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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
8章 森エリア
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120話 協力技

「ゥゴゴゴゴゴゴ!」


今だ!ヒュージトレントが俺達の射程範囲に入った瞬間俺は添島の胴体に腕をしっかりと絡ませて強く締めて合図する。行くぞ!


「「燃焼気爆破バーニングオーラブラスト!」」

「ぐっ……!?」


俺は添島がオーラブラストを発動するのと同時に添島に向かってエンチャントを発動しながらマナを流し込む……俺のエンチャントは直接触れる事によって仲間も俺の能力を使う事ができる。

だが、制御とマナの消費は俺の物を使う。そして、そのマナの込める量や制御の難しさは仲間の攻撃依存である。

まず普段添島と使おうと思ったら俺が添島について行けないし、燃費も悪く、一切使い物にはならないだろう。

だから、これは本当の切り札だ。俺は添島から放たれた反動を相殺する衝撃波を受け、吹き飛ばされそうになるが腕に力を込めて必死に耐える。

この技の一番の弱点は直接触れていなければ出来ない事……つまり、俺が離れてしまっては使えないのだ。そして、添島からは赤熱した衝撃波が放たれ辺り一面の温度が上昇する。

俺と添島はその熱を感じながら汗をだらだらと垂らす。それと同時に俺のマナがものすごい勢いで減って行くのが分かる。この技が成功しなければどちらにしろ終わりなのだ。

添島の技の威力に相殺されない様にマナを込め、俺の意識は既に朦朧としていた。


「ゔっ!?」


だが、ヒュージトレントがいる方向からは暴風が俺達を襲う。

マジかよ!?バーニングオーラブラストの中を直進して来やがった!?頼む!止まってくれ!

だが、そこで奇跡なのか、どうなのか、そのヒュージトレントの風圧を受けてバーニングオーラブラストの威力が更に強化されたのだ。だけど……


「っ!?不味い!気円蓋オーラドーム


俺は既に意識を手放しておりバーニングオーラブラストはただのオーラブラストに戻っていた。ヒュージトレントを止められないと思った添島は咄嗟にオーラドームを発動させて安元を抱えたまま後ろに離脱する。

そして、添島すれすれをヒュージトレントの根が薙ぎ払う……しかし、奴の根は黒色に焦げておりかなりのダメージを負っていた。だが、そこまでの火力があったにも関わらず焦げたのは表面だけの様で内部までを燃焼させるには至らなかった。

だが、髭根の部分だけは自身の振るった風圧で千切れて吹き飛んでいた。そのお陰で添島はヒュージトレントの攻撃を避ける事に成功する。

だが、二回目のオーラドーム……もう添島はしばらくの間動く事は出来ない。

ひげ根の部分でさえ添島の胴体よりも太いのだ。それを焼き切っただけでも良かっただろう。

いや、正確には焼き切れてはおらず、表皮を焼き切った事によって強度が低下したという感じである。

そして、ヒュージトレントがそのまま突撃して来ずに根で攻撃してきたのはラッキーだった。ヒュージトレントの知能は他のBランク上位のモンスターと比べたら低めである。つまり、その巨大な体と単純な強さからBランク上位に食い込むランク付けになっているのだ。

自身の攻撃を避けられた事に腹が立ったヒュージトレントは再び攻撃をしようとするが、自身の足元で何かが動いているのを確認する。


「ゥゴゴゴゴゴゴ!」


ヒュージトレントはその何かに少し反応し根を曲げようとした時だった。


(バキィ!)


辺り一面に嫌な音が響いた。


「ゥゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!」


ヒュージトレントは悲鳴の様な雄叫びを上げながらゆっくりと傾いて行く。


「……あれは……山西か!いつの間にあんな所に!」


山西はヒュージトレントの足元でそのまま意識を失っている。そして……


(ドガァァァァン!)


ヒュージトレントは大地を揺らしながら地面に倒れた。添島にはヒュージトレントの内部が腐っており自重を支えきれなくなって倒れた様に見えた。


根本体で攻撃してこなかったのは、太い根まで攻撃に使ってしまうと本体の重さを支えきれなくなって自滅を防ぐ為か!こいつまるでと○がりコーンじゃねえか!中身がスカスカな上に強度も普通のトレントに毛が生えた程度か。


そして、山西がヒュージトレントの倒れる位置を変えてくれなかったから全員潰されていたかも知れなかった。


「やったのか!?いや、違う!」


地面に倒れたヒュージトレントは再び葉を光らせながらゆっくりと太く新しい根を形成していく。だが、その速度は遅く添島達が逃げるのには十分だった。だが、……


「っ!?チッ……体が動かねえ!しかも、三人も倒れてやがる」

「!?山西は俺が回収しに向かう……だが……」

亜蓮は視線を安元と添島に向けて眉を顰める。今の状況で動ける人は亜蓮と重光しか居ないのだ。残りのメンバーは気絶するか、動けなくなっている。

だが、迅速にこの場所を離脱しなければヒュージトレントが再び再生して襲ってくるだろう。


「キュイ!」


その時アクアは添島を口で掴み背中に乗せ、安元を咥えた。


「そうか!アクアがいたか!?ありがとな!迅速に離脱するぞ!」


アクアは流石に二人を乗せた状態で飛ぶ事は出来なかったらしく、地を走る。こうして、添島達はヒュージトレントから逃走する事に成功するのだった。


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