偶像天使ルディアル
傷つき倒れ死に行く者の声がルディアルに届く。
「待て!!引き返せ!!これは命令だ!!」
全速力で疾走するナイトに怒鳴りつける俺。
[拒否]
くそが…俺はナイトのステアリングを叩く。
俺がベルゼブブのナイチチに油断しなければ、楽勝だったのに…俺のせいでみんなが…
その時!
ルディアル様…ルディアル様…ルディアルさま…
頭の中に聞こえてくる俺を求める声が聞こえてきた。
なんだこれ…なんで声が頭の中に?
みんなが俺に救いを求めている!?
[ルディ。貴女の頭上に正体不明の物体を検知しました]
ん?
俺はナイトの天井を見る…何もない。
[ルディ、貴女の頭頂部の上です]
頭の上に手を伸ばすが何もない…
[光る円環状の物が見えます]
光る!?まさか禿げたのか!?
慌てて俺はナイトのバックミラーで頭を確認する。
「これって…て、天使の…輪?」
バックミラーに映ったそれは天使の輪をつけた俺だった。
天使の眼でステータスを確認する
[無数の人々に崇拝された事により、見習い天使から偶像天使に昇格しました]
と表示された。
アイドル天使ぃ!?
「なんじゃそれ!!」
[歌で様々な力を授ける民衆達の偶像的存在です]
ははっ…みんなのアイドルって訳ね。
俺の膝の上に天使が持つような楽器ハープが現れる。
「これで歌ってみんなにバフをばら撒く訳だ」
[肯定 使用者の魅力によって効果は倍増します]
俺はステータスを確認する
みりょく 10,000,000
となっていた。
「100万!!!」
元々は75万だったがさらに25万増えてミリオン達成した!!
さすがアイドル!!
「ナイト、Uターンだ!みんなを景気付けるぞ!」
[了解]
ふふ、景気付けならハープよりこれだよな。
俺はハープをエレキギター変化させる。
これをナイトのアンプを通せば戦場全体に響くはずだ。
さっそくストラップを肩にかけ、コードを弾く。
偶像天使の効果でバリバリのロックロールで弾ける!
気持ちいい!!
流す音楽で効果も変化するようだ。
ならば…マリアちゃんのカセットテープに入っていたアレにするか!
まさに時は世紀末な的なこの狂気と腐敗と幻滅な世界にアタタタ!な胸に7つの傷がある男のノリノリな歌で景気をつける!!
戦場が見えてきた
マリアちゃんとベルゼブブが一騎打ちしている!
俺はボリュームとウーハーを全開にしタフ◯ー◯を奏でる!
◇◇◇マリア視点◇◇◇
見たことのない楽器で演奏するお姉様!
私のお気に入りの曲を引いてくださっている!!
なんて力強い歌!音楽!!
お姉様の歌声に癒され力付けられる。
フラフラだった体に力が漲り、血液が沸騰する!
殴られ、ボヤけていた視界もクリアになり、
ベルゼブブの周りを飛ぶ蝿の羽ばたきすらコマ送りで見える!
「遅い!!」
ストップモーションのように見えるベルゼブブの動き。
今なら1秒で100烈パンチを撃ち込める!
「アータタタタタタタァ!」
ベルゼブブの、本当に内臓が入っているのかのかと思うほど細い腹に鉄拳を20発叩き込む。
ムカつくほどの豊満な胸に50発。
残りは分からない…とにかく殴った!
「グハッ!!」
血反吐を吐き吹っ飛ぶベルゼブブ。
倒れたみんなもお姉様の歌声で癒され立ち上がり始める。
「な、何?この湧いてくる力は?」
「ルディ…歌っている?」
「お姉様の歌の力です!!」
戸惑うみんなに手短に説明する。
腕や足が千切れた者も元どおりに回復され立ち上がる。
それどころか…死んでいた人も生き返ってきた!!
ラストまで弾ききったお姉様はナイトのボンネットの上で天を仰ぎ放心していた。
もうベルゼブブは虫の息…いえ、蝿の息でした…
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