第三十九話 アルベル・アンダーソン
リビングのソファーの柔らかさを堪能していた。戦場では味合う事が出来ない…色んな理由で。だが、そんな堪能はすぐに終わってしまった。
「セル兄さんは射撃場にいる筈だよ」
テーブルで紅茶を楽しんでいたサーシャが答えた。その事に俺と義姉は驚いた。
「あら、いつの間に帰っていたのかしら」
「帰っているなら俺が向かうさ」
驚いていた義姉を余所に俺 は家を出で村での専用の作られた射撃場へと向かう…ライフルを持って。
義姉や妹とレーナがいない所で兄さんに相談したかったから丁度良かった。
レーナが作った弾の事で相談と…レーナの状態について相談したかった。
村から外れてちょっと外れた所に村での射撃場がある。
射撃場に入ると約50メートルでの等間隔で置かれた的がありそれが十本ある。それは最長でも900メートルある。フッと思ってしまうこの村は元々は銃器の設計製造研究がメインで作られた秘密の村なんだ。だから軍工場で働く人間が多い。兄さんがいい例だ。
射撃場で兄さんが見るからに新しい銃の試射をしていた。
ライフルみたいにストックがありライフル以上短いバレル、左横に出た…たぶん弾が入った鉄の箱…右横の突起を後ろに下げるとガシャと聞こえたから装填。引き金を引くと軽い音ともに連続で聞こえてくる。新しい銃器の試射してるのだろうか。
「兄さん」
「アル、生きて帰ってきたか!?」
お互いにハグして無事の祝いをする。この感覚では懐かしかった。もし戦場で死んでしまったと色々と妹ともに心配させてしまった。
「何、それは?」
「あぁ、塹壕での戦闘の話を聞いてな。ライフルはコッキングしないと次弾が撃てないし士官のリボルバーも限りがあるから至急に新しい銃をと言われて開発を続けていたんだ」
「それが完成品なのか?」
「まだ試作品さ」
開発経緯を詳しく話して貰った…ゆうより語りかったんだろう。
さっきも話した通りライフルやリボルバーには難点があり、塹壕内部の戦闘には不向きだ。だから軍部は「近接戦闘で使えて一人で携行可能な銃器」を注文してきた。
開発部は話し合い、どうゆう銃を作るか前にどの弾を使うか話したみたいだ。ライフルの弾では反動が大きいならリボルバーの弾ではとなり、リボルバーの弾かとなったのだがこれまた反動が大きいとなった。なら少数で採用されている9ミリ弾が採用されてた。少数なのは警察関係で採用されて、軍は友好国と状態で弾は共通にしていた為だ。
次に発射機構は目を付けていた機関銃みたいな銃をとなり、兄さんらが知恵を出して軍の要求使用の試作品が完成したみたいだ。
実際に撃たせて貰ったが連射力が早く反動でブレそうにもなる。フルオート発射機構で横のマガジンをしっかり掴みしたら安定する…フルオートを刻み撃ちしたらいい。だが放熱系統がまだまだ開発が出来そうみたいだ。撃っている時にもし素手で触ったら大変な事になる。
「中々の出来ですぐに採用されるだろうな」
「まだ試作品段階だが採用担当がこれでいいと言っている…開発としてはもう少し粘りたいが、仕方ない」
「新しい銃器もいいがこれに感想が聞きたい」
あーだこーだ言う兄さんを遮り左胸ポケットからとある弾丸を2個取り出し射撃場の机に置く。それはレーナが作った弾だ。
「なんだ、普通の弾の用だ…が………先端がパテ……なんだこれ」
モノは試しとしてライフルに弾を込めて構える。兄さんは双眼鏡で狙っている的を見ているのを確認してから撃った。
当たった時の兄さんの表情は……なんと言えばいいのか困るが一言で言うなら存在してはいけないと。
「この弾を作ったのは誰なんだ」
兄さんは冷静に聞いて来た…いや冷静になろうと必死だった。だから俺は語った弾を作ったレーナとレーナの状態を。




