第三十八話
ある筈もない記憶のフラッシュバッグ(?)に流れていた涙も止まると義姉さんは母性ある笑顔を浮かべてながら赤ん坊をベットへ戻し僕を包むように抱き締めてくる。
「良かったら抱いてみる?」
「えっ、えぅぇ、いいんですか?」
「首座っているけど気を付けてね」
義姉さんから赤ん坊を受け取るとアワアワとする。赤ん坊を落とさないように義姉さんから指導してもらいながら赤ん坊を正しく抱くと赤ん坊は笑顔をしながら両手を僕に向けて伸ばした。
なんで前世同様で孤児院育ちなのに慌てるのは一定の年齢以外では赤ん坊には触る事が出来なかった。その為どう抱いたらいいのか慌ててたのだ。
「良かったわね…その子もあなたは気に入ったみたいね」
嬉しそうに笑う義姉さんに抱いていた赤ん坊がキャキャと声を出しているのを見る僕がいる。それは不安や後悔はなくただ腕にいる赤ん坊が愛おしくて堪らない。思わずお互いの頬を擦りあった。それを赤ん坊は嬉しそうに僕の顔を手を当てて喜ぶ。前世では男であったのと親密な異性もいなかったから。赤ん坊や子供を慈しみ愛してしまう感情が溢れ出てくる。
「あ…ありがとうございました」
緊張がマックスの僕と笑いながら子育ての経験談を話してくる義姉さんに赤ん坊を返した。もう少し抱いていたかったが、さすがに初心者には十分だ。
「貴方もいいお母さんになるわね」
「お…お母さんですか!?」
思わずアルベルさんとの未来への想像してしてしまったが、すぐに首を横に振り考えないようにした。違う違う、僕は男だったんだから…同性ではないけど……異性を好きになるのは違うよね。
「ふふ、ほら、お客さん何だからゆっくりしてね」
回れ右をされて客人部屋へと戻った。夜までゆっくりしてねと言われてベットへと倒れ込む。フワフワのベットなんていつ頃以来かな。眠気が襲ってきて眠りについてしまった。
アルベル・アンダーソン
リビングのソファーで久しぶりの実家を味っている。先ほど義姉に怒られてレーナの案内が出来なかった……もっていかれた。
てテーブルでは妹のサーシャがいじけている。
「私がレーナちゃんを案内したかったのに」
「レーナの奴引いていたぞ」
「…それはテンションが上がじゃって……アル兄があんな子いるなんて手紙で書くし」
さっきは兄さんと呼んでいたが本当はアル兄と呼び長男にも似た呼び方をしている。
ぶつぶつと言う妹がいると帰ってきたと実感するものだ。
義姉のエトナが来た。
「レーナちゃんは眠ってしまってるわ」
「まぁ、無理もないだろう。戦場でのあの固いベットではな」
俺もその口だった。訓練で疲れた体を固いベットで過ごし、休暇で実家のベットに乗るとそのまま寝てしまう。まぁ、今は慣れてしまって平気なんだが。
義姉は心配そうに右手を頬に当てている。
「あんな子でも戦場で戦うなんてね」
「レーナは…志願兵として入隊した。兵士として入った以上は戦うしかない…本人が後方へと望まない限りは」
「フッと想像しちゃう…我が子が戦場にいるなんて」
義姉の心配は分かる…分かるが…それが戦場……いや戦争の理不尽なんだ。俺も兵士ではなく狩人として生きたかったが、時代が許してくれなかった。
それに、一部志願兵は望めば後方や広報に配属されるが、レーナは戦場で戦う事を望んでいる。
何が彼女をそうさせるのは分からない。その答えの一つは育ててくれた孤児院への恩返しなのは本人の口から分かっている。
ここにいない長男の不在を義姉に聞いた
「兄さん帰ってくるのは遅い?」
「貴方たちが帰ってくるのは知ってるからもうちょっとだと思うけど」
「ありがとう」
長男に聞きたい事があった。レーナが作った新しい弾丸の事を。




