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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
9章 砂漠エリア
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135話 連鎖属性付与

「残りはお前一人か……もう少し粘ってくると思っていたんだが……正直期待外れだ」


目の前の右目に傷がある男はサーベルを片手でくるくると回しながら重光を見つめる。

エルキンドより攻撃は俺達を殺しに来ているが確実に致命傷は避けているようだ。


やはりこいつも何だかんだで冒険者か……


「いえ、私一人ではありませんよ!」


重光はその男の声を受けて少し離れて待機してるサンドリザードの方を向いた。


「クェ……クエエエ!?」

「ごめん!フォルトちゃん!走って!」


重光はフォルトに跨って土魔法で脚をフォルトの身体に固定して魔法を詠唱し始めた。フォルトは予想していなかったようで……。

いや、まずフォルトは部外者のフリをしていたので驚いた声をあげる。


フォルト……お前……俺達を見捨てる気だっただろ。


「仲間を見捨てるか?もしもオレが仲間を人質に取ったりしたらどうするつもりだった?」

「あなたはそう言う人じゃないと分かっています」


重光の反応に男は笑う。


「ふははは、面白い。どうして、その小さな可能性に掛けられるのか……お前達は全員ギャンブラーだ……準備は良いか?」


男はそう言うとサーベルに紫電を身体に纏い右手にサーベルを構えて忍者の様に姿勢を低くして走り始める。

フォルトはまだ走り始めない。


「その程度で良くオレに強く出たものだな」

「私は諦めません!多重範囲防御壁マルチバリア避雷針ライトニングロッド

(パリン!)


男は紫電を後ろから周り込ませながら右手を素早く引き抜いて重光のバリアをサーベルで打ち砕くが、重光は男の攻撃をバリアで防いで守り、避雷針と言う名の金属の柱を並立詠唱で即座に男の目の前に生成し、紫電のスリップダメージを防ぐ。


そして、素早く振ったサーベルの刃を返して追撃を与えようとした瞬間にフォルトも危機を感じたのか逃走し始める。

そのお陰で男の攻撃は空振りに終わる。


「クエッ!?」

「チッ……逃したか……だが次は無いと思えよ?雷纏ライデン!」


男がとある言葉を呟いた瞬間男は青色の稲妻を全身に纏い更に加速する。その速度は亜蓮のエイドダブルアップの最高倍率と同レベルだ。

時速六十キロは出ているフォルトにさえも追いつきそうだ。化け物かよ。

男が稲妻を身体に纏うまでは割と速度は常識的な速度だった。それこそ、亜蓮と同レベル程度に。


だから俺達もその動きを見て勝てると思ってしまったのだ。

だが、俺達と圧倒的に違う点があった……それは、技術と経験だ。

あの男はそれくらい動きが卓越していたのだ。


重光は地面から次々と金属の柱を形成して男の進路を進むのと同時に男の雷撃を躱して行く。男は稲妻をネットの様に放出してフォルト達を捕まえようとするが避雷針に攻撃は吸収させる。


フォルトは涙目で全力逃走している。

男は金属の柱の隙間を身体を軽く捻る事で走りながら回避して行く。相変わらずの無駄の無い動きだ。


流石にあの男でもフォルトを追いかけながらの攻撃は厳しいか……?それで重光はバリアを張るもんだから固い。だが、重光もマナが無限とは言っても反撃に出る事は出来ない。


そして、このままだとあの男に追いつかれてしまうだろう。


そう思った時だった。男は左右に散りばめられた金属の柱を足場にしてステップで加速……いや、加速と言うよりは瞬間的に足で力を強く込める事によって速度を上げているのか!?

速度は上がったものの持続性はあまり無いだろう。


だが、その男にとってはその速度があれば重光達を追い詰めるのには十分だった。


重光は再びバリアを形成するが、既に遅い。男は重光の上空に飛び上がりバリアの上に着地する寸前に右手のサーベルにエネルギー纏わせ攻撃を放った。


「終わりだ」

「!?」







(ブシャァ!)


男の放ったサーベルからは二つの光が飛び、バリアを砕いた後に重光とフォルトを兜割りの様に切り裂き、鮮血が舞う。

俺は身体が痺れて声が出なかった。


そして、重光とフォルトが倒れる。


「こんなものか……」


男がそう呟き、身体から稲妻を解き俺達の方へとゆっくりと歩いて近づいてくる。

勿論重光の止血などは行っていない。

男は血に染まる地面を眺めながらも重光の治療は行わなかった。





畜生……また俺は指を咥えて見てろって言うのか……。

この迷宮に入ったばかりの頃も……

この前の山西の時も……

そして……今回も!!!!


俺の目に涙が滲み身体に力が篭る。その瞬間だった。男の目が変わった。


「ほう?まだ抗うか……?その状態で何が出来るのだ?……っ!?」


そして、その瞬間俺の身体から赤い導火線の様な物が空中に張り巡らされて、視界を赤く染めたのだった。






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