エピローグ.そして魔竜は高らかに踊る
本日は2本更新です
1月9月分②
今回の件が収束した後。
とてつもない変化を、ベルを襲った。
「コースケさん、ベルアインになにをしました?」
「へ⁉」
作戦会議室にて。
ヘリオスちゃんからの突然の質問に、俺は素っ頓狂な声を上げてしまう。
「い、いや……。なにもしてないけど……」
「本当ですか? ●●●をし過ぎたとか、●●●●をさせすぎたとか、ついには●●●を●●したとかしてませんか?」
「とんでもない単語をつらつら言うな!」
「す、すみません。焦っていたもので、つい分かりやすく言ってしまいました。……で、どうなんです?」
「してないよそんなこと! 俺を何だと思ってんの!」
「え? 性欲大魔神ですよね? 基本的には温厚ですが、『ヤッていい』場面となると、性欲のタガが外れる、性のケモノ」
「なんてことを!」
「まぁ魔人というと、伝承的にはあまり良いイメージはありませんか。では、大魔獣くらいにしておきましょう」
「そこじゃねえよ! ……とにかく、何もしてないよ。特殊なことは。……たぶん」
その……、アレだ。一般的な範疇だ。
「それに求める回数だってそんなに頻繁じゃないし、そもそも、最近になってようやく楽になってきたくらいで、そんな時間取れなかったしさぁ」
浮気する前の団地妻みたいなコメントになってしまったが、事実である。
というか俺、みんなが嫌がるようなことはしないって。ノーと言われれば引く日本人だ。
「ふむ……。言われてみればそうですね。コースケさんはお優しいですから、変なことを強要したりはしませんか……」
「力づくでどうこう出来るやつらじゃないしね」
「では●●プレイなどもしていないと」
「ヘリオスちゃん前までは猫被ってた⁉ 明らかにズバズバ言うようになったよねぇ⁉」
「真の仲間になりましたからね! えへへ!」
「かわいっ!」
勢いで許しちゃったところで一息。
まぁなんにせよ、特に変なことはしていないわけで。
「ベルに何かあったのか?」
「そうですね」
これを見てくださいと、ヘリオスちゃんはタブレットの魔法を起動する。
そこには現在、リアルタイムで任務に当たっているベルの姿が映し出されていた。
「今日は調子いいから、アリスとヒナに同行させたんだっけ」
「そうですね。……で、これを」
「――――ん?」
そこに映し出された、魔竜・ベルアインの動きは。
元に戻っていた。
「……………………あれ⁉」
「はい、そうです」
画面には、いつかの日のように。
何者かが何事かの理由で召喚した、超巨大ゴーレムが映し出されている。
その巨躯をベルは、蹴り一発で破壊する。文字通り一蹴した。
『クァッハッハッハッハッ‼』
「……これは」
ベルの強さの推移は。
一番はじめ、俺と組んだ時を百とするなら。
アリスが仲間になったことで、少しだけ減って九十五(アリスへ五)。
次にヒナが仲間になって、七十くらい(アリス五、ヒナ二十、その他五)
そしてヴァート、ルーチェが仲間になり。
世界のイメージを書き換える作戦を開始してからは、七十~十の間を行き来していた。
「……んだけど」
「これは……」
元に戻ったどころじゃねぇ。
余裕で百を超えてやがる。
俺と二人で冒険していた頃よりも、やりたい放題感が増していた。
『――――武装装填』
ベルは右手を空にかざし、掌へと魔力を収束させる。
そして出でる、彼女の専用武器である、『一回3000ゼイル♡』の立て看板。
難敵を前に、バニーガールが立て看板を掲げるという、その間抜けな絵面も。
彼女の笑みと、膨れ上がる魔力の前では。
消え失せる。
『クァ――――ハハハハハハハハハハハッッッッッ‼‼‼』
看板を振るう。
吹き荒れる魔力を纏うその一撃は、彼女の前に立ちはだかる様々な敵を跡形もなく吹き飛ばし、あたり一面を黒塵へと帰した。
「ヘリオスちゃん、これ……」
「大丈夫です! 住民の避難は完了しています!」
「そ、そっか! よかった……。けど……」
彼女の一撃で、街の半分が消し飛んだ。
それだけの力を持った魔竜が、戻ってきた。
『うむ! 調子いいのう! さすがは勇者のワシ!』
「……あぁ、そういうことか」
「どうしました?」
線と線が繋がったのだ。
まずは、現象としての説明から。
元々地上には、すでに八十名近い協力者がいて。天界――――勇者への信仰は増大していると言っていい。
加えて今回の聖剣事件。
これを解決したことで、イアの信者もまた、天界へとついてくれたのだ。
