第25話:終結
「……なっ!……」
悪魔の驚きの声が木霊する。
腕を庇いながら刀夜から離れようとする悪魔に追撃を放つ。
「これで終わりだ! 『霹靂神流…弐ノ型…霹靂乱舞』」
絶え間ない連撃を悪魔に浴びせる。それも、全て身体の急所と呼べる場所に。
悪魔は何とか反撃をしようとするが絶え間ない連撃に加え急所への攻撃の為、受け手に回るしかなく。それでも、全てを防げるわけではなかった。
「……グッハァ……」
絶え間ない連撃が終わると一呼吸する事が出来たが、呼吸をする前に吐血し仰向けになって倒れている。
「……まさか、これ程とは……」
「よく喋れるな。そんな状態で」
「……これでも、我は悪魔だ、なめてもらっては困るぞ……」
「そうかい。悪魔ってのはここまで人間離れしているとは思わなかったよ」
「……お主も我とおなじ悪魔だろうに。まさか、我が同じ上位魔将に殺られるとは……」
「それは少し違うぞ」
「……ぬっ? それのなにが違うというのだ?……」
「俺は上位魔将じゃなく悪魔皇だ」
「……なっ!……」
驚いた様子の悪魔だが、すぐに冷静になり問い掛けてくる。
「……それは有り得ん……」
「事実だ」
「……お主が悪魔皇の訳が無い……」
「いや、事実だ」
「……では、なにゆえお主はそこまで弱い……」
その言葉が胸に突き刺さるかのような衝撃を受けるが、怒気が混じった声音で問い掛ける刀夜。
「何が言いた」
底冷えするような声音で言い放つ刀夜に平然と事実だけを述べるかのように答える悪魔。
「……我は上位魔将の中でもトップとまでは言わずともそれに近い実力はあるつもりだ。だが、悪魔皇は我より遥かな強い。だが、お主は我と互角といったところじゃろ?」
「それが事実ならば、確かに俺は弱い。だが、これでも悪魔皇だ。まぁ、お前に信じて貰おうとは思わん、これから死にゆくんだ。信じて貰わなくても構わん」
「……ふむ。確かにその通りだ。だが、今のお前では他の悪魔に利用されて終わるのが目に見えておる。それでだ、どうだ? 我はお主の下僕にするのは……」
「はっ? 今更、命乞いか?」
「……いいや、それは違う……」
断固違うと目で訴えかけてくる。
「……面白いと感じたのだ。お主がこれこらどう生きどう成長し、これから来るであろう困難にどう立ち向かうのか。ただ、それが見たくなっただけの事……」
「本気で言っているのか?」
「……これまでどの悪魔皇からの誘いも断った我が嘘を吐くとでも?……」
「断ったかどうかは知らんが」
「……では、ひとつ聞くがお主には我を倒せる程の強者が仲間に居るか……」
「いいや、いない」
「……やはりな。お主以外の悪魔皇には少なくとも上位魔将を1人従えておるだけでなく、百以上の悪魔を従えている……」
どんどん追い込まれているのは気のせいだろうか。それに、もし他の悪魔皇が攻めてくれば、確実に負けるのは前に見えている。だが、この悪魔が仲間になれば少なくとも現状よりは勝算が出るのも確か。だが、裏切らないとも限らない。
悪魔が内心を見透かしたように言う。
「……我は裏切るつもりなぞない。お主がどういう結末を迎えようと我は見届けるつもりだ……」
「はぁー、分かったよ。でもさ、その状態からどうするんだよ」
悪魔の状態を簡単に説明するのであれば手足がない状態である。
「……魔力がある程度戻り次第、すぐに戻るぞ……」
うわぁー、マジか。悪魔やべぇー。まっ、俺も悪魔なんだけどね。
「ってもなぁー、お前をこのままここにおいて置くと面倒事になるしなぁー。っても、連れていくにも無理があるわけで」
「……ふむ。なら、しばし身を隠すというのはどうだ?……」
「動けるのか?」
「……元通りに戻るのが遅くなるが無理ではない……」
「そうか、ならそうしてくれ」
「……では、主よ。元通りに次第、主の元に現れるとしよう……」
「そうしてくれ。あとくれぐれも逃げるなよ」
「……うむ。わかっておる。ではの……」
忽然と姿を消す悪魔。
「この後どうするかなぁー」
しっーんと静まり返った場所にそう木霊するのだった。
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