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赤毛のアンコ!  作者: @
15/15

デンジャラスアトラクション

二つに分けた後半です。まだかけたんですけど三部作は日常系にしてはどうだろうかと言うことで辞めました。ノリもくどいと思いまして。

男と女がいちゃつく憎っくき行事であるデート。私は今日イケメン高校生である修羅にデートに誘われて今遊園地にいた。

だが、そこに突き刺さる謎の視線!多分修羅に思いを寄せている桐島の視線だろう。それにより監視されている私たち。鈍感な修羅はその視線に気づいていない。私だけでこの状況を切り抜けることができるのだろうか。


というわけで前回のあらすじはこんなところだ。まあ、私がいろいろおしゃれしたりなどあったけどこの際どうでもいい。桐島は私の大事な友達だ。これを機に縁を切るなんてことがあったら私はこの先ショックでまともな人生を送れなくなるかもしれないのだ。


「フッ、アンコよ。まずはどこに行く?」


「帰る?」


「今来たばかりで帰るを選択するとはなかなか攻略の難しいやつだな。ツンデレか?」


「ツンデレじゃないわよ。そういう修羅はどこに行きたいのよ」


私は極めて普通に会話する。これ恋人みたいなことをしたら覗き見してる桐島がなにするかわかったもんじゃない。


「そうだな…。いきなりジェットコースターなんてどうだ。日々のストレスをいきなりこれで吹き飛ばすんだ」


「あージェットコースターね」


私はイマイチ気乗りしない。みんな知ってると思うが私は乗り物酔いがすこぶる激しいのだ。電車に揺られるだけで酔ってしまう。だからあんまり乗りたくないんだけど…。

そこまで思考が及んだところで桐島を思い出す。そう、今この瞬間も桐島は私たちのことをみているのだ。正確に言えば私たちの右手にあるゴミ箱の裏に。ここで私がカス野郎に成り下がり修羅の好感度を大幅ダウンさせる。そしてデートは一瞬にして空中分解するのではないだろうか。そう考えた私はジェットコースターに乗ることを決意する。


「私実はジェットコースター大好きで遊園地に来たらいっぱい乗っちゃうのよね。まずはジェットコースターでも全然問題ないわ」


「そうか。ならこの入場口から一番近いジェットコースターの『ぐるぐるジェットコースター』にでも乗るか」


うっ、もう名前からして危険な予感しかしない。いや、もう覚悟決めたんだ!


「ぐるぐるでもペヨンペヨンでもなんでも来いって感じよ」


「ペヨンペヨンってなんだよ…ケツを叩いている音か?フッ…興奮して来た」


なに言ってんだこいつ。まあ、いいや。修羅がわけがわからないのはいつものことだしさっさとジェットコースター乗ってゲロインになって帰りましょう。


〜ぐるぐるジェットコースター前〜


私たちはそれからしばらく歩きぐるぐるジェットコースターなる場所まで来ていた。


「ねえ修羅」


「どうした」


「思ってたよりぐるぐるしてない?」


「そりゃ、ぐるぐるジェットコースターだからな。思ってた以上にぐるぐるしていないと名前負けするだろう」


そりゃそうかもしれないけどさ!前にもこの遊園地に来たことあるがジェットコースターは苦手ということでほぼノータッチだった。まさかこんな凶悪な乗り物がこの敷地内にあるなんて…。

目の前には初めから一回転二回転とぐるぐるした後ドリルのようにぐるぐるなって終いにはドリル一回転するような取り敢えず回しとけみたいなジェットコースターがあった。

別に私は普通のジェットコースターでもようのでこんなにぐるぐるしなくてもいいんだけどな。


「ほぉ、流石早めに来ただけある。3分待ちらしいぞ。休日だとここは最大30分待ちくらいになるからな」


30分待ちがどのくらいすごいのかわからないが大きな遊園地だと1時間待ちとかザラにあるらしいし多分しょぼいと思う。てか、誰もこんなぐるぐるしたジェットコースター乗りたくないんだよ。


