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色彩のきずな  作者: 潮騒めもそ


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第1話 水色の出逢い

 ロマのパルフェ学園高等部入学式の日。


 校庭の満開の桜が青空に映え、花びらが道を薄桃色に染め上げていた。とても綺麗だ。



「学園生活、いっぱい楽しみたいな!」


 ロマは少しの不安を抱きながらも、新たな学園生活への期待に心をおどらせた。



 パルフェ学園では、基本的な授業のほかに、生徒それぞれが学びたいこと――スポーツ、農業、商業、美術など――多岐にわたる分野を自由にカスタマイズして学ぶことができる。


 ロマは美術部に入って、たくさん絵を描こうと決めていた。キャンバスに向かって色を重ねている時間が、とても楽しいからだ。



 講堂へ向かって歩いていると、女子生徒たちの騒ぐ声が響き渡っていた。



「ねぇ、あの人すっごく格好良くない?」


「やばっ! イケメンすぎ!」



 騒ぐ女子はちょっと苦手だが、“イケメン”という言葉には少し興味を引かれ、ロマは声のする方へ振り向いた。


 そして思わず息をのむ。



 心地よい風とともに、桜の花びらをまとったような男子が歩いてくる。


 紫がかった桜色の髪が風にふわりとなびき、耳にかける仕草すら気品に満ちていた。まるで桜の精霊かと見間違えるほどだ。


 なんというか……住む世界が違うような。



 穏やかな表情の紫色の瞳と、一瞬だけ視線が合う。


「うわぁ、今日から俺も同じ学校に通えるなんて、幸運だな。でも、俺、場違いなんじゃ……」


 視線はその桜の精霊のような男子の後ろ姿に釘付けになり、足が動かない。


 そろそろ講堂に行かなきゃいけないのに。



 やっとの思いで心臓の高鳴りを抑え、ロマは急ぎ足で講堂へ向かった。



 入学式が始まり、新入生代表の挨拶で、さきほどの桜色の髪の男子が壇上に立った。


 名前はシキというらしい。



「この度、新入生を代表してご挨拶申し上げます。パルフェ学園の名に恥じぬよう、皆と共に学び、成長することをここに誓います」



 シキの美しい所作と、穏やかで落ち着く声色から紡がれる言葉は、ロマだけでなく、会場の全員を魅了した。


 柔らかい雰囲気も相まって、すぐに生徒たちの人気を集めていた。



 拍手が鳴り響く中、シキが挨拶を終えて席に戻る際、ロマの方を見た。


 シキと視線が合った、と周りの女子生徒たちがひそひそとささやき合う。


 けれど、よく見るとシキの視線はロマの隣の男子に向いている気がした。



 隣の男子は、前髪が長くて目が隠れ、顔立ちはよく見えない。


 眼鏡をかけていて、肩より少し下まである水色の髪は艶やかで、さらさらとしていた。


 眼鏡の奥でちらりと見えた、ラベンダー色の片方の瞳が鋭くロマを捉えた。



 あれ……何だろう、どこかで見たことがあるような?



「……何?」


 無愛想な声に、ロマは慌てて目を逸らす。


「ご、ごめん! じろじろ見ちゃって……」


 とっさに謝った。


 シキが隣の眼鏡の男子を見ていたことが、なぜか心に引っかかっていた。



 入学式のあと、クラスで自己紹介の時間があった。


 教室は初対面のクラスメイトたちの笑い声で賑やかだ。


 ロマは新しい環境に胸を躍らせながらも、先ほど出会った桜色の髪の少年――シキのことが頭から離れなかった。


 クラスが違うのが少し残念だ。



 入学式で隣だった水色の髪の男子は、クラスでもロマの隣の席だった。


 自己紹介の時間、彼――ルキは短く


「ルキです、よろしくお願いします」


 とだけ気だるげに言い、すぐに席に座った。



「前髪長いな」


 誰かがささやく声が聞こえた。


 前髪が長いため、眼鏡の奥の表情はほとんど見えない。とっつきにくい印象だ。



 けれど、ロマの目はルキの机の落書きに釘付けになった。


 そこには、流れるような線で描かれた鳥の絵があった。


 羽の細かな描き込み、動きを感じさせる翼。


 素人とは思えないほど巧みだった。



 絵……めっちゃ上手いな。


 ロマは心の中でつぶやき、ルキに対する好奇心が芽生えた。

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― 新着の感想 ―
どっちがどっちだろう、と最初は分かりませんでしたがきっと私の予感は外れていないはずw 人付き合いが苦手で不愛想で、でも自分の好きな趣味に向き合う時はとても生き生きとして魅力にあふれている。そんな人たま…
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