その数、イッキー・ツェーシマ島合わせて約二百人。その方々が、島を出て全国に散らばってくれている。
よって、地上での勇者信仰の数が、急激に増えたのである。
「それは分かりますが……、それにしたって、ベルアインの強さが安定しているのは……」
「あぁ。……仮装着の。勇者としての、力だ」
満足そうに胸を張るベルを見て、俺は納得した。
よく見るとベルの後ろに控えているアリスたちの下には、まるでヒーローを見るかのような視線を送る子供たちの姿があって。
もうすっかり、ベルは、バニーガールの勇者になっているのだ。
「勇者として、踏み出したんだなベル」
認識を変えなきゃいけないのは、世界だけではない。
当の本人の意識も、必要だ。
勇者として成るという、確固たる意志。
それがあいつの力を。
俺が与える力を、最大限に引き出している。
この事件は、やがて終息を迎える。
そして帰還したベルは、大きく笑って、みんなの前で高らかに言った。
「世界を救うぞ」
「世界を?」
聞き返す俺の言葉に、ベルは「うむ」と大きく頷く。
「この世界の『悪』の凝縮。諸悪の根源とも言える世界腫瘍。そして、我ら魔なるモノの故郷とも呼べる、混沌の地。そこから、攻めてくるモノがおる」
天を突くウサミミとは真逆へと、ベルの人差し指は下を向く。
それが示すのは、地の、底の底の底――――
「そう――――
魔神どもが住まう、魔界からのう」
俺たちの物語は。
ついに、本格的なところへ向かって動き始めた。
バニー勇者の魔討譚
第四章:END
バニゆうは久しぶりの更新です。
ご無沙汰しております、おふなじろーです! 第四章、お読みいただきありがとうございました!
さて第四章。
第三章からけっこう間が空いたこともあり、最初にキャラを全員出しときたいよなーという考えの元、プロローグを書き始めました。
ラチカとシャールはおふなじろーの過去作、『勇者のしつけも大変です!』のキャラクターの名前からとっています。ですが同じキャラというわけではなく、よく似た性格の他人ですのであしからず。
結果的に彼女たちが頑張って動いてくれたおかげで、後半畳みかけるようにいつものメンツを出すことが出来ましたので良かったかなと思います。全員大集合~邪神のバニー化のところは書いててすごい楽しかったです。
実は人知れず、『日和ってんじゃねえよ』問題を抱えておりました。
その内訳は、『キャラにエロいこと言わせると読みにくくならない?』というもの。
おふなじろーは基本的に、書きたいものを書いています。でもせっかく読んでもらえるのなら、愉しんでもらいたいというのも本音。
エッチなことに寛容なキャラクターというのが大好きな私ですが、それが苦手としている人もいるわけで。
「あんま伏字が必要になる会話をさせないほうがいいのかなー」と、けっこう悩んでおりました。
でも天恵を得たり。
とある作品を見たときに、「むしろここまでやっていいの? 怒られない?」と思い、日和るのを辞めました。
……で、コレが生まれたってワケ☆
まぁ、直接的なエロがストーリーに関わっているわけではありませんが、エロや性的なことが原動力となっているキャラクターが多いのも事実。作品のカラーとは切っても切れないものだなと思いました。
つーかこうも思いました。
「エロ単語を言わせない作品なら別で書けばええやん」と。
バニゆうは、性欲やエロスで出来ている。
むしろ言わせないこととか無理じゃね? アレよ。クラスのビッチみたいなギャルが、年明けから内申点のためにいきなり三つ編み眼鏡で真面目ぶるみたいなもんですよ。……あれ興奮すんなコレ⁉ 駄目な例えだったわ。
……とにかく。
作品のテイストは変えずに、次回もやっていくと思いますので、何とぞよろしくお願い致します。
ヒナとヴァートを喋らせるのがどんどん大変になっていく。
まず物語を書く(このときはある程度自由に喋らせる) → あとでギャル語を監修する(調べながらなのでここでかなり時間を使う) → アクション、リアクション描写をプラスする → 全体通してバランスがおかしくないか最終調整
それが二人いるってんだからよ大将! そりゃあこいつら扱うの大変だよなァ!
……ギャル、マジ、怖い。
楽しいからいいけど。
とにもかくにも、バニゆうでやりたいことをどんどん消化できています。
物語は佳境に入っております。
この先にある冒険のラストを、一緒に見届けていただければ幸いです。
それでは、また違う作品か、このシリーズでお会いしましょう!
あけおめ! ことよろ!
2024年/1月 おふなじろー




