美術部
次の日、さっそく部活動の勧誘イベントが行われた。
パルフェ学園の部活は兼部が一部認められている。
ロマはメインに美術部、それと月二回しか活動のない家庭科部に入ろうと決めていた。
美術部の部室に見学に行ってみると様々な生徒達の絵画や美しい彫刻、立体物が並べられていた。
どの作品からもこだわりがよく伝わってきた。
うわぁ……みんな上手過ぎるよ。
絵の具などの画材の匂いがロマの心をくすぐる。
感動しながら見学していると先輩が声をかけてきた。
「美術部へようこそ!私は二年のミカソです!よろしくね!入部届は預かりますね」
ミカソ先輩は明るくて良い人そう。
「今年は男子がいっぱい入ってきてくれて嬉しいわ!二年は女子ばかりだったから」
確かに先輩達の喜びようは凄かった。
先輩達が部室の奥に佇む、天使のような作品を囲んでいる。
よく見ると天使かと思ったものはシキだった。
もしかしてシキ君も美術部に……?
だから特に先輩達は喜んでいたのか。
部室の隅の方にもう一人、ルキの姿もあった。
思い切ってシキに声をかけてみよう。
「シキ君はじめまして、ロマです。俺も美術部希望なんです。よろしくお願いします!」
ロマが少し緊張しながら挨拶するとシキは穏やかに微笑んで
「こちらこそよろしく、ロマ君」
とその声は春風みたいに優しくロマの心を温かくした。
近くで見るとアメジストの様な紫の瞳と整った白い肌。
すごく眩しい。
やっぱり天使のようだ。
ルキに昨日の入学式の事をもう一回謝ろうと声をかける。
「俺はロマです。入学式では不快な気持ちにさせてごめん。クラスも隣の席で一緒だよね、もし良ければこれからもよろしく!ルキ君」
「……よろしく」
挨拶してみたもののまだ怒っているのかも。
反応が薄く、前髪と眼鏡が邪魔して表情がよく見えなかった。
ロマは少し落胆したが返事を短くても返してくれただけでも今は充分だ。
「久しぶりだね……。また会えて嬉しいよ、ルキ」
シキがルキになんだか遠慮がちに話しかけるところが見えた。
ルキは「おう」と一言残して美術室から去ってしまった。
「シキ君とルキ君って知り合いだったの?意外な組み合わせね」
ミカソ先輩がシキに尋ねるのを見た。
「幼い時によく遊んでいたんです」
シキとルキは友達だったのか。
今はそれほど仲良くないみたいだけど、どうしてなんだろう。
これから俺もみんなとうまくやっていけると良いんだけど。
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