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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
8章 森エリア
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117話 ヒュージトレント

「っ!?」


目の前にいるモンスター……その余りの迫力に俺達は後ずさりする。

あのモンスター……あれは、ヒュージトレント!?その名前の通り巨大な樹の姿をしたモンスターだ。

一応こいつもBランクモンスターの部類だがその中でも最上位レベルだ。グリフォンやキングオーラゴリラはBランクでも下の方に位置するモンスター……ランク付けの強さは上に行くほど二次関数の様に強さが上がって行く。

つまり、こいつヒュージトレントは同じBランクでもかなりの格上だ!トレント類は普段は擬態しており姿はあまり見せない。そして強さもDランクの下位に属している。

エリアモンスターが目覚めたって事はある程度のダメージが入ってしまったって事だろうが……クソっ……まさか俺のアイスバーンが引き金になるなんて!

あの技は俺の持ちうる技の中でも最高火力とも言って良い技……いや、俺達全員の中でも最高に近い瞬間火力が叩き出せる技だ。俺がアイスバーンを当てたヒュージトレントの幹は抉れて樹液が出ているものの致命傷とは思えない。

まず、樹の直径が数百メートルだ。あんな攻撃俺達で言う蚊に刺された程度の範囲だ。威力は別としてだ。

イビュレントシキーダが樹液を大量に吸うのだって奴にとってはダニやノミが皮膚に付いているのと変わらないレベルだったのだろうな……ああ!もううだうだ言っても仕方がないな!先ずはこいつから離れるべきだ!

現在俺達はイビュレントシキーダから解放されたばかりでありヒュージトレントから数メートルしか離れていない。ここでは巻き沿いを食らってしまう。


「逃げるぞ!距離を取れ!」

五重強化クィンティプルアップ スピード!」


山西が補助魔法を使って俺達の速度を格段に上昇させる。ありがとう!これなら逃げられる筈だ!

イビュレントシキーダ戦で強化魔法を使わずに残しておいて正解だったな……俺だったら既に使えなくなっていただろう。

実際今俺も残りマナはアクアのお陰か四発……いや、五発撃てるか?位のレベルだ。やっぱりドームでかけるよりも個人に対して軽減能力を使った方が効果は高いな……。




だが、俺達はこの時エリアモンスターを舐めていた。 同じBランクモンスターだから……という事も有ったのだろう。


(ドンッ!)


また来たか!奴が動き出すぞ!また地響きが響き大地が揺れる。


「ゥゴゴゴゴゴゴ!」


ヒュージトレントは声かどうかかは分からないが低い呻き声の様な音を出しながら巨大な根っこを地面から抜き出す。

俺達は既に三十五階層に向かって駆け出しているが、この選択が正解だったのかは分からない。距離的に言えば三十三階層の方向に逃げる方が圧倒的に早いのだ。

だが、三十三階層の方向に逃げてしまうとこのヒュージトレントがいる場所を潜り抜ける必要が出てくる。

今の俺達にヒュージトレントを倒せと言うのはほぼ不可能に近いだろう。それならば、先に逃げてしまおうと思ったのだ。

だが俺達はこの後その考えは甘かったと実感させられる。先ず三十五階層へのルートを突き進んだ場合数時間では行ける距離では無い。その間ヒュージトレントは俺達を逃がさない。


「ゥゴゴゴゴゴゴ!」


ヒュージトレントは根の一本を持ち上げて俺達を狙う。まだ、本気じゃない!逃げるなら今の内だ!奴にケンカを売ってはいけない!


「来るぞ!」


ヒュージトレントはその巨体からか動きはそこまで速く無い。そうは言っても走り出すと時速は約百キロ近くは出ているのではないか?と思われる。

それもそうだ。奴は一歩で、数十メートルは進むのだ。一歩一歩が遅くても速度はとんでもない速度だ。普通に逃げたら追いつかれる。


「はぁっはぁっ!」


復活した亜蓮がシャドウウォーリアでヒュージトレントの注意を逸らしながら逃げてはいるがこれもいつまで持つか分からない。

ヒュージトレントは自身の根で一撃で亜蓮のナイフを砕いていく。重光が石壁を作って妨害するがそれも合って無い様な物だった。

だが、それだけでもヒュージトレントの速度は格段に落ちていた。後ろからヒュージトレントの攻撃の余波で風が吹き荒れているが今はそれどころじゃない!

奴の根元の植物は一撃で軒並み倒れ、湖の水は風圧で大量にミストとなって降って来る。そして俺達が湖を越えた時だった。

ヒュージトレントの足は止まった。撒いたか?そう思ったが違うようだ。ヒュージトレントは空気を葉で吸込み叫ぶ。


「ゥゴゴゴゴゴゴ!」


その気迫に俺達はかなり距離を離したのにもかかわらず吹き飛ばされる。何て圧力だ。そして、再び逃げようとしたが俺達の足が止まる。


「嘘……だろ!」


ただでさえキツイって言うのに!?こんなに沢山の敵の相手をしなくちゃいけないのか!

俺達の目の前では大量のトレントが擬態を解き戦闘態勢で俺達の方を見ていた。


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