表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
長編版 王太子に婚約破棄されましたが幼馴染からの愛に気付いたので問題ありません  作者: 天田 れおぽん @初書籍発売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/36

王太子夫妻の亀裂

「なぜ出来ないっ⁉」


 ペドロは苛立っていた。


 結婚して一年が過ぎても、二年が過ぎても、ミラには懐妊の兆候がない。


「子どもができなければ、王位を継ぐことができないではないかっ」


 苛立つペドロにとっては、豪華な調度品も道具に過ぎない。


 だから怒りに任せて振り回した手の先で、高価な壺が大きな音を立てて割れても、そのこと自体はどうでもいいことだ。


 ペドロには、もっと気になることがある。


「私はお前に「金の魔法」をかけたはずだ、ミラ。なのに、なぜに子ができない⁉」

「そう言われましても……」


(ペドロの苛立ちは分かるけど、こっちだって困ってるのよ。私だって、子どもが出来ずに悩むなんて思わなかったわ)


 ミラにしても、子どもができないというのは計算外だった。


(子どもってやるべきことをやってたら、出来るもんじゃないの⁉)


 すべきことはしっかりしていたミラにとって、子どもができない原因を1人背負わされるのは、言いがかりも甚だしいとしか思えない。


(お医者さまにだって、私の体に問題はないと言われているのよ? これ以上、どうしたらいいのよ)


 ミラにしても、単純に受け身でいたわけではない。


 様々な手段を講じているのだ。


 シェリダン侯爵家の伝手も使って、子どもを授かる努力をしている。


 だが、出来ないのだ。


「父と側妃の間に子どもが出来た、という噂も流れてきている。しかも、あの側妃の実家には力がある。シェリダン侯爵家の協力があるから、子が出来なくとも次期国王は私になるだろう。だが私の次に国王となるのは、その子になってしまうかもしれない」


 ペドロはギリと音がするほど歯を噛みしめた。


 時間が経つにつれ、ペドロの危惧は現実に近くなっていく。


 結婚から三年が過ぎるころには、周りからの圧力はより強くなり、なかなか妊娠しないミラの立場は悪くなっていった。


「せっかくお前に目をかけてやったというのに。子をなすという簡単な女の務めも果たせないとは」


 侮蔑の言葉と共に、シェリダン侯爵家からも圧力をかけられた。


(だからって私にはどうしようもないじゃないっ)


 ミラは唇を噛んだ。


 側妃が男児を産んだことで、王妃からも嫌味を言われた。


「貴女が息子との間に子をなせないから、王が張り切りって新しく子を作ってしまったわ。結婚に反対もせず貴女を受け入れたというのに、恩を仇で返されるなんて。なんて私は不幸なのかしら」


 そう言って鳴きまねをする王妃に、ミラは黙って頭を下げるしかなかった。


 子を授かれない王太子妃への風当たりの強さは、多岐にわたった。


「そのくらいは当たり前」

「しっかりしてくれなくては困ります」

「コレも、やっておいてくれ」


 公務や社交、日頃の生活態度など、様々な場面でペドロや両陛下に叱責を受けた。


(何なのよコレ。私は王太子妃なのよ⁉ 使用人ではないし、ましてや奴隷ではないっ!)


 ミラ自身がそう思っていても、周りの対応は変わらない。


 最近では、使用人たちの態度もおかしくなってきたような気がする。


(子どもさえできれば……)


 勝ったと思っていたアリシア・ダナン侯爵夫人のところには、また子どもが出来たと聞いた。


(あの女に出来て私に出来ないって、おかしいでしょ⁉)


 そうも思っても、叫ぶことはできない。


 ここは王宮。どこにスパイがいるか分からない。


 ミラはキッと唇を噛んだ。


 最近はペドロも夫婦の寝室ではなく、側妃のもとに行く夜が増えた。


(これじゃ、出来るものも出来ないじゃない……あぁ、子どもさえできれば……) 


 しかし1人寝では子どもはできない。


 それが分かっていても、ミラは1人寂しくベッドに横になるしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