表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
10章 墓地エリア
187/544

184話 ゾンビウィルス

「うっ……」

「お前どうした?お前が体調悪いの珍しいな……」


アンデッド達と戦闘を終えてしばらくしてから亜蓮の体調が急変した。


亜蓮は頭を抑えて苦しそうにしてる。


いつもの様に頭痛が痛んでいる様では無さそうだ。


「重光、状態回復魔法を」


再び重光にキュアとリカバーをかけて貰うと亜蓮の体調が戻る。


何なんだ?

しかし、その後山西が体調を崩したり重光が嘔吐したりと状況はどんどん悪化する。


しかも、徐々にその症状の頻度が上がっているのだ。


この状態に陥っていないのは現在、添島と俺とアクアのみだ。


添島は流石だが、俺もこう言う免疫はそれなりにあると思っている。


「私達なんで、こんな所を進んでるのかしらね……帰りましょ?」


しまいには重光が、やる気ゼロモードに陥り、探索は一時中止している。


普段ならば絶対にこんな事はあり得ない。


重光は元々こう言う環境への耐性も高く、慣れていた筈だ。なのに、重光の体調を見た俺達は動揺している。


弱音は吐いても、やる気を無くすなど初めての事だったのだ。


しかも大体こう言う時に限って襲われたりするものだ。


取り敢えず今の状況だと、探索を続行する事も不可能なので、今の足場に携帯シェルターを立てて仮眠を取る事にした。


オリヴィエをかけると症状が緩和するものの、激しい倦怠感などが襲ってとてもまともに行動できる状態じゃなかった。


仕方が無いので添島と俺で見張りを交互にする事にする。


嫌な予感がするな……。


「ああ、ゲームやりてえな……」


亜蓮が突然ゲーム機を持つ様に空中で手を動かして、ごろごろしている。


皆本当にどうしたんだよ……。


「ゾンビ討伐クエスト発令中みたいだな……だだだだだ……」


亜蓮がぶつぶつと寝転がったままエアゲームをしておりめちゃくちゃ五月蝿い……。


「うわ……ゾンビウィルスに感染した……終わったわ……」


ん?今何か、重要な単語が出てこなかったか?


ゾンビウィルス……?


ゾンビウィルスって確かゾンビとかに噛まれたら感染して時間が経つと次々と人間がゾンビに変化するって言うゲームではお馴染みのウィルスだよな……。


「何回死ねば……!?」

「亜蓮……ちょっと黙っててくれ」


亜蓮がぶつぶつとあまりにも五月蝿いので口を手で塞いで俺は考えに浸る。


ゾンビウィルスに感染した?いや、でもアンデッド達に噛まれたのは四十一階層でその時は何も症状は出ていなかった筈だ。


しかも、重光さんは何度もキュアやリカバーをかけている筈……。


一体……何が起こっている?


そして、俺と添島とアクアだけがかからなかった原因が分からない。


アクアはドラゴンだから分からない事も無いが、俺と添島は人間だ。


ん?待てよ……確かキュアとリカバーは軽度の状態異常を治したり毒を中和するくらいの効果しか無い筈だ。


確か、バジリスクの石化ブレスを受けた時重光の回復魔法は効かなかった。


あの時はリカバーとキュアを間違えたのかと思っていたが、単純にバジリスクの石化ブレスの濃度が濃かったのだと推測出来る。


つまり、力不足だ。


しかし、今回は一回症状を緩和する事が出来た。


そして、あの時はオリヴィエで石化を解除する事に成功したが、今回はオリヴィエでもダメだった。


モンスター自体も魔法などをレジスト出来るのは当然俺達も知っている。


もしも、ゾンビウィルス達が生きた小さな細胞の様な毒だったとしたら……。


当然、スキルや魔法をレジストされる可能性は十分にある。


そして、毒と違って生きた細胞は増殖する事が可能だ。

つまり、少しでも生き残ればまた体内で増え続ける。


そして、オリヴィエで消えない理由も分かった。

毒と違って細胞なのだ。


毒ならばデバフと似た様な感じだからオリヴィエの軽減能力で減らせるが、生物などを直接オリヴィエだけで死滅するほど弱体化させる事は出来ない。


しかし、アクアの放つオリヴィエが聖属性と言うのもあってゾンビウィルス達は弱った可能性が高い。


そして、ゾンビウィルスが移った原因は空気感染しか考えられなかった。


毒もだが、オリヴィエの効果はあくまでも軽減だ。

身体の抗体で倒せる様になる程度まで毒を薄くしているのに過ぎないのだ。


この沼地の瘴気も薄れてはいるものの完全に消滅はしていない。


当然、ゾンビウィルスはそれを伝って体内に忍び込んでくるだろうな。


俺と添島がかからなかった原因は不明だ。


恐らく、ゾンビウィルスの弱点はアンデッド達と同じで火属性や聖属性だ。


俺は常にエンチャントで体内から燃え盛っている為に近付き難かった可能性がある。


添島に至っては単純に肉体が強靭なだけだと思う。

添島も感染している可能性もあるな。


しかし、俺も轟々と燃え盛っている訳でも無かったのでゾンビウィルスは四十度位で死滅する可能性が高い。


エンチャントは一応他の仲間にはかけていた筈なんだがな……。


武器の部分だけだとやっぱり隙が出来るのか?


取り敢えず、一番症状の酷い重光から温めて見るか……。


「安元!敵襲だ!」

(ドンッ!)


そう思って手を重光に翳そうとした時だった。添島が外からシェルターの壁をドンドンと叩き叫んだ瞬間地面が揺れた。


地中からか!


不味い!早く重光を復帰させないと沼地にシェルターごと沈んでしまう!


仲間達は今グッタリしており逃げられる状況では無い。


「添島!すぐにこっちも終わるから敵の相手をしていてくれ!」

「了解!だが!長くは保たんぞ!急いでくれ」


沼地に二人の怒号が響いた。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