「実は俺ジェットコースター苦手でな。見ろこの冷や汗を。だが、お前の楽しむ顔を間近でみたいから乗るんだぜ」


「そこがんばって彼氏ヅラしようとしなくていいから…って冷や汗すご!ちょっと修羅大丈夫なの?」


「ああ、大丈夫だ。なんてったって俺は今日だけお前の彼氏みたいなもんだからな。手を握ってくれるか…それだけで生きてるって実感できる」


「手ぐらい握るわよ。本当に大丈夫?」


実際私もそんなに大丈夫ではないため修羅の右手を両手でぎゅっと握る。その瞬間…バキィッという音が後方から聞こえた。


「…なんか音がしなかったか?」


「あ、ああ多分BGMよ。BGM」


「そうか」


もちろんBGMなどではない。きっと後ろから私たちを監視している桐島が手を握っている様子をみて何かを破壊したのだろう。かといってここで急に手を離したりしたら不自然だし…どうしよう。


「では次のお客様どうぞー」


やった!やっと私たちのジェットコースターに乗る順番になった。ナイスタイミングだよ。


「よし、私たちの番だよ。いこっか」


「見ていろアンコ。これが覚悟を決めた男の全てだ」


そんな変なことを修羅がいいながら私たちはジェットコースターの真ん中あたりの席に着く。


「ねえ、もう手離していい?」


「これは俺の命綱みたいなものだ。頼むから離さないでくれ。俺は死ぬ」


バキィバキィ。


いや、これ離さないと私が死ぬんだって!


「取り敢えずこのままだと危ないから離すよ」


そういって私は無理矢理手を離す。


「さあ〜もう少しでジェットコースターの方が発車しまーす」


手を離した瞬間に前のお姉さんがニコニコしながら発車の合図をして来る。


「では行きまーす。グルグルドンドン発車〜ピー!」


「「「「「「ヒェア!!!」」」」」」


開幕の合いの手適当かよ!


「では、いってらっしゃーい」


手を振るお姉さんを通り過ぎカタカタと車体は上へ上へと上がって行く。


「ハァ…ハァ…ァァン…」


「修羅喘がないで。普通にキモい…」


「すまん。我慢する。フゥゥゥゥ…。フォォォォ。コォ!」


「もうどうあがいてキモくなるところむしろ好きになって来たよ」


「そうか、ありがとう」


「褒めてないし…」


そんなどうでもいい話を指摘を紛らわそうとするもののジェットコースターは変わらず同じスピードで上がって行きとうとう頂上まで来てしまった。


「くるぞ…」


「言われなくてもわかってるわ…よ!」


言ってる途中で坂を下り始めた!


「キャアアアアア!!」


「フハハハハ。フワッハァ!」


そして第一の関門連続2回転のコースにたどり着く。


「キャアアアアア!」


「ハハハハハ!良いぞ良いぞ!さらに回れ!ドラゴンノヴァよ!」


ドラゴンノヴァって何よ!そんなツッコミもこの恐怖の中では流石に言えず絶叫だけを吐き出し続ける。


そして第二の関門ドリルコースにはいった。


「キャアアアアア!」


「旋回せよぉ!ローマの尖兵よ!」


ドラゴンノヴァローマの手先だったのかよ!てか、ドリル状に回ってるだけで別に旋回はしないよね。


そして最後の関門。ドリル回転しながら一回転するところに来てしまった。


「キャアアアアア!」


「いや、これやばいって。これやばいって!」


いつの間にか素に戻ってる。まあ、確かにこれやばいけどさ。


そんなこんなでやっとジェットコースターは元の開始地点まで帰って来た。なんかとても長い旅をしていたようだ。


「皆さんお疲れ様でーす。では荷物の方を持って退場ゲートの方にお進みください」


帰って来るやいなやお姉さんが笑顔でそういうので私たちはフラフラしながらぐるぐるジェットコースターを去る。乗っている時は良かったが降りるとなるとそうとフラフラしてしまう。ただ望みのはずだったゲロインにはなることができなさそうだ。どうやら三時間の電車通学のおかげで乗り物酔いに耐性がついてしまったようだ。


「ねえ、修羅ちょっとフラフラするからベンチで休んでもいい?」


「別に構わんが…俺も一緒に休んでもいいか。世界が回ってるんだ」


「ん?ああ、あんたもフラフラなのね。いちいち分かりづらいのよ」


とても分かりづらかったが取り敢えず修羅もベンチで休みたいということで私たちはぐるぐるジェットコースターを出て近くのベンチに腰掛ける。

チラッチラッと周りを見回してみると隣のベンチの裏に桐島はいた。あれで隠れてるつもりなんだろうか。でも、修羅は気づいてないみたいだしいいだろう。


「ジェットコースターもなかなか楽しいじゃないか。もう一回乗ってもいいな」


「そんなこといいながらヘロヘロじゃないの。しばらくしてから他のやつ乗りましょうね」


「うむ」


この状態でまたなんか乗ってしまうとゲロインどころの話じゃなくっなってきそうだ。世界初のゲロ吐血糞まみれヒロインなんて酷すぎるだろう。


「なあ、アンコ」


「今度は何?」


「頭に埃がついてるぞ」


「え、嘘!」


私がそれを聞いて頭をわしゃわしゃしてると顔だけイケメンの修羅がそっと頭の上の埃をとってくれた。


「とれたぞ」


「あ、ありがとう」


思いがけない恋人っぽいことにもじもじしているとドカンという大きな音がして隣のベンチが宙を舞った。私たちの頭の上を通って向こうの方まで飛んで行く。


「…なんだあれ」


遠くに飛んで行ったベンチを見て呆然とつぶやく修羅。恋人っぽいことにをした瞬間に宙を舞ったベンチ。こんなことするやつに目星はついてる。桐島がいた方に目を向けるとベンチはそこにはなくいつの間にか桐島もいなくなっている。やはり桐島が飛ばしたのだ。そんな腕力どこから出て来るんだ…。


「か、かなりバイオレンスな仕組みね。この遊園地の楽しみ方の一つなのよ。急に宙を舞うベンチ」


「そうなのか。パンフレットにはそんなこと書いてなかったが…」


「彼女を本当に喜ばせたい時その事を彼女に言う?」


「いや、本当に喜ばせたいならサプライズがいいな。もちろん彼女には隠す」


「つまりそういうことよ」


「そういうことか!なるほど…奥が深い」


はぁ…良かった修羅が馬鹿で。ベンチが宙を舞うなんて普通あり得ないでしょうが。


「俺はそろそろ大丈夫だが、どうだ?いけるか?」


「うん、私も大丈夫みたい」


そう言ったら修羅はさっと立ち上がりてを差し伸べてきた。イケメンだけが許された行動だ!私はその手を取って立ち上がろうとする。

だがそこで気がついてしまった。この刺すような視線を。私がこの手を取ったら桐島が今度は何をするかわからない。


「全くなにやってんだ」


私が手を取るのをためらっていると修羅が強引に私の手を取って強引に引き上げてきた。少女漫画からきたイケメンかよ!やばいやばい。今度こそ桐島が………ってあれ?何も起こらない。もしかしたらベンチの件でやばいと思って遠くに行ったのかもしれない。良かったぁ。

そう思った矢先…ドォンという音が後ろで響き私たちの間をゴミ箱が高速で通過して行った。


「……バイオレンス。」


いや、バイオレンスすぎるわ!さっきの間は拳に力を溜めてたのか。


「全くどういう仕掛けで飛んで来るんだ?」


流石の修羅もこれには疑問を感じたらしくゴミ箱が飛んできた方に目を向ける。

そこはバッチリ右ストレートを決めた霧島の姿が。


「あ、あら御機嫌ようアンコと修羅」


何事もなかったように挨拶をして来る桐島。いやいや、無理があるでしょ。


「お、桐島も来てたのか」


普通に返してるし、鈍感すぎるよあんた。まあ、こうなった以上私も何もしない訳にはいかないよね。私は取り敢えず桐島の方を歩いて向かう。その道すがらさっきの桐島が隠れていたベンチが目に入る。ん?よく見ると地面になんか文字が掘ってあるぞ。どれどれ。

私が目を凝らしてその文字を解読して見ると『あの赤髪の少女をその髪と同じ色に染めてあげたい』と書いてあった。いや、こええよ!表現の仕方がガチじゃねーか!途端に近づく気が失せたよ。でも、私が歩いて桐島の方に行ったので修羅もつられて歩くわけでもうこの歩みを止めることはできない。

