旅へ
月での生活もそこまで苦ではなかった。
なぜなら、月にいくつもダンジョンがあったのだ。
月のダンジョンは、不思議なことに俺が出会ったことのあるモンスターしか出ないダンジョンだった。
スキルをどんどんコピーして、俺にとってはまさにボーナスステージだった。
各ボスモンスターは、全てキマイラで、階層が下がるにつれて、どんどん凶悪なスキル構成になって、襲いかかってきた。
100階層にたどり着いたときのボスは、ドッペルシャドウというモンスターで、ドッペルシャドウのスキルは、パーフェクトトレースだった。
初めて、相対した時には、こちらが、スキルコピーする前に、パーフェクトトレースを使われてしまう。
俺をパーフェクトトレースしたドッペルシャドウは、斬るより先のキズを使ってくる。
完全に先手を取られてしまった。
俺も、斬るより先のキズで、応戦するが、スキルもステータスも同じでは、先に、攻撃を受けた俺がやられてしまうだろう。
このままでは、まずい。
俺は、並列思考に、思考加速を使い、眠れる才能を最大限に使う。
体が危険信号を発しているのがわかるが、無視。
体の異常は異常喰らいに任せて、突き進む。
ドッペルシャドウが、霧のように細かく切り刻まれて、胡散した。
先に、攻撃を受けて、追い込まれたが故の勝利だった。
ドッペルシャドウは、ダンジョンの最終ボスで、倒したあとの宝箱から、50万ポイントと1回の攻撃を2回にするダブルアタックというスキル、そしてミスリルの塊が手に入った。
そして、もちろん同タイプダンジョンを周回した。
ドッペルシャドウも1体テイムした。
月でやることも無いので、地上に戻ることにする。
地上に戻るとすぐに剣聖が現れた。
やむを得ない。
俺は、テイムしたドッペルシャドウに剣聖の相手を頼んだ。
剣聖は、ドッペルシャドウが、剣聖の姿をとると、すぐに俺から興味を無くし、ドッペルシャドウ相手に戦いはじめた。
ドッペルシャドウも剣聖の戦闘狂いなところもトレースしたせいか楽しそうだ。
俺は、剣聖とドッペルシャドウを横目に自宅に帰ることにした。
「あ、生きてた?」
エリーが、俺の自宅でテレビを見ていた。
「ああ、生きてたよ。」
エリーから、色々話を聞いて、地球民の立場は悪くないことを知り、少し安堵した。
「これからどうする?」
「もう、戦いはこりごりだ。しばらく、近所の畑仕事とか手伝おうと思うよ。」
「そういうのもいいね。この世界、イノシシ感覚で、ワイバーンとか出てくるし、困る人も多いと思うから。」
「あとは、前に、エリーとやったみたいに建築して楽しむのもありかなあとも思ってる。」
「ああ、あれも楽しかったね。」
「エリーは、どうしたいんだ?」
「私は、この世界を回ってみようと思うよ。まだまだ、攻略出来てないダンジョンもたくさんあるし…。」
「じゃあ、ここでお別れかな。」
「私の予知によると、一郎が一緒に来てくれないと結構死んじゃうんだけどなあ…。」
「…。俺もう、戦いたくないんだけど。」
「可愛い女1人を危険な旅に出すって、ちょっとどうかと思うなあ…。」
「…。出発はいつ?」
「今からでも!」
「わかったよ。行こうか。」
エリーと一郎は旅先で、トラブルに巻き込まれたり、誰も攻略出来なかったダンジョンを攻略したり、いつの間にか仲良くなっていたりしたのだが、それはまた別の話。
読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m




