第2話インターバル選手権
「ふい~ん~じゃあまぁ行ってきますか」
ローグは朝食を軽く済ませインターバルの出発準備をしていた。
するとエミカがローグに、
「はいこれ、一応お弁当と飲み物。また足りなかったら言ってね、ルイーズに持たせるから」
「ありがとう。でも緊張するよ、元優勝者に見物されるのわさ」
ローグは受け取りながらそんな事言ってると、
「まぁ高みの見物じゃないけど、たっぷり見させてもらうさ。もちろん優勝してくれるんだろうね?」
ルイーズも出発の準備をしながら2階から降りてきた。
「優勝はしたい!って言うのは簡単だけど実際やってみないと・・・」
そう言ってローグは少し困った表情をしていた。
それを見たルイーズはローグに近寄り、
(ポス)
「ん?」
ルイーズはローグの頭に手をのせた。
「大丈夫だよ、養成所の模擬戦闘はダントツトップだしそれと・・・」
ルイーズは例のものをローグに渡した。
「兄さんこれは?」
「それは清劉と言ってモーガンさんが特別にあしらってくれたよ」
ローグは渡された武器を静かに受け取った。
(カチャン)
「綺麗な刃だね、装飾の彫り物これ少し魔法がかかってるね」
「ほほ流石だな、それもモーガンさんの知り合いの術師に彫ってもらったらしいぞ」
ローグは暫く刀を見つめていた。
するとエミカが、
「はいはい、そろそろ向かわないと出場出来なくなっちゃうよ!」
「やべ!もうこんな時間!じゃあ先に行くよ、またあっちでね」
ローグはそう言い残しクレスラ国立競技場へと出向いた。
そして選手権は幕を開いた。
(パンパカパーパッパッパッパー!)
開会のラッパが空高く鳴り響いた。
「さぁさぁ今年もやって参りました!第76回魔法騎士合同インターバル選手権を開催を致します!!それでは早速勇敢な選手達の入場です!!皆様大きな拍手でお迎え下さい!!」
アナウンスが叫ぶと同時に入場曲と凄い歓声があがった。
「まず最初はクレスラ国附属学院代表・・・アラストル・マリーシカ選手!、続いてクレスラ国国公立大学代表・・・ネーレ・シュナイゼル選手!続いてクレスラ国所属イリス国大学代表・・・サリマン・ガストール選手!続いて・・・」
続々と選手達の名前が呼ばれていき、とうとうローグの番になった。
「そして最後にクレスラ国所属アーロミノト代表ローグ・ハトゥス選手!」
すると、
(あれが例のアーロミノトの代表か)
(ハトゥスって事は、ルイーズ・ハトゥスの家系か)
誰かがこそこそ話始めた。
(あれがアーロミノト代表って普通すぎない?)
(まぁそう言ってやるなよ、所詮俺らとは違うんだからな)
聞こえてきたのはヤジ罵倒だった。
だがローグは特に気にしなかった。
アーロミノトが一番底辺なのは重々承知してるいるし、それ以外にも兄ルイーズ・ハトゥスやスタルヒン提督もアーロミノト所属だがどちらも優勝していると言う事もあり、ローグはただただ緊張だけしていた。
「それではクレスラ国王様より開会宣言をお願いします」
そう言って出てきたのは現クレスラ国王ルーベルト・タナトス・クレスラ国王である。
「これより魔法騎士合同選手権インターバルを開催致します、選手達は選ばれた者として全力で試合に望み互いに悔いの無いそして尊敬尊重しあえる試合を望みます」
「国王様ありがとうございました、それでは選手の皆様は控え室の方でしばしお待ち下さい」
ローグ達はアナウンスの指示に従い控え室に向かって行った。
ローグが控え室に向かう途中選手の1人アラストルが話しかけてきた。
「ローグだっけ?初めましてアラストル・マリーシカ宜しく」
アラストルは笑顔で自己紹介をしてきた。
「こちらこそお手柔らかに頼むよ」
ローグは相手に敬意を表して手を出した。
それに答えるようにアラストルはローグと握手した。
「もちろん!ただしもし当たることになったら全力でやりあうよ」
2人がそんな話をしていると廊下の奥から、
「よ~ローグ早速差し入れ持ってきたぞ」
「兄さん!」
ルイーズが紙袋を手に持ってやって来た。
「ルイーズさんお久しぶりです」
「アラストルも相変わらず元気そうだな」
2人の会話を聞いてローグがルイーズに、
「兄さん知り合いなんだ?」
「あぁ、2年前帝都に行った時にな」
2年前、ルイーズはスタルヒン提督からの辞令で帝都カーマに行っていた。
辞令内容は、貴族主催の披露宴に変わりに出席するようにと書かれていたらしい。
「まぁ話せば長くなる、今は大会の事だけを考えてろ。じゃあまた後でな」
ルイーズはそう言ってローグに紙袋を渡した。
それからルイーズは去り際に、
「あぁ~それからローグ、中に入ってるから忘れず身に付けておけよ」
そう言い残し主賓席に戻って行った。
ローグもルイーズの言葉が気になり、紙袋を開け探ると、
(ガサゴソ)
「あぁ~これね、そ言えばここ来た時に思い出したんだよな」
そこからローグが取り出した物は、
(チャリン)
それはルミルから貰った御守りだった。
それを見たアラストルが、
「綺麗だな」
「まぁな」
アラストルがローグの顔を見ると、そこには嬉しそうに微笑むローグがいた。
そしてローグは清劉の柄に結び付けた。
そんな事をしていると控え室から、女の人が出てきて、
「そろそろ抽選の結果が出ますので、控え室の中へお願いします」
2人はそう言われアイコンタクトをし控え室に入った。
大会のルール説明は、2ブロックに別れ両ブロックから勝ち上がった2名が決勝で戦うルールである。ブロックの振り分けはこうなった。
1ブロック
1回戦ローグ対ネーレ
2回戦ラルフ対ローレン
そしてシード枠にカイゼル選手
2ブロック
1回戦アイリス対ゴーシュ
2回戦アラストル対バッシュ
そしてシード枠にダグラス選手となった。
そしてローグ、アラストル共に違うブロックしかも勝ち上がらなきゃ戦う事が出来ない。
この結果を見た2人は、
(決勝でアラストルと・・・)
(決勝まで勝ってローグと・・・)
((戦いたい!!))
2人はお互いにお互いを思い、闘志を燃やしていた。
因みに選手のみならず、もちろんルイーズや応援に来た母エミカそして・・・
「ローグ大丈夫かしら?」
「大丈夫ですよ、ローグの強さは私が知っていますから!」
ルミルも一緒にエミカ達と観客席に座っていた。
さらにかくゆうルイーズも内心ワクワクしていた。
そして試合開始のゴングが天上高く鳴り響く。