第三十三話 ウォー・ホーバス
深夜、先日の戦闘レポートや報告書を作成が終わった。椅子に座りながら背を伸ばし、シュトラ二等兵が作ってくれたハーブティーを飲む。指揮官ならはある程度コーヒーを支給されるが好みではない俺様には無用であったが、シュトラ二等兵のハーブティーは別である。
簡易ベットで眠るシュトラ二等兵を見ながら思った。出会ったのはこれで二回目かと思ってしまう。
先日の浸透攻撃からは他の部隊と変わり後方へと戻った。攻撃は成功そのもので全前線からある程度敵の後退できた。その際…塹壕へと待機を命じたシュトラ二等兵士は敵の砲撃に晒されていると後方にいた隊員に聞いたがシュトラ二等兵の幸運に願った。しかし奇跡なのか生き残り、先攻部隊と無事に合流して生き残った。
そして過去にシュトラ二等兵との出会いを思い出す。
俺様もまだ指揮官ではなく新任少尉……慣れない新兵様隊長の元として働いていた時だったな。
当時は隣国の連邦ではなく王国であった頃だ話しとなる。
かつての王国と帝国の仲は良く軍事ではなく経済での友好を結んでいた。そのまま続くと思えば王国が突如不作の為起こった飢餓が原因だった。混乱した政府は立て直しの政策を行う前に首都での平等主義……いや共産主義といえる行動が行われた。軍は一時的なモノと判断して静観したが革命が起こってしまった。
当時の俺様だからそこ考えしまえる…こうして中間管理職して思うには一人の人間による人為的な野望があったと今なら言える。
なぜなら革命から逃れる為に色々な理由で逃げる市民がいる事は隊長から聞いていた。
そして王国での革命で帝国市民の避難や王国民が亡命の為に南部からやってくるのは、上の命令で国境近くで待機していた。そして大人数で国境を超えようとする集団が見えた頃で起こった…避難者や亡命者への砲撃された。国境近くで見ていた俺様でも砲撃の行った奴の正気を疑った。
事前に両国の国境警備隊や国境守備隊には事前通告はされていた。王国から砲撃を受け南部への避難者や亡命者の生存は砲撃が終わるまで生存確認できなかった。砲弾が落ちる度に愚鈍な指揮官様を殴り飛ばして部下を連れて助けに行きたかったが地点がまだ王国側なので理性で押さえた。
敵砲撃が終わると静観したが王国側兵士が近寄る様子もないので愚鈍な指揮官含めた俺様と三名の兵士と共に進める事を提案した。渋った指揮官を後ろから殴り飛ばして気を失った。これは砲撃の破片が指揮官様の頭を強打した為と部下と確認した。
半数の部下を連れて生存者の捜索と王国側への警戒と当たったが生存者の気配もない砲撃による全員死亡と絶望的に思ったが、赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。それは僅かな希望となり全力での捜索を命じた。
そして見つけた。灰色の髪をした綺麗な女性が布に包まれた赤ん坊を抱きしめていた。まるで赤ん坊を命に代えても守ろうとする意思がみえた。脈を確認したが動いてはいなかった。唇を噛み締めると鉄の味がしたが、今は悔やんでいる時ではない……赤ん坊を抱き上げた。首は据わっているみたいで母親と同じ髪色に澄んだ青い目で俺を見るなり小さな手を伸ばした。
生きている……そう実感すると視界がボヤけてきた。布を濡らしていく。名前を見ようとしたが破れていて確認出来なかった。まぁレ○ナはわかったが。
犠牲者の埋葬を命じた後は報告の為に基地へと戻った。戻る際は赤ん坊を養子として向かえ入れようかと考えていた……丁度妻の出産も近いので姉として………相談しよう。
無情にも異動となってしまい孤児院に預かりとなった。
そして時が流れて、配属書類に書かれた名前を見た驚いた。『レーナ・シュトラ 15歳』何かの間違いかと思ったが……姿を見た時は確信に変わった。あの時の赤ん坊かと。
ここまで成長した姿を見た喜びと戦場へと来てしまった悲しみが混ざり合う。少しでも生きてくれるように目を掛けてしまう。中隊連中もレーナの事を気に掛けてくれている。それでもレーナの頭はどうなっているのか……飛行機の事といい鉄の新兵器といい…連邦語まで話せるとは頭がよくないか。
幸いにも先の戦いでも頭を使って生き残ってくれた。
俺…俺様は使えるのは何でも使うがレーナには甘めになってしまう。




