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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
9章 砂漠エリア
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155話 チキンレース

「次ボス戦なの分かってるのかしらね……加算二重強化エイドダブルアップ オーバーブレイク


山西は俺の隣で文句を言いつつも強化魔法を俺と亜蓮と添島にかける。


しかし、また新しいの来たな。今回は次がボス戦と言うのもあって山西も消耗を抑えたいらしく、かけたバフは一種類のみだ。


そして、アイスバーンの連鎖コンボから考えてエイドダブルアップを選択したのだろうが、アイスバーンのヒット数は普通のインプレスエンチャントの技より少なめである。


本来、水と火を同時に大量に発生させて圧縮し、温度差の空気の体積差も含めた水蒸気爆発の威力も含めて攻撃する技がアイスバーンだ。


どちらかと言えば俺の手元の近くで連鎖爆発を起こしているのに近く、敵に多段ヒットしているわけでは無いのだ。


そして、俺の聞き間違いかも知れないが山西が唱えた強化魔法は俺の聞き覚えがないものだった気がした。


「食らえ、内部圧縮属性付与インプレスエンチャント 氷火アイスバーン!!!」


俺は準備が整ったので両手を構えてそのまま走り出し身体の一部が見えているオーアゴーレムに向かってアイスバーンを繰り出した。


「っ!?」


しかし、いつもと違う感覚に俺は戸惑う。一回の攻撃をしたつもりなのに俺はマナを少し多めに食った気がした。


感覚にしていつもの二割増しくらいだろうか?しかし、その分自身が放ったアイスバーンの威力は上がっている様に見え、オーアゴーレムを地中から引きずり出す。


だが、俺が放った時の威力は然程上がったようには見えなかった。

反動などはいつも通りって感覚だ。


だけど、いつもより自分の攻撃がオーアゴーレムに対して通ってる気がした。


影武者シャドウウォーリア


オーアゴーレムは俺の攻撃で吹き飛ばされ宙を舞うが身体を空中で捻り太い腕を地面に叩きつけて体制を整えようとするが、亜蓮の投げたナイフに注意が向き腕を叩きつけたままの状態で後ろを振り向く。


