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志望業種は――魔法少女で!  作者: 竹内緋色
第一唱 終わりの始まり 
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第十四羽 好きってなぁに?

第十四羽 好きってなぁに?


 お正月が終わり、もうすぐ冬休みも終わり始めるころです。

「先生。今日は暇?」

「すまないな。コロネちゃんを送っていかなければならない」

「先生。どうしてコロネだけちゃん付けなの?ロリコン?」

「特に理由などないが」

 ソラさんが楽しそうに話しているのを私は見ています。私はただ、見ているだけ……

「ほら、キワム。早く行くぞ」

 コロネちゃんはキワムさんの手を引いて玄関へと走って行きます。

 コロネちゃんとキワムさんの手が繋がれているのを見ただけで胸が苦しくなります。

 ソラさんも神妙な顔でキワムさんとコロネちゃんがつないだ手を見ていました。


「ふぅ」

 私は溜息を吐きます。吐く息はまだまだ白く、冬は長いことを私に知らせていました。

 私は一人、公園のベンチで座っています。大きな池のある公園というよりも遊歩道のような場所です。冬は寒いのか、人はそれほどいません。

「どうしちゃったんだろう。私は」

 家にいるのが辛くて、公園に逃げてきました。冬休みの宿題は終わっているのでどうとでもなります。ソラさんは急いで宿題を仕上げていました。

 ひたすらに何かに追いかけられているような焦りがありました。いつものようでなくて、それが不安で不安でたまらないのに、その原因が少しも分からないからより不安になります。このまま不安で胸が押しつぶされそうで――

「フキちゃん?」

 気がつくと目の前に心配そうな顔をしたコトちゃんがいました。

「コトちゃん。どうしてここに?」

 親友のコトちゃんです。黒い髪をカチューシャで止めた愛らしい顔だちをしています。

「お散歩してたら、フキちゃんを見つけたから」

「お散歩してる時でも本を持ってるんだね」

「好きだから」

 コトちゃんは嬉しそうにそう言いました。

 またもドキンと胸が痛みます。

「どうしたの?フキちゃん」

「なんでも……ないよ」

 私はコトちゃんに笑いかけます。でも、自分でも分かるくらいにぎこちない笑みでした。コトちゃんは黙って私の隣に座ります。

「わたしね、ちょっとだけいじけてるの」

「え?」

 突然の言葉に私はコトちゃんを見つめます。コトちゃんは少し頬を膨らませた後、にっこりと私に笑いかけました。

「だって、最近フキちゃんに色んな友達ができて、わたし、寂しかった」

「ごめん……」

「謝らないで。わたしはフキちゃんに助けられたんだから」

「そんなことあったっけ?」

 むしろ、勉強も運動もできるコトちゃんに私が助けられてばかりだった気がします。

「そうだよ。転校して独りぼっちだったわたしに声をかけてくれたのはフキちゃんだったから。わたしはとっても嬉しかった。この子はとっても優しくていい子なんだなって思った。可愛いし」

「可愛いなんて……」

 私はお世辞だと思いました。そんな私にコトちゃんはデコピンをします。

「いたいよぉ……」

「フキちゃんは自分が可愛くないと思ってるんでしょう?でも、そんなことない。フキちゃんはもっと自分に自信をもっていいんだよ」

「自信なんて……」

「フキちゃんは可愛い。可愛い可愛い可愛い」

「そんなに言われると照れるよ……」

 それにそんなに悪い気はしませんでした。むしろ嬉しかったです。

「だから、何があったの?」

 にっこりと笑ってコトちゃんが言います。

 コトちゃんは私から話を聞きだすために持ち上げたのだと知りました。でも、それは私のことを心配してのことだと分かっていました。

「友達っていうのは辛いことを分けるためにいるんだよ。世の中辛いことが多くて、一人では立ち向かうことができないこともある。そんな時、重い荷物を二人で持って歩いて行けたらちょっとしたことくらい乗り越えられるよ」

