第二十三話
アルベルさんは苦い顔している。僕が語った戦車の歴史…この世界では未確定であるが危険性や歩兵の死亡率の高さ。
そして前世でのWW2(第二世界大戦)ではナチスでの有名な戦術…電撃戦。当時で高機動能力が高い機甲部隊を活用した戦術。相手の弱い所から侵入して叩く事だ。そもそも電撃戦では航空機で左右の敵、歩兵、砲兵、戦車を攻撃。そして戦車が前線を突破して砲撃しながら進む。後続の歩兵部隊が残敵の殲滅や陣地構築で進める作戦。
「レーナが望むならこのまま前線を離れて、士官学校にだって入れるぞ」
「僕が孤児だから差別されますから」
前世でもそうだった。孤児院だから孤児だからの差別を。バイトだって簡単に見つからない。孤児だから下に見られる。最初は辛かったが慣れてしまえば楽だった。でもその中で気を使ってくれる人もいた。今思えば懐かしい。
「この危険性を気付いている人が何人いるのかわかりません」
「レーナが言ってる事は考えている人はあまり…ほとんどいないだろ。言われたら、ホーバス中隊長が気付く筈だ」
ホーバス中隊長か……塹壕戦では指示は適格かつ合理的だった。そしてフィンランドの指揮官を思い出す。アールネ.ユーティライネン。モロッコの恐怖と呼ばれ、数々の奇策を使ってソ連を苦しめた人だ。その部隊には狙撃の化け物シモ・ヘイヘがいた訳だけど。………あれ、これってユーティライネンはホーバス中隊長でシモ・ヘイヘはアルベルさんに似てない?
「この件は俺からホーバス中隊長に伝えておこう。だが、多分レーナにも話しを聞きに来るだろうな」
「ですよねー」
詳しい事を知っているなら聞きに来るよね。
それからはお開きとなり店を出て、駐屯地に戻ってる時に街の入り口でトラックから樽を降ろしている。しかも危険マーク付きで。
「アルベルさん、あれってなんですか?」
「ん? あぁ、あれは液体火薬だな」
「液体火薬!?」
「雷管か電気で爆発する火薬だ。爆薬より安全性が高いから工兵などで使われているんだ」
そんなのあったの? ニトロとは別物みたい。でも雷管と電気で爆発する……なんと異世界! いや、前世からしたら異世界なんだけど……液体火薬なんてある旅するラノベでも出てきたから興奮する。まぁ、喋る乗り物があったけど。それはさておき、そして一つの考えが浮かぶ。あのラノベだとある作業さえ出きれば炸裂弾が出来るよね。
「あれって少し貰えたり出来ないですか?」
「工兵でもない俺らには厳しいだろうな」
期待していないけど、そうだよね。僕らただの歩兵が何に使うつもりなんだよね。
「知り合いに掛ければ少量なら分けて貰えるかも」
「それって、またポーカーでの貸しですか?」
当たり前だろの顔するアルベルさん……絶対にアルベルさんにポーカー勝負は持ち掛けないと今ここで誓った。
「それに液体火薬を何に使うつもりなんだ?」
あぁ~、この時代だと炸裂弾はないよね。炸裂弾の本来の目的は着弾観測用の弾として開発された訳だけど、それが人に有効でもあるとされたのでWW2には禁止されたんだよね。一部は無視して使ったみたいだけど。
「弾の頭を切って内部にこの液体火薬入れてから雷管を入れて爆発出来たら……その……そう昼間や夜間で着弾観測出来るかと思って!」
決してあのラノベみたいな事をしたい訳ではなくて。個人的に命中率を上げたい訳なんですよ。それならアルベルさん並みはいかなくても近くにはいける気がする。
「昼間なら分からないが、夜間で着弾観測出来るのはありがたいか。それならちょっと貰ってくる」
良かったー!? 怪しまれないですんだー。




