


それに無限に回復するマナと言う事もあって、幾ら魔法をかけて置いても損は無い。


物理耐性を向上させる魔法もあるが、正直重光の方はステータスの上昇幅が山西に比べると大分劣る。


山西のバフが強力で乗算する程マナを消費する特性上それはかけない方が無難だ。


俺達の基礎能力値が上がってしまえば、その状態から上げる必要が出てくるから無駄手間と言えるだろうな。


山西のバフが乗った状態で物理耐性をかければ良いのでは?と思うかも知れないが、山西のバフの時点でバフ限界を超越しており重光の魔法でバフを乗せる事は不可能だ。


重光のマナを他のメンバーに剰余出来たら半端なく強くなれるのだが……そんな都合の良い事は出来ないか。


取り敢えず、また恐怖魔法が飛んでくる可能性も考慮して俺とアクアのマナを回復させる為に休む事にした。


やっと休める。


そして、念の為ここからは階層の狭間でも見張りを挟む事にする。




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