「ありがとう。コトちゃん」

 私は涙が出そうになって必死で我慢します。とても嬉しかったのです。私にはコトちゃんがいてくれる。いつでも味方になってくれる。世界で一番大切な友達です。

「そんな大切な友だちを放っておくなんてフキちゃんは女ったらしだね」

「褒めないでよぉ」

「褒めてないけど」

「ごめん」

 この一週間に色んなことが起こったと私は思い出したりしていました。

「私の友達の友達のFちゃんがね、悩んでるんだ」

「ふ、ふーん。Fちゃんね」

「う、うん。そのFちゃんは最近胸が苦しいの。病気とかじゃなくて、一緒に暮らしてるおじさんが他の女の子と一緒にいると何故だか胸がおかしくなって」

「あ、うん。一緒に暮らしてるおじさん?ね……きっとFちゃんはそのおじさんのことが好きなんじゃないかしら」

「好き?」

 私は思わず胸を押さえてしまいます。顔が熱くなって、体中も熱くなって――

「好きってなんなのかな」

「うー、そうね。好きっていうのはいなくなっちゃったら寂しいってことなんじゃないかな?わたしも本がこの世界から無くなっちゃたら悲しいから。いなくなっちゃったら悲しいっていうのは嫌いだったらそういう風に思わないから、みたいな?」

 小学生には少し難しい質問かもしれませんでした。

「フキちゃんは先生がいなくなっちゃったら寂しくて悲しいでしょう?」

「うん」

「だから、それはフキちゃんが先生を好きなんだっていうことだとわたしは思うな」

 そう言われて、はっと気づきます。

「どうしてそのことを?」

「いや、割りとバレバレだったから」

 物凄く恥ずかしい……

「でも、フキちゃん。例えわたしとフキちゃんが離れ離れになっても、わたしはフキちゃんの親友だから」

「私だって」

 ただ、コトちゃんがどうしてそんなことを言うのか私には分かりません。

「別に引っ越すフラグとかじゃなくて、女の子って男ができるとお互い疎遠になるらしいから、今のうちに言っておこうって」

「コトちゃんって物知りだね」

 本を読むと色々なことが分かるのでしょうか。

「コトちゃんは今、何の本を読んでるの?」

「『メディア』って本。古い劇の本ね」

「すごいなぁ」


「コルト。どこに行っていた」

「別にどこでもいいじゃねえか」

 コルトはめんどくさそうに言う。

「ザウエル。テメェは魔女っ娘の休日も管理しようってのか?」

「魔女っ娘か。聞いてあきれるな」

「んだと?」

「不用意に出歩くなと言っている。何があった」

「別に、ちょっとした恋のキューピッドになってやっただけだよ」

「……」

 コルトはにやりと笑った。


「うぅぅ。宿題が、宿題が終わらないよぉ」

 ソラさんが涙ながらに訴えていました。

「ソラさん、勉強得意なイメージがありましたけど」

「別に苦手じゃないの。ただ、うん。時間がかかると集中力が」

「お姉さま、絵のことになると時間を忘れるのに」

「好きだったらなんでも忘れちゃうの。一途な乙女なの!」

「え?乙女?」

「こら!全員でお前おばさんだろみたいな顔しない!」

「仕方がない。コロネちゃんが手伝ってやろう」

「え?」

 ソラさんはカエルのような声を出します。

「コロネ。あんた、わたしよりバカでしょう」

「そんなことないぞ!コロネちゃんは天才なのだ」

 すると、コロネちゃんは数学の問題を簡単に解いてしまいました。

 私はこんな、みんなと過ごす日常が大好きですし、また、どうもキワムさんのことも大好きなようです。欲張りな私はそのどちらもを手に入れたいと思いました。


「でも、もし、どちらかしか選べないのだったら、フキちゃん。あなたはどちらを選ぶのかしら」



 ふとこっちではまじめな話をしてみる。

 もうすぐ小説を書き始めて3年になる。最初は本当に書けなかった。今でもよい文章力とは思っていないが、それでも物語になっているのだからまだよい方なのだ。初めのうちは長い作品を書くのも難しかった。長いものを書けるようになったのは本当に初めてで、10万字を超えるのは予定であるこの作品を含めて2作目である。(続編を含めると3作ある)

 最初は一作品四章構成で起承転結的なもので書いていたけれどいつの間にかそれもなくなってしまった。ショートエピソードを連ねれば長い作品になるのだけど、いつの間にかこれは書けるようになっていた。いろいろとステップアップしてきたのだなあと思ったりもする。

 実は私は男性作家の書く女性が好きで、特に女性一人称が好きだったりして、本当はそっちの方が主流であるにもかかわらず、あまり女性一人称で書くことが最近はなかった。なので、ちょっとこの小説を書いていてうれしく思ったりもする。女性から見れば理想像などと思ったりするのだろうが。恋愛系が苦手な方はつらいかもしれないが。あるいみ竹内緋色をメモリアルする作品になる気がする。

 あと、この作品、カクヨムに連載始めました。内容は変わりませんが、向こうの方が連載が遅れる気がします。

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