カラシニコフ
「今は時期が合わないので、冬に王都の高校を受験するのが良いですよ。僕も受けるので、一緒に受験しましょう」
「勉強は自信がないが大丈夫だろうか?」
「勉強が出来なくても、実技の力で佐藤さんの能力なら絶対に受かります」
「わかった。頑張ってみる」
「夏休み明けに僕は王都に戻るので、しばらくパーティを組めなくなりますが、夏休み中は、パーティで頑張りましょう」
「よし。明日もガンガン行くぜ」
翌日。俺たちは冒険者ギルドへ向かった。
中に入ると……マーガレットが居た。早起きしたな、この子。
「ほーほほほほ。おはようございますお兄様。今頃いらっしゃったのですか」
マーガレットは依頼表を、扇子代わりにして自分を扇いだ。
「おはようマーガレット……今から僕は依頼を確認するので、しばらく集中させてくれ」
マイケルは依頼の貼ってあるボードを隅々まで見てたが、どれも、けっして剥がす事はなかった。
「ろくな依頼がない……」
「チラ。チラ。ほーほほほほ」
マーガレットはそう言って、マイケルの目の前で依頼用紙をチラチラ見せた。
「その依頼。見せてくれないか?」
「良いですわ」
依頼の内容をマイケルと確認すると、そこに書かれてたのは……
ビックG軍団。大量発生。気持ち悪いので一匹でも多く退治して下さい。と書いてあった。
「ビックGって、まさかあのゴキブ……」
「そうです。しかもデカイです」
「どれぐらいの大きさだ?」
「50センチはありますね」
背筋がゾゾっとした。誰がこんな依頼受けるんだ。
「街の人みんなが、凄く不安がってるので、私はこの依頼を受けようと思ってるの。良かったらお兄様も私のパーティに入れて上げても、良くってよ」
「マーガレットのパーティって。あの取り巻きパーティかい?」
「そう。みんな私の言う事に従う。良い人ばがりですわ」
「女の子ばかりで大丈夫なのか?」
「もちろん。遠距離攻撃が得意な方が多いので大丈夫ですわ」
「その依頼は、ワンパーティだけでしか受けられないのか?」
「はい。依頼主の指定ですわ」
「まさか、その依頼主と言うのは……」
「私ですわ」
ガク。この子は何を考えているんだ。
「そのビックG軍団大量発生と言うのは本当なのか?」
「はい。ギルドで確認済みですわ」
「街の人が不安がってるのに何もしないわけにはいかない。僕たちのパーティも、マーガレットのパーティに参加させてくれ」
おいマイケル。何て事を言うんだ。
「僕たちって……参加するのはお兄様だけですわ。このおじさんは、要らないですわ」
そうだ。マーガレット。もっと言ってやれ。
「それなら僕はマーガレットのパーティに参加しない」
「それは困りますわ……仕方ないですね。今回に限りおじさんのパーティ加入を認めますわ」
マーガレット。簡単に認めるなよ。そこでこそ意地を張れよ……仕方ない。自分で何とかするか。
「イヤ。俺は、別にこの依頼を受けたくないし……」
「ふーん……おじさんに私のパーティメンバーを紹介しますわ」
マーガレットに案内されたテーブルに座ってたのは……全員美少女だった。
なんだこれ?こんなの現実か?いったいどうなってるんだ?
誰でも良いので彼女になってくれないかな……
「俺……僕もパーティに入れて下さい。よろしくお願いします」
「皆さん。心配なさらないでくださいね。このおじさんは、今日だけの臨時パーティですから、今日だけは我慢して下さいね」
取り巻きの女の子は、全員何か言いたそうにしてたけど、マーガレットに逆らえないのが、じっと黙って居た。
「それではマーガレットと愉快な仲間達。出発しますわ」
マーガレットと取り巻き。それと俺たちは、少し距離を開けて歩いた。
取り巻きの美少女たちは、マイケルに興味津々な感じだけど、マーガレットの事を恐れてだか、あまり近付いて来なかった。
森の中を、そこそこ入って行った。
「皆さま気を付けて下さい。ビックG軍団が出たのは、この辺りですわよ」
いきなり出た。飛んできた。キモ、キモ、キモ。
「ウインドカッター」
金髪ツインテールの女の子が、そう言って放った魔法でビックGは一撃で落とされた。
「さすが風魔法の使い手、アウラですわ。一瞬で倒すとは素晴らしいですわ」
ゲゲ。続いて数匹のビックGが出た。
「クラッシュアイス」
金髪ポニーテールの女の子がそう言って放った魔法は、ビックG数匹の上から、ヒョウのように降り注ぎ、ビックGを叩き落とした。
「さすが氷魔法の使い手、ヨツンですわ。一撃で落とすなんて、素晴らしいですわ」
うわ。今度は10匹以上のビックGが出てきた。
「スノーマン」
白髪で着物姿の女の子がそう言って魔法を放つと。クソデッカい雪だるまが現れて、ドッカンという音と共に、ビックGたちを押しつぶした。
「さすが雪魔法の使い手ユキメですわ。可愛い雪だるまで素晴らしいですわ」
そして……イヤイヤコレ。マズいだろ……百匹以上のビックGが、こちらに向かって来た。日差しが遮らて、暗くなるくらいだよ。コレ。
「ウオータースライダー」
上空に、プールにあるデッカい滑り台みたいのが現れた。そこからチョロチョロ水が流れて……
効果ねぇ。ビックGが濡れて余計にツヤツヤして、気持ち悪くなっただけだよこれ。
「ハアハアハア」
役に立たない魔法を放った、水色の髪の女の子は息が上がっていた。コレ、魔力切れじゃないの?
「私も限界」
雪だるまの魔法を使った女の子もへばってるし。
「ウインドカッター」
「クラッシュアイス」
風魔法と氷魔法の二人はハイペースで飛ばしてるけど。その分すぐに魔力切れになりそうだな。
マイケルは、上を飛んでるビックGに剣が届かないのに、ひたすら振り回して……子供みたいだな。
マーガレットは何もしない?
「ヒール」
え?疲れてる仲間の女の子に、回復魔法をかけていた。
キャラに合わない。似合わない魔法だ。絶対攻撃魔法だって思ったのに。
俺も……気持ち悪いけど、いつまでも何もしないわけにはいかないな。
俺の右手からグニュグニュ何かが出てきて。やがてそれは自動小銃へと変わった。
AK-47。
渋い。これぞ機能美というそのスタイルが何とも痺れるぜ。
その機能を全開してやる。
俺は撃ちまくった。
片っ端からビックGを撃ち落とした。
ビックGは開いた穴から体液を撒き散らして、森の中に散乱した。
やがて、見える範囲に全てのビックGはいなくなった。
俺は少し、虚しくなった。




