146話 黒嵐
明けましておめでとうございます。
新年早々、連日投稿を切らしてしまいました。
ちょっと頭が回ってなくて単純に忘れてました。
申し訳ないです。
やれやれ、バーニングドラゴンフライとの戦闘を終えてから俺達は歩く。
もしもスパイルの教えが無かったならばまたヘマを仕出かしていたに違いない。
だが、先程のバーニングドラゴンフライの親達もいるかも知れない。
そこは注意しながら進もう。
しかし、俺が対スパイル戦で習得したあのチェインエンチャントという技……使い道あるのか?
威力で言えばインプレスエンチャントを下回るし、攻撃範囲が広い為に仲間に当たる可能性もある。
それに消費マナ量はかなり多い。サインエンチャント程では無いが……あれこそ何に使うんだって話だ。
多分極めればマナの消費量を抑えた上で分裂数を増やして全て別の動きをさせる事も可能になりそうだ。仲間に被せれば山西の覚醒状態……
つまり、あの山西の変な状態……俺はあれを覚醒状態と呼ぶ事にしているが、思考をちゃんと状態で動かす事が出来そうだ。
多分あそこまでのバフはかからないだろうが、追加属性攻撃のバフがかかればそれなりに強い筈だ。
現在俺は直接仲間に触れないと俺の能力をフルパワーで使えない様になっているが、チェインエンチャントの応用……つまりマナのバイパスを繋ぐ事を使えばいつかは仲間全員で俺のエンチャントを乱用する事が可能になるかもしれないのだ。
それが出来れば戦力アップは間違い無いだろう。
俺が添島や亜蓮の速度について行けなくても可能になる。
だが、当然バイパスを繋ぐと制御難度は上がるし、何よりも元々燃費の悪い俺の能力を全員で使う事になれば直ぐに俺がぶっ倒れてしまうだろう。
それか出来る日はまだまだ遠そうだ。
赤熱砂漠……ここは敵が少ないから戦闘は出来るだけ避ける事が出来ているが、その分食料も確保出来ないし、この環境に適応している敵は強い。
しかし、未だにこの赤熱砂漠ではデスワームの類は一切見ていない。
まぁ、地中の温度は超高温に熱せられている。
普通は暑い場所だったら地中は涼しいとか聞くだろう。
だが、ここはそんな事は無い。地面が大きな礫で覆われている為、熱が篭る。
その礫も金属に近く、熱の伝導率はかなり高い。
そんな中で地中に生息している生物は数少ない。
バーニングドラゴンフライの幼体や、その幼体が餌とするアリも地中に住んでいるが、奴らはどちらかと言えば本体が熱に対する耐性が異常だ。
そして、砂漠の上にも生物が少ないのでは餌となる物が少なく、モンスターが少ないのも納得できる。
遥か上空はほぼバーニングドラゴンフライなどの強いモンスターが飛行しており、他のモンスターが出る幕は無いだろうな。
もし、何かを食料としているとしたら、石材や金属、砂を食べる異質な生き物か熱に対する高い耐性を持っているモンスターぐらいしか考えられなかった。
俺達魔法無かったらミイラになってたな。
水だけの問題でも無く、かなりの頻度で体調を崩す。
それを魔法で治療出来るのはかなり大きい。
そして、この日もいつも通り高床式の住居を建設し、腰を落ち着かせる。
やれやれ、毎日かなり休憩を挟まないとこの階層は歩けないな。
しかも休憩中も地表はかなり高温となる為、魔法を駆使しながらの休憩なので実質休憩ではない。
しかし、恐らく既に半分は来たと思う。それで無いと辛過ぎるな。
そう思っていつも通り重光が作った氷塊を冷却していると遠くに黒い靄のような物が確認できた。
なんだ?雨雲か?そう思ったがこの赤熱の大地に雨など降るのだろうか?
その雨雲の様なものを確認するとそれは俺達の方へとどんどんと近づいて来る。
おいおい、なんだあれは!?
そして、近くにまで迫る靄は稲妻を立てながら地面の岩石を抉りながら接近する。
あんなの、食らったらこの拠点ごと吹き飛ぶぞ!
「重光!見えるか!」
「分かってる!多重範囲防御壁!!!」
「キュイイイ!!!」
アクアも危険だと思ったのか虹色のドームを展開する。
アクアがスキルを使うとは相当な事だ。
範囲的に逃げるのはほぼ不可能。
ここは耐えるしか無い!
そして、俺達は黒い靄に飲み込まれた。