表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
9章 砂漠エリア
149/544

147話 嵐の前触れ

(メキメキメキメキッ!!!)


物凄い音を立てて黒い靄が俺達がいる場所を通過していく。

嘘だろ!?なんて威力だ。重光のバリアは既に何枚か割れており、限界を迎えている。


「キュイイ!」


しかも、これでもアクアの軽減能力で二重軽減された上でバリアはメキメキと音を立てて割れていくのだ。


沼地階層で経験したあの極熱のブレスでさえ、産まれて間もないアクアの軽減能力で十分すぎるほど軽減され受けれる程になった。


だが、今回は敵の攻撃では無いただの嵐で成長したアクアのバリアと重光のバリアを穿とうとしているのだ。


俺はこれをただの自然現象とは考えられなかった。

いきなり一、二階層でここまで難易度上がるか?

普通は上がらないだろう。


タイラントデスワームや、バーニングドラゴンフライでさえ、ここまでの攻撃はあまり無いだろう。


タイラントデスワームの一点集中の噛み付きとかをモロに食らえばあるかも知れないが、そんな物は範囲も限られているし、かなりタイラントデスワームも敵意を持っている事だろうな。


「キュイイ……」

「はあ……」


嵐が俺達の所を去り、アクアと重光がその場に倒れこむ。

重光が張ったバリアは残り二枚の所まで来ており、あと数秒ここで嵐が滞留していたら俺達の命は無かったかもしれない。


それにしても何だったんだ?俺は先程俺達の所を過ぎ去って現在も俺達の後ろで破壊行為を繰り返している黒い靄を眺める。


そこで一瞬大きな火花が上がったのが見えた。

恐らくバーニングドラゴンフライでも巻き込まれたのだろう。


その瞬間だった。黒い靄が一瞬で収縮したかと思えばそれはバーニングドラゴンフライを覆い火は消える。

そして再び何事も無かったかの様に黒い靄は動き出した。


今ので分かった。あれはダークレイだ。ジジイの図鑑にも書いてあったな。

危険。手を出すな!って……あの時のジジイが危険と書くほどのモンスターだ。


砂漠エリアのエリアモンスターである。

ダークレイは本体は粘土を硬めた様な艶の無い黒色をした岩石で成り立っている様なモンスターだ。


姿は普段は粒子状になって舞いながら移動する。

その時に地面などを抉りながら移動をしている。

つまり、俺達が先程まで見ていた黒い靄の状態だ。


強さは言うまでも無いだろう。移動のみで俺達が地中に家を作る事を断念する程の硬さの礫を軽々しく移動で破壊し、俺達が弱っていても苦戦したバーニングドラゴンフライを一撃で仕留める強さだ。


正直あんな化け物と戦って勝てる気がしない。

ダークレイにとってはただの散歩みたいなもんだったんだろうが、それで俺達が死にかける事態だ。


流石Aランクモンスターなだけはある。

Bランクモンスターとは格が違うな。


恐らくだが、このエリアにモンスターが少なかったのもこの嵐の前触れだったのかも知れない。


モンスターや動物は本能で感じ取るからな。

靄の範囲は広いのは広いが、何キロも続く様な範囲では無い。


だから、地中に住むアリやバーニングドラゴンフライの幼体……生体も遥か上空を飛べる為そのモンスターは残っていたのか。


だけど、俺達がこの階層に来た当初はダークレイからはかなり距離が離れていた。


でもこのダークレイの様子を見れば分かるだろう。

道中のモンスター全てを薙ぎ倒して行くのだ。


もしかしたら俺達が来る前に俺達が進んだ進路で移動をしていたのかも知れない。

俺はそう思った。


あとあの硬い地面を掘る事ができるバーニングドラゴンフライの幼体やアリはやはりかなり強力なモンスターであると実感した。


まだ出会っていないアリも集団で来られたら俺達危ないかもと思いながらマナ切れでぐったりとしているアクアを撫で撫でしながら様子を見るのだった。


流石に成長したアクアは担いで行けない。

結局活動を開始したのは温度が下がる夜だった。


その後もモンスターが出るかと思ったが、よく考えたらダークレイが来た方向に進んでいるのだからモンスターが少ないのは当たり前かと今更思い、二日ほどかけて三十八階層を俺達は踏破した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