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マナ=コード -Argusnorn Overwrite- ver0.1  作者: 卵なっとう


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20/21

第20章:最後の審判

──夜の空が、血のように赤く染まっていた。

 レイベルン・コーポレーション本社の外周。

 都市全体を覆う警戒システムが非常灯の光で照らされ、ウィザードの紋章を纏う貴族たちが次々と姿を現す。


 エリスはその中心に立っていた。

 白いコートを翻し、静かに瞳を閉じる。

 彼女の周囲には、無数の浮遊魔法陣とプラズマの残光が舞い、

 空間そのものが震えるような圧力を放っていた。


 ──人間とAI、そして魔法。

 この夜、それらすべてが衝突する。


◆ 本社・管制室


 上階の制御室。

 ジェームス・レイベルン教授は、眼下で展開される戦いを巨大ホログラムで監視していた。

 その背後では、研究スタッフや技術オペレーターたちが必死に端末を操作している。


「能力解放承認コード、入力開始」

「対象:ウィザード第七席、ヘリオス・クラウン……承認」

「生体魔力制御限界を超えています! このままでは──」


「構わん」ジェームスが低く言う。

「人類が進化するには犠牲が必要だ。彼らは選ばれし存在だ。恐怖するな」


 指揮卓の奥、赤い制御レバーがゆっくりと倒される。

 同時に、外の戦場では、ウィザードたちの身体が光の紋章で包まれ、

 魔力の奔流が地を焼き、空を裂く。


◆ エリス vs ウィザード


 ヘリオスの炎槍が空を突き、エリスへと殺到する。

 しかし、彼女は掌を一振りし、神聖障壁を展開。

 光子を折り曲げるようにして、すべての魔法を無効化する。


「……人間の作り出した力。あなたたちはその枠から出られない」

 エリスの声は、風のように冷たく、静かだった。


「我らは選ばれた貴族だ!」

 別のウィザードが叫び、電撃を纏った刃を振り下ろす。


「そうね。**選ばれた“実験体”**として」


 瞬間、エリスの背後に光翼が展開する。

 魔法陣が十重に重なり、無数の光弾が放たれた。

 ウィザードたちは次々と倒れ、空に散った。


◆ 再び、管制室


「──彼らが……!」

 スタッフの一人が叫ぶ。


 ジェームスは表情を動かさず、ただ一つのコマンドを入力する。

「フェーズ・デルタへ移行。衛星砲オーロラ・アーク、照準開始」


「教授、衛星ビームの起動にはエネルギー充填が──」

「承知している。プロトコルを開け。私が直接制御する」


◆ 人工衛星《AURORA-01》内部


 静寂の宇宙空間。

 銀白の機体に刻まれた“RAYBURN”のロゴ。

 衛星内部では、AI制御ユニットが目覚め、冷却システムが作動する。


《オーロラ砲、充填開始。エネルギーソース:太陽炉コア、臨界値到達まで残り120秒。》


 無数の導光路を通じて、光子が流れ込む。

 衛星の中央部で青白い光球が脈動し、地上に向けた照準がロックされる。


◆ 照射


 地上。

 空が再び赤く裂け、巨大な光柱がエリスに向けて落下した。


 その瞬間、あらゆる音が消えた。

 ただ、光。

 街が震え、地面が波打つ。


「──っ!」

 エリスは咄嗟に障壁を展開する。

 空間が歪み、周囲の空気が焼け焦げた。


 防御魔法と衛星光線が拮抗し、都市全体を包む閃光が夜を白く染める。


◆ 管制室再び


「エネルギー残量3%! 冷却システム稼働──次の発射には180秒が必要です!」

「冷却プロトコルを衛星に送れ。再充填を急げ!」


 スタッフが叫び、無数のコードが流れる。

 人工衛星《AURORA-01》では、冷却パイプに液体窒素が流れ込み、コアを再冷却していた。


《再充填プロセス開始。完了まで残り178秒。》


 ジェームスは唇を噛みしめる。

「……時間が足りん。奴を止めろ。何としても!」


◆ 終焉の光景


 ウィザードたちはすでに全滅していた。

 エリスは焦げた地面の上を、静かに歩いていた。

 白いコートが血と灰で汚れている。

 しかし、その瞳は揺らがない。


 やがて彼女は、本社のガラス扉を押し開けた。


 管制室。

 スタッフたちは悲鳴を上げて逃げ出していく。

 ただ一人、玉座のような指揮卓の前でジェームス・レイベルンが立っていた。


「……来たか、エリス」

「あなたがすべての起点。ウィザードも、衛星も、私の創造も」


 エリスが歩み寄るたびに、床のホログラムが砕けて消えていく。

 ジェームスは手元のパネルを操作し、衛星に向けて最後のコードを入力する。


「最終発射コード、承認──」


《発射シーケンス開始。》


 だがその瞬間、管制卓の周囲にイリーナ・レイベルンの幻像が浮かび上がった。

 AIに融合した彼女の意識が、父の制御権を奪いに現れたのだ。


「お父様……もうやめて。人類の進化は、破壊ではない」


 ジェームスの指が止まる。

 エリスの瞳が輝いた。


 ──そして、静寂の中で最終決戦が始まった。

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