とうとう霧島の前まで来てしまった。取り敢えず私は防御体制。


「桐島は一人でここに来たのか?」


「いいえ、新生も一緒ですわ」


え、嘘。新生も一緒なの。一回も見てないんだけど。


「面白そうなところに俺はいるぜ」


近場のマンホールから新生が出てきた。あんたが一番面白いわ。私たちの話よりあんたの話の方が面白そうなんだけど。


「いやー、なかなか面白いもの見せてもらったぜ。アンコお前に一ついいたいことがある」


「なによ」


「すっかりメスの顔になってたぜ」


「一生マンホールを住処にしたら?」


そう言うと新生はしずしずマンホールに戻って行く。本当に戻って行くとは。


「すみませんね。まさか私たちが遊園地に行く同じ日にあなたたちのデートの予定があるだなんて思いもしませんでしたわ。お邪魔でしたわね。ふふふ」


なにその含み笑い怖い。桐島殺人犯の目をしてるよ。


「いや、もうデートは終わりだ。せっかくお前たちがいるんだからこんなデートお終いにしよう。いいかアンコ?」


「私は別に構わないわよ」


これ以上やると本気で命に関わりそうだし。


「え、そんなに簡単にデートを終わりにしていいんですか?」


「いいもなにもデートって言ってもなぁ…」


そこで私たちはこのデートの本当の意味を霧島に教えた。


「まあ、そうでしたの。いやぁ、アンコも災難でしたわね。おほほほほ」


まあ、これで誤解は解けただろう。かなり上機嫌だし。


「じゃあ、今度は四人で遊園地回るか」


「そうね。新生早く出て来なさいよ」


バカンとマンホールが開いて新生がにゅっとでてくる。その地下で私たちの話とかどうやって聞いてんのよ。


「四人で遊園地かなかなか面白いじゃないか。よし、写真部遊園地に行くの回始まるぞ!」


「もう来てるけどね」


「変な茶々入れんなよ。奥の方から回って行くぞ」


やっと四人揃ってぞろぞろと歩いていく。桐島が修羅にべったりだったので必然的に私と新生で並んで歩くことになった。


「なあ、アンコ」


「なによ」


「その服姉ちゃんのだろ」


新生は私の服を指差しながら言った。心情が人の服についてなにか言うなんてと思ったが、新生が私の私服を見るのは初めてだった。いつも制服だからね。そりゃなんか言うよね。


「まあ、そうだけど」


「やっぱりそうか。そのワンピース姉ちゃん着てたもんな。それにしてもサイズあってねえな。めちゃダボダボじゃねえか」


「そんなにダボダボじゃないわよ少しだけよ。それともなに私が小さいっていいたいの?あんただって身長低いくせに」


「う、うるせえな牛乳なんてあてにならねえんだよ」


安易に牛乳に頼ってる時点で自分の身長の低さ気にしてるってことを公言しているようなものだ。女の子は小さい方が可愛かったりするから全然気にしないけどね。でも、牛乳は大好きだよ。


「似合ってるよ」


「なんて?」


「いや、だからその服がアンコに似合ってるって言ったんだよ」


思いがけないその一言に私はカァァと顔が熱くなって行くのが分かる。


「…なによ。それを先に言えばいいのにさ。タイミングが悪いのよ」


「ククッ。これはデレ期到来かな。さて、遊園地奥の方に着いたことだし。まずはこれでも乗りましょうかね」


新生はさっきのぐるぐるジェットコースターよりも巨大でえげつない動きをするジェットコースターを指差した。


「デンジャラスコースターだそうだ」


確かにこれは危険だ。私はこれに乗ったらゲロインでは済まなくなる。


「ねえ、新生これはちょっとやめた方がいいんじゃないかな。最初からこれっていうのはね。やっぱり最後とかに乗るものじゃない」


「ああ、だから最初と最後に乗るんだ。テンション上げて行こうぜ!」


「でも、待ち時間とかあるじゃない。それを考えるとやっぱり最後の方が…」


「その点問題ありませんわ。私の力で並ばなくても乗れるようにすでに手配してありますので」


余計なことしやがって。おっと心の声が乱暴に。


「じゃ、乗るか」


「ちょ、ちょっと待ってよ。確か修羅がジェットコースター苦手って言ってなかった」


そうだ冷や汗までかいていたのだ。きっとこの流れを止めてくれるはず!


「ジェットコースターが怖い?フッ、それは昔の俺さ。このジェットコースターもなかなかどうしてそそるじゃないか。俺がこれに乗ることは確定事項だ」


「だそうだ」


「うー、もう乗ってやるわよ。乗ればいいんでしょ」





〜帰宅〜


「おかえりー。どうだった遊園地は」


「ええ、ゲロにとどめましたよ…。頑張って…」


そして服も死守したぜ。それを言う前に私は力尽きその場に倒れてしまった。


さて、これにて遊園地は終わりです。コメディだけだと疲れますね。次回からはとうとう夏休み編です。5、6話くらいで終わればいいんですけどね。

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