第二十二話
美味しい食事を食べ終わったら食後のコーヒーを楽しんだ。コーヒーも本物で代用などではない…普通に凄い。
「こんな美味しい食事は初めてです」
孤児院でもパサパサのパンや肉がちょっぴり入った野菜スープが多い。勿論、量が足りなくてパンの取り合いが起こったりした。その度に僕が仲裁していったら、年下の子たちには懐かれたな~。懐かしく孤児院生活を思い出していた。前世でも似たような事あったな~。
「そこまで褒められたら、店主も本能だろ」
自分を褒められたように嬉しそうにするアルベルさん。
「それでレーナは何を不安に感じてるだ?」
不安に感じてるか……僕が言っていた戦車の事なんだけど……うまく伝わってないようだ。確か可能性の話ではある。ディーグが考えてなければ思い付かない筈がない。ここで戦車が作られた理由を思い出した。
「アルベルさん、塹壕戦は言わば消耗戦です。しかも防御側が有利なんです」
「そうだろうな。敵が莫大な歩兵で攻め寄せ戦線が徐々に後退してたからな」
なんでそこまで知ってるのか不思議に思ったら、教えてくれた。戦争初期から参加していたみたいで最初は僕と同じ二等兵からだったそう。戦果など上げて軍曹まできたそうだ。…これは驚きだった。銃の取り扱いが上手く命令率も高いから職業軍人だと思ってたが……志願したみたい。興味もあって前職を聞いたら、なんと狩人だった。なるほど、だから上手いだと納得した。
とは、話を戻して。
「アルベルさんならどうやって敵塹壕の戦線を突破します?」
顎に右手をやり考えるように悩んでいる。その際は左手の人差し指で机を叩いてる。そして考えはなんとなくわかる。塹壕を突破するにさ歩兵だけでは無理で砲兵による砲撃にしても致命傷は与えられない。それに砲撃を長時間続けても敵歩兵が下がっていたら無意味。砲撃が終わり次第敵歩兵が再び配置に着く筈だから。そこから導かれる考えは一つとなる。
「敵歩兵に衝撃的はインパクトと与えつつ戦線を突破出来る兵器…だ……な…………まさか!? レーナはそこまで考えいたのか!?」
テーブルに両手を叩きつけるように驚きながら立ち上がるアルベルさん。そう僕は前世で学んだ歴史。それが戦車が出来た歴史だ。事実に1915年3月イギリスで陸上軍艦の計画の名の元に装軌式武装装甲車両の開発についた。それが前に思い出したMk.I戦車だ。
そして不安……いや、あれはフランスであるがこっちでは共産主義であるがフランスならの戦車がある。それはサンシャモン突撃戦車。この戦車の名はあまり知られていない。前世の世界初の戦車はイギリスとなっている。だが、サンシャモン突撃戦車は1916年2月に試作車が完成して同年春から生産が開始された。前後にはみ出す装甲車両。先端に当時75mmカノン砲を装備し両脇と先端には空冷式で保弾式給弾式の機関銃装備。電気式作動式の操向変速装置を採用していた。だが、実践投入された1917年5月…前後に出たはみ出し車体で塹壕に引っかかったり、変速装置が壊れてりして参加した車両は16輌中15輌の戦車が行動不能となり失態となった。まぁ、戦車でありながら、失敗作となった。戦車と意味では微妙だ…だってトラクターの延長だからね。その前年フランスで1915年12月に開発がされたシュナイダー突撃戦車。翌年4月に投入された。前面右側に短砲身の75mm砲でまた左右に機関銃。
初陣でのセミ・ド・ダムの戦闘1917年4月16日で132輌が参加したがその内57輌が野砲など撃破されてる。不当地での走破性は不十分であり、WW1大戦後の退役した。
先に出たのはフランスだが、戦車の母となったのはイギリスのリトル・ウィリーなんだけどね。こう考えるとやっぱり戦車の母はイギリスなのなかと思ってしまう。まぁ、それはそれで割愛。
「レーナは恐ろしいな。孤児院出身なのにそこまでの頭は回るなんて、本当に参謀系に向かったらいいんじゃないか?」
今回は当時の戦車の説明と理解と願ってます




