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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
8章 森エリア
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118話 切り口

不味いな……俺達の動きを完全に止められたぞ?俺達の前方……いや、勿論背後もだがトレントだらけだ。

そして、更に後方からは先程よりは速度は明らかに落ちてはいるもののヒュージトレントが近づいて来ている。

トレント達を使役している時はヒュージトレントの身体能力が低下するみたいだ。それでも湧き出したトレント達のせいで俺達との距離は詰まる一方だ。

これ、強行突破以外方法無くね?前に進む以外の選択肢は俺達には残っているとは思えなかった。


「添島!気爆破オーラブラストは後何回撃てる!?」


俺は添島に尋ねる。添島のオーラブラストならば多少足を止めるもののトレント達を一気に一掃しながら進めるはずだ。

だが、それもあまり連発は出来ない。三十四階層の広さ的に考えても添島が先に力尽きてしまうだろう。


「まぁ、割と十回は撃てそうだな……まぁ、あまり使いたく無いけどなっ!」


添島は答えながら大剣を振り回しながらトレントを吹き飛ばす。はぁ!じ……十回っ!マジかよ……添島の野郎どれだけエネルギー貯めてるんだ……?

だが、よく考えると俺のインプレスエンチャントも万全の状態ならばそれくらいは撃てるし、俺と違って何日も蓄積する事ができる。

添島にしてみたら少ない方か……燃費俺とそんなに変わらないんじゃ……そう思ったが添島の口調からまだまだ撃てるという感じだから十回ぴったりと言う訳でも無いのだろう。

普通の攻撃でトレントを一撃で吹き飛ばせるのは添島位だと思う……っ!

そうだ!俺にいい考えが浮かぶ。添島を特攻切り込み隊長に任命する。添島……俺達の命運はお前にかかっているぞ!行くのだ!

何か最近俺の考えが段々とサイコパスになって来ている気がするが気にしない。

亜蓮……あの時は悪かったな……俺はこの作戦を伝える為に添島に耳打ちする。


「良いぜ!やってやらぁ!だけどお前ら付いて来いよ?」


は?ちょっと待て添島お前どう言う事だ?添島はノリノリで答えた。

まさか、こんな所でオーラドームを使うんじゃあるまいな……動けなくなったら割と詰みだぞ。だが、俺のその悪い予想は的中した。


「そのまさかだ!気円蓋オーラドーム!」


嘘だろぉぉぉぉおぉおい!ふざけんな!何でここでそれ使う?確かに普通にやったら追いつかれるけどさ!


気円蓋オーラドームはな!込める気の量や、効果時間によって硬直時間が違う!だから今回は目一杯使わせてもらうぜ!」


ちょっと待てぇぇえ!お前の声ドップラー効果の様な感じで殆ど何言ってるか聞こえないから!添島は物凄い速度でトレント達を吹き飛ばしながら前進して行く。

まぁ、取り敢えず道は開けた訳だが……


「はぁっ!はぁっ!」


添島速過ぎる……マジで追いつけない。添島の姿は既に豆粒の様に小さくなっている。

あの野郎……あれで行ける所まで行く予定だな!まぁ助かってるが……後で一発殴らせてもらおう。

しかし、ヒュージトレントはトレント達を次々と薙ぎ倒していく添島を見逃しはしなかった。


「ゥゴゴゴゴゴゴ!」


再び呻き声を上げ自身の根を地面に突っ込んだ。すると……


(ガガガガガガガガ!)

「っ!?」


あの技は!エルキンドのゴーレムが放った技だ!地面から無数の太い根が物凄い勢いで生え近くの生物ごと貫き破壊していく。その太い根は俺達をスルーして添島の方へと向かっていた。

不味いな……あの攻撃……ヒュージトレントが自ら移動するよりも速さは格段に上だ。だが、俺達はエルキンド戦でこれと同じ技を見ている。

ヒュージトレントの使うこの技はどこか雑な気がした。根の太さは太いが明らかに本数が少ない。だから俺達は狙えなかったのか?先に添島だけでも足止めすると言うことだろうか……?添島お前マークされてんぞ……

オーラドームは直線の動きこそ強いが軌道を変えるのは肉体への負荷が大きく、すぐに硬直状態になってしまうだろう。支援しようにも距離が離れて過ぎており、重光の防御魔法の詠唱範囲外だ。


気破壊オーラブラスト


添島は大きな木の根を吹き飛ばすのかと思えば反転してオーラブラストを地面に打ち込んで退避する。

成る程、オーラブラストの気の反動を打ち消さないバージョンか……そんな使い方もあったな……だが、添島は既に硬直しており……


「ぐはっ!」


添島は受け身も取らずに地面に叩きつけられた。


「ゥゴゴゴゴゴゴ!」


絶対絶命……当にそんな状態の添島に向かって更に追撃とばかりにヒュージトレントは攻撃を放ったのであった。


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