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「え?サユちゃんがうちで暮らすの?」
僕がその話を聞いたのに対する答えがそれだった。中学を無事に卒業して、数日経ったある日の事である。
「あら、白百合ちゃんの事、覚えてたの。」
母さんはとても驚いているらしい。
「実は、耀臣さんが転勤でオーストラリアに行く事になって、エルシィも付いていくらしいんだけど、白百合ちゃんが野咲の高等部にそのまま行く事が既に決まっていて、一緒にオーストラリアに行けないから、預ける事になったの。ここからなら、野咲に電車一本で通えるからね。」
僕、氷宮透雪はその話を聞いて、とても嬉しくなった。
サユちゃんにまた会えるどころか、うちで暮らすなんて。
サユちゃんは本名を矢埜白百合、またはサユリ・アボット・ヤノといって、僕の幼馴染である。
オーストラリア人の彼女の母、エルシィさんは母さんの親友で、彼女はエルシィさん似だったと思う。
彼女の父、耀臣さんはとても優秀な外交官でかつては色々な国に駐在していたけど、彼女が中学校に入ってからは日本に落ち着いていたらしい。
「というか、サユちゃんは野咲に中学から通ってたの?」
「うん!いやー白百合ちゃんが私とエルシィの後輩になる日が来るなんてねー。」
母さんは嬉しそうである。
「そうそう、白百合ちゃんは来週から来るから。白百合ちゃんが来る時は私、仕事だからね。来月からは、透雪と同じ電車を使うから、ちゃんと仲良くするのよ。」
高校生になる直前の三月、僕は新たな生活に期待を抱いていた。
そして、一週間後。
僕は来月から通う高校の入学前課題の残りを終わらせ、部屋で本を読んでいた。やはり、母さんは仕事なので一人の時間を楽しんでいた。
『ピンポーン』
あっ、インターホンの音。宅配便かな?でも、母さんは何も言ってなかったけど…。
とりあえず、出よう。ここのインターホン、モニターがないから誰なのか分からないな。
「はい。」
「あの、今日からこちらの家でお世話になる、矢埜白百合ですけど。」
何と。現在、家の前にいるのがサユちゃん。そういえば、すっかり忘れてた。今日は三月なのに寒いから、早く家に入れないと。
「少し、お待ち下さい。」
僕はそう言って、急いで玄関に向かい、ドアを開けた。僕の目の前には、スーツケースとリュックを持った美少女がいた。
サユちゃん、キレイになったな。
それが僕の率直な感想だった。
陶器のように白い肌、薄い茶色の髪、明るい茶色の目、女子の中では背が高いと思う。まるで、モデルさんみたい。
「お久しぶりです、ユキ君。」
ん?ユキ君?ああ、思い出した。確か、そう呼ばれてたっけ。
「えっと、久しぶり、サユちゃん。外は寒いから入って。スーツケースを持つよ。」
「有難う御座います。」
そういえば、彼女は同い年である僕に対しても敬語だったけ。別に、タメ口でのいいのに。
とりあえず僕は、スーツケースを持って、部屋に案内する事にした。




