第四十二話
村の子供たちと遊んだ。というか子供たちの体力は無限過ぎないと感じた。塹壕の中で走ったりして体力がついてる筈なんだけど。
木陰で休んでいると男の子たちは別の遊びに向かっていく。女の子は僕の周りで楽しそうに話している。
「皆凄いね」
「レーナお姉ちゃんも捕まえてたよね」
「これでも兵士さんやってるから」
男の子たちは凄かった。フェイントを入れたり二段に積まれた木箱を軽々しく登り反対側に逃げていく。まるでパルクールみたい。
女の子たちに話しを聞いたら、山の中を駆け回り鍛えているみたいだ。それも狩人や兵士に将来なりたい子限定で。それでも最低限は体を鍛えているらしい。アルベルさんやクラサさんも子供時代でもこうやって遊んでいたんだろうな~、アルベルさんの子供時代はどんな感じだったかな。セルスさんかエトナさんに聞いてみよう。
アルベルの子供姿を想像していると女の子たちが聞いてきた。
「レーナお姉ちゃん、村一番の占い師に行かない?」
「占い師?」
「うん、良く当たるんだ。だからレーナお姉ちゃんも占ってもらお」
正直に言うと占いなんてあんまり信じていない。前世でも占いを信じてなかったけど、今は時代…ご時世的に占いは信じてるんだろうな。断るのも悪いと思って了承を伝えると嬉しそうに僕の手を引いて連れて行ってくれた。
そこはちょっと…異質な雰囲気が感じれた。村のどこにもある家なのに。テーブルでお茶を飲んでいるお婆ちゃんがいるくらい。
「あらあら、村のお客様が来られるなんて」
「ど…どうも、レーナ・シュトラです」
「お婆ちゃんお婆ちゃん、レーナお姉ちゃんを占ってあげてー」
「いつもの占いね、良いよ」
あれよこれよで部屋に連れて行かれた。部屋は窓が一つと何か入った箱だけだ。扉を閉めると薄暗く感じているとお婆ちゃんは箱から何かを取り出し、何もない床に紙……模様が書かれた羊革紙を広げ座った。雰囲気に飲まれている僕もお婆ちゃんの反対側へ座る。
お婆ちゃんはぶつぶつと言いながら羊革紙に軽く投げた。散らばるのは丸い石、小さい木の枝、よく分からない小さい骨だった。それを集めては再び軽く投げる。それを数回繰り返した。最後に投げると何もせず黙っている。
「不思議な魂をしてる。この世界ではない魂」
そう言われた瞬間、心臓が激しく鼓動してしまった。知らない筈なのになんで知ってる…あや占った結果か。
「でもこの世界で生きている…不思議よな。この時代で生まれたのは意味がある。その意味はこの先に起こる二つの選択肢で未来が変わる」
さっきまで信じていなかった占いを今では信じて聞いていた。そしてお婆ちゃんの言葉を逃さないように集中する。
「もしその選択肢を間違えたら、修羅の道に堕ちよう。そして恐れられる存在となろう。
じゃが、もう一つの選択肢を選ぶなら…そなたは希望の光となる」
「希望の……光」
何を言われてるのかは分からないが、この先の未来で僕は何を選ぶのは分かった。
ただ選択肢を間違えたら修羅の道…ある程度予測が出来たが、正しかったら希望の光の方が分からない。
占いが終わったのか顔を上げて不思議そうにしていた。
「他に何かあったんですか?」
「いや、そなたとは似たような魂が二つ合ってな。一つは悪い者ではないが、じゃが、一つは魂がアッチにある」
そうやって伸ばされた指はデュークの方へ向いていた。
その言葉の意味は僕と同じような人がデュークの方へあると確信した。でもそれは敵なのか味方なのかは不明だけど。一度…会ってみたい、話してみたい。
こうして休暇が終わっていった。
因みにアルベルさんから狩りの教えと………温泉を入るのを忘れていたのを首都へと向かうトラックに乗っていて気が付いたのだった。




