表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
9章 砂漠エリア
131/544

129話 エンカウント

よし、生贄はあいつだ。俺は上空を飛んでいたハゲタカの様な生き物に標的を定めた。距離はかなり離れてはいるが、グリードデスワームが俺達に追いつく速度よりは早くハゲタカに攻撃を仕掛けることは出来そうだ。

だけど、そのハゲタカとは距離が数十メートルは離れているのにかなりの大きさに見える。羽を広げたら十メートル近くはあるんじゃないか?だが、それは俺達にとっては好都合だ。

何故ならグリードデスワームから逃げる時間を稼げば良いのだ。決して俺達が戦うわけでは無い。


「亜蓮。あのハゲタカを狙え。グリードデスワームの囮にする」

「了解……」


そこで亜蓮は敢えて影武者では無くて普通にマナを込めて火力を上げたナイフを走りながら投げる。

位置関係で言えば後ろからグリードデスワームが身体をうねらせながら徐々に距離を詰めてきており俺達はその直線状に逃げておりその方向の上空にハゲタカがいると言う感じだ。

亜蓮が影武者を選択しなかった理由は影武者の効果時間が短い事と今回はハゲタカの注意を割くのでは無く、誘導または撃墜が目的だからだ。

亜蓮が放ったナイフは真っ直ぐとハゲタカに飛んでいく。ハゲタカは避けられず亜蓮のナイフを額に食らいふらふらと落ちて行く。

おお!やったか!亜蓮のマナを込めたナイフの一撃はあのグリフォンでさえダメージを与える代物だ。そこら辺の雑魚モンスターが、避けられる筈も無いし額に食らったとなれば致命傷を負ってもおかしくは無かった。

というより亜蓮どんどんレベルアップしてんな。近いうちに亜蓮の改良した腕の機構も見てみたいものだな。

俺達は落下したハゲタカのすぐ近くまで走ってグリードデスワームを誘導してグリードデスワームをハゲタカに衝突させる。

ハゲタカはまだ生きており動こうとしていたが運の悪い事に亜蓮のナイフは深々と額に突き刺さっており、大量の血を流して動けない様だ。

頼む。グリードデスワームよ。ハゲタカを食らうのだ。グリードデスワームはそのままハゲタカに突進して身体を捻ってハゲタカに食いついた。やった。成功だ。俺達はそのまま逃げられるかと思った。

だが、俺は忘れていた。この砂漠エリアにいるモンスターを。

「バウッ!」

「っ!?」


俺達の目の前に体長は普通の大型犬位だろうか?だが頭の骨が露出して……いや、違うな。あれは甲殻だろう。身体にもサドルの様な形で骨のような甲殻を纏っているハイエナの群れがいた。

そして、上空からはさっきのハゲタカの群れ……スナッチヴァルチャー達がいた。このハイエナはコープスラメッジ。

つまり、屍漁りだ。恐らく血の匂いを感知して寄って来たのだろう。スナッチヴァルチャーはDランクモンスターだ。

身体が大きい割に戦闘能力はそこまで高くは無い。決して弱くは無いのだが。強いて言えば、沼地階層に出てきた巨大鳥と割と良い勝負をすると俺は思ってる。

そして、このコープスラメッジ達。こいつらは単体だとCランクモンスターに分類されているがまずこいつが単体で行動する事は無い。常に血の匂いを嗅ぎ別け、それを仕留めた敵ごと殺して餌を得る狡猾なモンスターである。その点ではスナッチヴァルチャーも変わらないのだが、スナッチヴァルチャーはあくまで死体のみを狙う。だが、このコープスラメッジ達は攻撃力だけで言えばBランクにも相当する。顎の力が半端では無いのだ。

そしてコープスラメッジ達は俺達を素通りし、ハゲタカを食べ終えようとしているグリードデスワームの方へと向かっていく。

おいおい、あんなのに勝てるのか?コープスラメッジは状態異常に対する耐性は勿論高く自身もウィルス性の毒を持っており敵を衰弱させる。ハイエナ達が勝てるビジョンが浮かばないが、まぁ、時間稼ぎ位はしてくれるだろう。

俺達そう思いながらグリードデスワームから逃走する事に成功する。

マジでアイツはヤバいな。もう会わないようにしなくては。そう思ったも束の間遠くにまた別のデスワームの姿が映る。

おいおい、マジかよ。砂漠エリアこの環境の過酷さもさながら雑魚モンスターの強さエグ過ぎだろ!?まるで、中ボスモンスターのオンパレードのようだ。

正確にはデスワーム達は中ボスでは無くてただのモンスターなのだが、その強さ故に中ボスモンスターに見えても仕方が無かった。逆に過酷な環境故にモンスターが進化したって言えるんだけどな。

まぁ、それでも俺達は人間エアコンである俺がいる影響でそれなりに楽に進めてはおり、森エリアと違って砂嵐が発生していない時は視界が良好で早くから敵を察知する事が出来るのも利点だ。

森エリアでは敵を察知するのが遅れてかなり奇襲を食らってしまったが、今回はこれでも割と戦闘は避けている方である。地中に潜むのは反則である。

あとアルマジロのような草食の生き物も生息しておりその生き物が丸まっていたら近くに敵がいる事も多い。それと水源がサボテン位しかないのでサボテンの周りにモンスターが集まりやすいという事も分かった。

だから、俺達は安全だと思われるルートを選別して進む事が出来ていたのだ。だが、足場が悪く体力を奪われる為一日にそう距離を稼げないのが難点だ。それに……


「マジでこの砂漠どこまで続いてんだよ」


添島が愚痴を漏らす。そう、この前も言ったが景色が一切変わらないのだ。これは俺達にとってはかなりの苦痛である。あと休憩中に襲うの禁止だからな!

砂漠エリアではモンスターに追いかけられるから虚を突かれない限りは戦闘なしで進めそうなのだ。ただ、追いかけられたら普通に逃げるのはかなり不利である。

地形の有利は相手にあるのだから。テントは破壊されたので仕方無く魔法で家を建築する。勿論デスワーム対策に地面は接合していない。

だが、勿論魔法で建築すると必然的に石系の建築になってしまう……つまり、人間エアコンの俺は常時稼働だ。完全にブラックである。だが、それが意味する事……つまり、俺はマナをあまり回復出来ないって事だ。重光と交代交代でやってはいるものの両者の負担は大きい。

重光が全てやれば、マナは確保出来るが流石にそれは俺の気が引けたのだ。俺の場合放出するだけで良いけど重光は制御も兼ねるからな。俺の方が制御は楽なのだ。まぁ火力の調節はあるけど。

休憩を終えて再び歩みを進めようとした時目の前に宝箱の端が見えた。どうせ罠だ。俺はそう思い刀を構える。


「罠だな」


俺達は全員気がついて武器を構える。




その瞬間だった。その宝箱は擬態が意味ないと判断したのか大きな口を開けて俺達に飛びかかったのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