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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
10章 墓地エリア
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174話 青白の炎

「はぁっ……はぁっ……」


どれくらいの時間走り続けただろうか?俺達はゾンビ達が見えなくなるまで無我夢中で走り続け、地面に倒れこむ。


今襲われたら再び逃げる体力は残っていない。

山西がどうなっているかも不安だが、それ以前に俺達も疲労困憊である。


ガルガンチュアと戦って分かった事は無闇に敵を刺激するような行動は慎んだ方が良さそうだ。


重光のディープフレイムは広範囲を一気に燃焼させる事が出来るが炎の進む速度がゆっくりでそれなりの速度で動くゾンビ達に対して見劣りしてしまう。


十分な範囲に展開する頃には辺り一面ゾンビだらけだろうな。


そして、山西の強化無しで戦うと中々厳しいものがある。

身体強化無しだと俺達はBランクモンスター相手でぎりぎりのレベルだ。


大量のCランクモンスターに囲まれても厳しい部分はある。

ゾンビ達は数が数だったからより一層キツく感じた。


まだ大型モンスター一体の方が戦い易いだろうな。


地べたに座り込んだ俺達はオートマップを確認する。


なるほど、今俺達は四十一階層の右の方にいるのか……。

元々進行を開始した方向とは別に俺達は広い大通りを右の方に曲がって逃げてきた。


山西がいる方向は勿論入り口から見て正面だから……引き返す必要があるか?


いや、今俺達がいる通路が前方で繋がっている可能性もある。


山西を追うと言う点に関して確実性が高いのは引き返す方法だが、彼方にはガルガンチュアに呼ばれた処理できていないゾンビ達が大量に犇いている。


墓場エリアは太陽は登らないのか?俺達がこの階層に来てから既に半日ほどは経過しているにも関わらず、周囲は薄暗いままだ。


上空には靄がかかっており、太陽の光を殆ど遮ってしまっている。

あの靄攻撃で吹き飛ばせないかな?


もし、攻撃で吹き飛ばせたとしたらゾンビ達を弱体化させる事は容易だろう。

アンデッドにとって光は天敵だ。


しかし、吹き飛ばせたとしても半永久的に吹き飛ばせないと意味は無い。

と、なると……自然に俺の視線は重光の方に向く。


「おい、重光。竜巻のようなものを発生させて空気中の靄を半永久的に取り除く事は可能か?」

「ええ、可能よ。ちょっと試してみるわ」


俺が重光に尋ねると今から試してくれると言う。

この結果次第では今後敵と相対した際の戦闘が楽になる。


重光は魔法を組み合わせて竜巻を発生させたが、その後首を振って竜巻を消した。


「無理ね。靄の層が厚すぎるわ。制御が出来なくなる威力で竜巻を発生させたら分からないけれど、そんな事をしたら私達が吹き飛んでしまうわ」


重光曰く、靄の層は思ったより分厚かったらしく、今の俺達ではどうする事も出来ないとの事だ。


まぁ、この辺は出来たら良いな。位だったから気にしない。


そこで俺達はシェルターで一旦仮眠を取る事にしたが、レイスの意識が無い生物に憑依すると言う特性を思い出し、厳重体制で見張りを付けて寝付く。


まぁ、シェルターの中まで貫通してくるとは思ってないけどな。

この携帯シェルターはマナの流れまで切断するらしく、シェルター内から外側へと攻撃する事は出来ない。


なのに空気循環はしてくれると言うとんでもないマジックアイテムだ。


だから、ゾンビ達に攻撃した時はシェルターを一回解除したのだ。


それ故に、レイスなどのゴーストも俺達を貫通してくる事は無いと考えている。

それでも、もしもの時の為に見張りは付ける。


そして、無事仮眠が終了し俺達は再び行動を開始する。

確率は低いが、後ろに戻ってもゾンビだらけなので先に進む事にする。


もしかしたらゾンビ達の興奮が冷めて地中に戻っている可能性もあるが、もうあの地獄は体験したくない。


マジで夢にも出てきそうなレベルであれば怖い。


オートマップのお陰で視界に入りさえすれば記入されるので若干早めに行き止まりなのは察知できる。


この薄暗い墓場ではあまり遠くは見えないものの、遮蔽物は少ない。


墓の周りには骨を浮かせた犬のようなモンスターや、鍬を持っている墓漁りの様なゾンビが彷徨いている。


早めに遠くまで焼いておくか。


「重光頼んだ」

「分かったわ」


重光はディープフレイムを発動させて、俺達の今いる通路の先を轟々と燃やして行く。

遠くから複数の断末魔の叫びが聞こえてくるが耳を塞ぎ無視する。


なんか心痛むけど奴らは人の見た目をしたモンスターだ。

そう割り切る他無いだろう。


じゃないと俺達が危険に晒される。


モンスターの焼却が終了し、そのまま肉が焼けた臭いがする通路を進むと道が合流した。

よし、当たりだ。


そして、そこに着くと目の前から青白い光が近づいて来た。


レイスか……?そう思い、近づくとそこに居たのは……。


「山西……」


目の前には青白い炎を身に纏った山西がにやりと不気味な笑みを浮かべて立っており、山西はその手の炎を燃やして俺達に向かって振り翳した。




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