第1話 価値ゼロ判定その1
「よっし!今日もやるか!」
ダンジョン入り口のエントランスで一人ごちる。
俺の名前は藤堂 平助 24歳 現在 派遣労働者 年収250万円
この星にダンジョンというものができて、はや1世紀。
その間人類は未曽有の出来事の中たくましく生きていた・・
と、いっても今やダンジョンからもたらされるモノは電気・水道・光熱ばかりではなく、俺たちが生きる上での生活基盤になくてはならないものとなっている。
むかし、AIという人工知能が生まれ、いわゆる頭を使う仕事に関してはほぼAIに置き変わり、今はその上位のヒューマノイドがこの世界・国を運営している。が、ヒューマノイドを含めこの星で生きていくための資源確保はどうしたらいいか?ヒューマノイドは頭を使わない仕事。。。。主に肉体労働等に関しては人が行うことが優先と決定づけた。かくして人は今日もダンジョンへもぐりこの星の為、ヒューマノイドの為、人類の為に資源発掘へといそしむのであった。
そんな中で俺は20歳に行われた成人の儀で「鑑定」という能力を発現させた。
が、「鑑定」の中でも俺の鑑定は最低の最低・・・いわゆるものの名前と効能・効力のみが
わかるという能力だった。
現代においては6歳から一貫した教育を無料で受けることができ、20歳の時に行われる成人の儀で
その後の人生がほぼ決まる。
俺の能力「鑑定」も経験を積むことによって後に進化する可能性もあるのだが、そこまで労力を
かけなくともよい・・・と判定され、今はダンジョン人材派遣会社にて清掃員として活躍するに至る。
本日は中央区のダンジョン 通称「まるい」にて清掃開始である。
俺がうまれるはるか前に「デパート」と呼ばれる施設だった・・・らしい。現在もその面影はのこっているらしく、各フロアの移動にはエスカレーターやエレベーターと呼ばれる機械が動いている。
この建物は地下2階から地上10階までの12フロアが存在しており、地下に至っては、地下道とよばれる高レベルのモンスターが徘徊する場所へとつながっている。。。らしい。今に至るまで俺にとっては無用な場所なので行ったこともないし、見たこともない。
また最上階にある食堂と呼ばれるフロアには俺たちをおいしくいただくモンスターが存在するという噂がまことしやかにささやかれている。こちらも、俺は無用なので・・・・・
俺の役割はこの「まるい」における各フロアーの清掃および資源として臨める拾得品の回収である。
冒険者としての素質は一般人とほぼ変わりない為、戦闘能力については0に近い。
一応護身用を称してのスタンガンもどきは持たされているが、これが本当に俺を守るのかは定かではない。入社時になにがあっても会社にはご迷惑おかけしません・・・といった内容の書類にもサインしている・・・・。ほかの仲間も俺と同じように能力値の低いやつらばかりであるが、職業柄「鑑定」持ちがほとんどである。
さて、御託はいいからそろそろ本業にはいろう。
ざっとみて入り口はいつも冒険者と呼ばれる人がごったがえしている。中央には「ひろし」と呼ばれる像が鎮座しており、ここを目印に冒険者がチームを募り各フロアへ出発していく・・という次第だ。
まずはフロア設置のゴミ箱の回収。入口なので外部から持ち込まれた飲食物や一般ごみがほとんどを占める。ごくまれに各フロアに設置している廃棄所に捨て忘れた魔石くずや壊れた装備品がぶちこまれていることがある為、一応「鑑定」をかけつつゴミ袋を交換する。・・・価値0
「本日は入り口は問題なし・・と。」手元の小型タブレットに状況を報告し、次のフロアへと移動する。
俺は戦闘能力がほぼない為、地上を担当することがほとんどだ。地上階のほうが比較的安全性が高い。
俺は資源回収用のキャスター付きのマジックゴミ箱を押しながらエレベーターに乗り込む。
2のボタンを押すとエレベーターは軽い浮遊感を伴いながら指定の階へとつき、扉が開く。
2Fは草原が広かるフロアであり、安全地帯および破棄場は左前方となっている。キャスターを押しながら腰に下げたモンスター発見ビーコンに注意しつつ進んでゆく。この時も「鑑定」を発動させつつ移動をする。道すがら落ちている石の中にも魔石が含まれることがあるからだ。
さっそく、通り過ぎた場所に魔石の反応。拾ってみると小粒ながらも透明度の高い石であった。
魔石回収ボックスに収納し、先を急ぐ。
まだ、昼前とあって安全地帯には人影はまばらであった。破棄場には昨日捨てられたであろう物が
たっぷりとある。折れた槍、ちきれた紐、大物はひとつづつ鑑定をかけ、リサイクルできるものとできないものへより分けゴミ箱へ収納する。あとは軽く掃除して終了。さて次のフロアへ移動するか・・と
思った時、安全地帯へと駆け込む冒険者数名。どうやちら初心者らしく、モンスター討伐に失敗したようだ。
「タケル!!大丈夫」
「うぐぐ・・・・」
傷を負っているらしい、俺は近づき声をかける
「どうしましたか?」
「仲間が負傷して、もどったほうがいいですよね?」
おれはタケルと呼ばれていた人の傷を拝見し、ふところからある瓶を取り出した。
「この傷なら、弊社で作っているポーションで対応可能です。もしよかったらお試ししてみませんか?
通常3,000円のところ、初回1,500円で提供可能です。」
「おお!たすかる。お願いします」
タケルと呼ばれる人は財布から2千円を取り出した。
俺はおつり500円とポーション瓶を渡す。
タケルはその場でポーションをあおった。うすい光が体を包みこみ・・・・その発光が収まると
「すっげ!!治ってる!!!」
一緒にいた仲間もその様子によろこんでいる。俺はすかさず
「もしよろしければお仲間の方も今後の為にいかがですか?初回は半額でお渡ししますよ」
どうやらヒーラーのいないパーティーらしい。本来ならダンジョンに入る前にある程度の装備は整えてくるのだが・・・まあ往々にしてこのように勢いだけで潜る冒険者もある一定はいるのだ。
タケルの傷が治ったのを目の前にして、もし自分が・・と不安にかられた仲間もポーションを購入してくれた。
「あ、空き瓶回収しますね。今後空き瓶がでましたら、不用品捨て場にお願いします」
彼らはこのダンジョンからでて市場でのポーション価格を知ったら失望し勉強するだろう。
今彼らが購入した品はいわゆる「ダンジョン価格」だからだ。市販よりも数倍割高である。
ま、会社がもうかるだけで俺にはなんの徳もないんだけどね。
そばにいた冒険者も生あたたかい目でタケルご一行をみており、だれも指摘しない。
そんな彼らを後に俺は次のフロアーへ向かった
新連載はじめました