「おい、余所見は良くねえな」


だが、オーアゴーレムにとってそれは致命的なミスとなる。

正面から大剣の柄に手を掛けて走って来る添島に対する反応が遅れたのだ。


添島はいつも通り全身にエネルギーを纏って上段に構えた剣を無防備なオーアゴーレムの首筋から胴体にかけて殴る様に振り払う。


「ウゴ……!?」


オーアゴーレムは篭った様な声を上げ後ろに吹き飛ばされるがそこは流石オーアゴーレムと言った所だ。


今度は宙に浮く事は無く、きちんと地面に両足をつけたままの体制で吹き飛ばされる。


耐久値の面で言えばオーアゴーレムは厄介だな。

俺はそう思いながらオーアゴーレムの側面に回り込み腕に力を込める。


内部圧縮属性付与インプレスエンチャント ファイア

「ウゴッ!?」

オーアゴーレムは俺の爆発をもろ脇腹に食らうが一歩退いたのみでその状態のまま身体を捻って俺を殴り飛ばそうとする。


やっぱり硬いな。だが……。


気爆破オーラブラスト


先程の攻撃からの追撃で吹き飛ばされたオーアゴーレムに追いついた添島が中段から横薙ぎに気を込めて衝撃波を放ちオーアゴーレムを吹き飛ばす。


オーアゴーレムは重たい身体のせいか防御力は高く、ノックバックもあまりしないがスピードは遅く頭もあまり良くない。


だが、あの太い腕から繰り出される攻撃は食らってしまえば大ダメージを食らう事は間違いないだろうな。


添島のオーラブラストにより再び宙に浮くオーアゴーレム。


だが、オーアゴーレムは未だ倒れる気配は一切無い。


いや、硬すぎだろ。

だが、だからと言ってカオストロのグレネードには頼りたくは無いのは本心だ。


出来るだけ自分達の力で倒したい。


亜蓮に至ってはどう攻撃しようか迷った挙句、シャドウウォーリアでの支援に専念する事にしたらしい。


基本亜蓮の攻撃はオーアゴーレムの硬い鉱石に阻まれてほぼ無効化されてしまう。

恐らく、グリフォンを射抜いたマナを込めた一撃でも中々厳しそうに見えるな。


山西は言うまでも無く、山西自身も攻撃が通らない事を察しているのか後方支援に専念だ。


藍水槍アクアランス!」


そこで重光の詠唱が完了し、巨大な渦巻きを纏った槍がオーアゴーレムの身体に刺さり宙に浮いたままのオーアゴーレムを穿とうとする。


お、チャンスだ。オーアゴーレムは重光のアクアランスを受けてなお重度のダメージは食らっていないものの空中でアクアランスを食らった事により、完全に体制を崩して地面に背中から着地する。


もう一回アイスバーン撃つしかないか……多少はエイドダブルアップで火力上がった筈なんだけど、それでもどこまで効くか分かんねえな。


消耗を抑えるとか言ってたけどそんな事言ってる場合じゃないな。


「ウゴォォ!」


俺が両手に力を込めて地面に叩きつけられたオーアゴーレムの頭の方に向かって近づいた時オーアゴーレムは今までで一番大きな声を上げてガスを噴出した。


「!?」


俺は驚いた表情をするも口の端は笑っていた。

残念だったな。驚きはしたもののこんなもの予測済みだ。


対策は常に入念にしておくものだ。


な?アクア?


「キュイイ!」


俺の後ろではアクアが俺に対して輝くドームを張っており、オーアゴーレムの毒ガスをほぼ無効化する。


もし、オリヴィエが効かなかったらどうしようと思っていたが、効いて良かった。


俺はそう思いながら毒ガス諸共アイスバーンでオーアゴーレムを吹き飛ばす。


「ウゴ……」


流石に今回の攻撃は堪えたようでオーアゴーレムは腕を地面につきながらのそのそと立ち上がる。


うわ、分かってはいたがこれも耐えたか。


「ウゴッ!?」


しかし、その直後オーアゴーレムが顔面に重光のアクアランスを食らって悲鳴をあげて後ろに吹き飛んだ。


あ、そうか忘れてたけどアクアランスで最初の詠唱が終われば連鎖的に攻撃できるのか……相変わらずえげつない技だ。


もう、オーアゴーレムはヨロヨロで立ち上がる気力はあまり残っていない様だ。


それでも良く耐えたな。俺からも褒めてやろう。

しかし、さっきからずっと気になっていたが、山西がかけた強化魔法は何だったんだ?


効果としては撃のバフはかかっていた。しかし、それに加えてマナ消費量が上がっていた。


ただでさえ燃費が悪いんだから俺にとってはマナ消費量が増えるのはかなり厳しい。


そして、その後はオーアゴーレムが立ち上がろうとするたびに重光のアクアランスが突き刺さり、そのままリンチされる様にオーアゴーレムは一方的に攻撃され続け、オーアゴーレムは動かなくなった。


念の為、動かなくなった上でも何発かアクアランスを撃ち込んで貰ったがそれでも動かず、マジックバックに収納出来たので、倒せたのだろう。


完全にチキンレースだった。あと少戦闘が長引いていたら諦めざるを得なかっただろうな。

赤月の時間に入ってしまう。


後で聞いた所山西の掛けた技は撃の効果と相手の耐性を下げるデバフ効果を合わせた技だったらしいが、効きやすい相手と効きにくい相手がいるらしい。


オーアゴーレムは割と効いてたらしいが、正直効果は微妙だ。

あまり実感出来なかったな。


俺達はチキンレースを制してオーアゴーレムを撃破し、四十階層へと進むのだった。


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