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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
10章 墓地エリア
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187話 契約スキル

「ヴガァ?」


フレッシュゴーレムは不意に見失った対象に一瞬たじろぐ。


痛覚が無いって事は刺された時の痛みの感覚も無いって事だ。


つまり、痛覚による反射的な反応も無ければ認識反応も遅れる。


何もかもがメリットになると思うなよ!


俺が刀に込めた出力を上げた瞬間フレッシュゴーレムは炎に包まれる。


内部から燃焼させてやる。


この攻撃は俺が浜辺階層のボスにも行った攻撃だ。


俺がマナの出力を上げれば上げるほど火力は上がる。


流石にフレッシュゴーレムもこのまま燃え続けるのは痛覚は無くとも不味いと思ったのか急いで氷に埋まった腕を強引に引き抜く。


させるかよ!


俺は刀にかけた手を片方放して、もう片方の納刀している刀に手をかけてフレッシュゴーレムの肩に深く突き刺して両腕でマナを込めて炎上させる。


辺り一面に不快感を誘発する肉が焼ける香りがするが俺は攻撃をやめない。


これは毒では無い筈だ。


そんな香りだ。


例え毒であったとしてもアクアのドームで軽減される。


勿論、肩を切り裂かれた程度ではフレッシュゴーレムの動きは止まる事は無い。


痛覚が無いのだから。


動きを止めるには腕を焼き切るか、切断するくらいしか奴の腕は止まらない。


(バリン!)


地面の氷が割れ、フレッシュゴーレムの腕が氷から引き抜かれるのと同時に重いフレッシュゴーレムの自重を支え切れなくなった氷は砕け散る。


不味いな。このままだとフレッシュゴーレムの肉体がまた不完全に燃えた状態で沼に沈んでしまう。


流石に完全に沼に沈めば俺達がこの階層を抜けるまでは襲って来ないだろうが、同じ事を二度繰り返すのは愚策だ。


こいつの動きを止めてインプレスで吹き飛ばした所で余計に衝撃を与えて地面を砕くだけだ。


やるしかねぇか……。


俺は温存していたマナを少し解放する。


間に合ってくれよ……間に合わなければ、この消耗は割に合わねえからな!


そう思って俺が火力を高めようとした瞬間フレッシュゴーレムの全身が蒼い炎に包まれて炎上する。


ん?ちょっと待て……これは……?


「ヴガァァァァァア!」


フレッシュゴーレムもその蒼い炎に包まれた瞬間暴れるのをやめて、頭を覆って悲鳴を上げながら地面に膝をついて座り込んだ。


「聖属性!?」


もしかして、アクア……お前か?


俺がアクアの方を振り向くとアクアは首を縦に振った。


俺のエンチャントのスキルをアクアが使ったのか?


俺の蒼い炎に包まれたフレッシュゴーレムは沼地に浸かっても蒼い炎は消えず燃え続け、空気中に光の粒を撒き散らせながらやせ細って行く。


そして、真っ黒い死体になったフレッシュゴーレムは魔石だけを残して塵となって消滅する。


俺も落下したら危ないのでフレッシュゴーレムが倒れこむ直前に氷がある場所へと乗り移った。


添島は大丈夫か!



そう思ったが、どうやら大丈夫そうだ。


もうあいつ、ほぼ単騎で良くね?


添島の周りにはドラウグルの燃焼した炭の様な死体が複数散らばっており、ドラウグルはもう殆ど残っていなかった。


まず、ドラウグルが添島の間合いに入れていないのか……。


痛覚の無い敵にはノックバックのある攻撃が有効っぽいな。


最後の最後で良いとこ取りするのも何か嫌だったから俺は添島の戦いが終わってから添島に話しかけた。


「おう、そっちも片付いたか?まぁ、お前がこっち手伝いもせずに見てたのは知っていたけどな」


最後皮肉の様に言って来たが、まぁ、いつもの事だろうな。


「それで、重光達の様子は?」


ああ、そうだったな。


俺は本来の用事を思う出して確認に向かう。


「立てるか?」

「ええ、もう大丈夫よ。ありがとう」


添島が重光に手を差し伸べるが重光はゆっくりと自力で立ち上がって言った。


だが、どう見てもまだしんどそうだけどな。


「少し休め」

「悪いけどそうさせて貰うわ……私はともかく、残りの二人も調子は良くなって来ているもののまだ本調子では無いみたいだしね」


良かった。


ゾンビウィルスは駆逐できた様だ。


だが、ゾンビウィルスは再発するのが怖い。

少し様子を見る事にしよう。






重光が回復した事によって土台は再び安定した土魔法で形成した土台になっている。


だが、オリヴィエの役割がアクアから俺になった分辛い。


さっきの戦闘で思った以上にマナを消費してしまった影響もあって少ししんどいが、そんな事は言ってられない。


このマナ不足から解消されるにはさっさとこの階層を抜ける必要があるのだから。


俺はふぅと小さな溜息を吐いた。



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