第五十六話
引き金を絞って撃ち、コッキングをする。制圧力は機関銃より劣ってしまい、敵兵たちはこちら…この場所に圧力を高めてきた。
通常なら機関銃の弾は装弾手が管理して補充が必要なら適度に補充要請を出していた。だが、今回は僕がそれを知らずに撃ち尽くしてしまった。ゲームと違い無限に撃てる訳ではなかった。
ライフルの弾が切れたので装填していると肉薄して敵兵が来たが撃たれた。しかし、その前に手榴弾を投げていた。それが僕がいる所に入り込むのが見れて固まってしまった。地面に落ちた時に気が付き、僕は装填中だったのですぐに動けなかった。ゲームなら瞬時に手榴弾を他に投げたり敵に投げ返したりしたが、装填中だった為動けない。肩を撃たれて壁に寄り掛かっていた射撃手がその手榴弾を手に取り、ダンコムシみたいに丸くなると腹から周りに血と臓物を撒き散らしながら破裂した。
その血は僕の顔にも掛かり内臓の一部が体に張り付いた。生温かい温度と鉄臭い臭いで吐いてしてしまった。胃液の臭いと独特の感覚から、機関銃の冷水に使われてる濁った水が入ったバケツから手で掬って口に入れて吐いた。流石に飲んでしまったらリスクがあるのでしない。
落ち着いた時に機関銃の弾を入れた箱を持った兵士がやってきた。
「弾の補充だ! 受け取れ!」
周囲の事を把握して僕に渡して来た。それでも箱は二つだけだ。無駄弾を含めれば直ぐに撃ち尽くしてしまう。
「弾が足りない! もっと持って来て! 敵はここを突破口としてる!」
「どこも突破口を開こうとしてる! 贔屓は出来ないが、優先してやる!」
「ならこの弾が節約家するけど、早くお願い!」
「努力する!」
そうやって、離れて行く補給兵を見ながら受け取った機関銃の弾が入った箱を見る。
どこも攻勢を受けているのが分かったが、補給兵から優先してくれる当たりでここが一番だと言われてるみたいなモノだ。
「全く、僕でなかったら直ぐに撃ち尽くしてるよ」
受け取った箱の上部を取り外しベルトを掴み機関銃を入れ込む。コッキングすると発射が可能となる。
発砲しようと瞬時に近くで爆発した手榴弾の土が目に入り機関銃から離れた。痛みと目が開けれないので所持していた水筒を取り全部顔に掛けた 。その際も目を瞬きして入った異物を流した。正直キツかった。
流した後を見ると別の人が機関銃に取りついていたが、それはクラサさんだった。
「レーナちゃん、弾薬の補給頼む!」
「分かりました! 次の補給までは節約して、区切り撃ちで!」
僕がそう叫ぶとクラサさんはヘルメット越しに頭をポンポンとすると三点バーストで優先的撃っていく。
そうすると敵からの圧力が減ったが、途中から減っただけで、今だにここを突破口として敵兵から攻勢を感じている。弾が繋がれたベルトが入った箱から機関銃へと入るベルトを水平に保ちしながら思った。
突撃する敵兵は減り障害物から狙いを定めずに撃ってくる。狙いは適当だが、下手だからそこ当たってしまうのが怖い。
「弾が切れた!」
そう言うクラサさんに即座に次の箱を開けてベルトを差し込んだの同時にコッキングしていた。次弾が薬室に入ったタイミングでトリガーを絞っている。
ダダダッと機関銃へと弾のベルトと水平にしながら戦場を見ていると何かの反射かチカッと光った。こん戦闘中なら気にする暇がないけど、もしスナイパーなら狙うのは何か。スナイパーはバカスカと撃つ訳ではない。価値ある目標を撃つ。戦闘なら指揮官、下士官など…今なら機関銃手だ。
ベルトとから手を離してクラサさんに横から飛び込んだ。押し倒しながら、後ろ首…肩甲骨くらいの皮膚を横一直線に痛みと熱さを感じた。
「レーナちゃん……背中が!」
「だ…大丈夫です、かすり傷です」
「……そうみたいだね」
僕の傷を見て安心しているクラサさんだけど、まだ戦闘は終わっていなく……最悪の音が聞こえてくる。




