第1話兄弟登場
西暦2002年、ある時を境に世界は混沌に包まれ、生態系は崩れ秩序は崩壊へと歩み始めた。
そんな絶望的な世界を救わんとしたある1人の男が立ち上がった。
男は仲間を引き連れ、こんな世界を作った混沌の源を滅する旅へとー
(キーンーコーンカーンーコーン)
「えぇじゃあ今日はここまで、次回テストをするから予習復習忘れんなよ~」
男性教員はそう言って教室を出ていった。
ここはテロール大陸にあるクレスラと言う国にある、魔法騎士養成所アーロミノトである。
テロール大陸は5つの大国と70の小国で成り立っている大陸であり、アーロミノトは5大国の中でも群を抜いて低ランクの養成所である。
「はぁ~テストかぁ~、どうすっかなぁ~」
1人の男子生徒が机に項垂れていると、
「お!いたいた、ローグ飯行こうぜ」
このローグと呼んでいるのは、先程教室を出ていった教員ルイーズ・ハトゥス
そして、
「わかったよ兄さん」
(ガタッ)
この男子生徒ローグ・ハトゥス、この物語の主人公でルイーズとは腹違いの兄弟である。
ローグとルイーズの父親が違い、ローグはルイーズが10歳の時に産まれた弟である。
ローグは身体をお越しルイーズのいる廊下に向かった。
因みに歳はローグが16、ルイーズが26であり養成所では教員と生徒の関係である。
「ところで兄さん、今日って仕事何時に終わる?」
「あぁ今日は1時間早くに上がれる予定だよ、どした?」
2人は食堂で昼食をとっていた。
「ん~実は来週帝都の模擬試験何だけど・・・」
ローグは少しうつむきながらルイーズに話をし始めた。
まずローグの話題模擬試験とは、クレスラで行われる模擬戦闘インターバル選手権と言う騎士養成所が合同で行う競技である。
「あぁ今朝その話されたよ。別に変に構えたりする必要は無いんじゃないか?緊張ならわかるが」
ルイーズはローグの話を親身になって聞いていた。
実はルイーズも2年前に模擬試験に選手で参加していた。
しかしそれは良い体験とは言えないものであった。
ー2年前ー
(ヒューヒュー!ガヤガヤ)
ここはクレスラ中央国立競技場である。
選手は年齢性別は関係が無く、養成所や学校施設から推薦での参加方法で勿論あくまで任意なので断る事も出来る。
そして兄ルイーズも参加していた。
「皆様ー!大変お待たせ致しました!これより第62回模擬試験インターバル選手権を行いたいと思います!」
実況が始まり、淡々と進行が進み、
「それでは選手の皆様のご入場です!」
そう叫ぶと入場の曲が流れ始めた。
そしてルイーズを含め各施設から参加した選手達が、次々と現れた。
選手達が整列し、当時のクレスラ国王の話の途中から、
(なぁ、アーロミノトがまたいるぞ)
(ほんとだ!今まで何も結果残していないのに、恥ずかしくないのかしら?)
(おいおいやめてやれよ、わかっている事をわざわざ言わなくたって良いだろ~)
そうルイーズに飛んできたもの、それは罵声だった。
しかしルイーズは全くもって気にしなかった、と言うより、
「うぉーーーーらーーーーー!」
(バーン!)
「1本!そこまで!互いに礼!」
正に圧勝だった。
その姿を見た他の選手は、
(あいつやべぇぞ、強すぎる!)
(大丈夫だよ、ほら今の相手去年2回戦で負けた奴だし)
口々に意見が飛び交う中、ルイーズはどんどん勝ち進んでいった。
そして決勝までのしばしの休憩中、
ー選手控え室ー
「ルイーズ君大丈夫かい?」
「はい、毎日大佐にしごいてもらっているお陰で」
ルイーズに話かけているのは、クレスラ軍特務部隊第1師団隊長スタルヒン・ウォーニア大佐、現在は特務部隊総帥スタルヒン提督である。
彼は多くの任務に出向き、多大な功績を納め今の地位にいる。
因みにアーロミノトの校長もスタルヒンである。
「しかし君には辛いものを背負わしてしまったね」
スタルヒンが申し訳ない顔をするとルイーズは、
「いえ、気にしないでください。俺もいい加減我慢の限界なので」
ルイーズはにやけながらスタルヒンに言った。
その後ルイーズは難なく見事優勝と言う栄光を手にした。
この試合はローグも見に来ていて、尊敬する兄と大きな壁となった兄、2つの思いを造り出したのもこの時である。
「まぁ1度は体験してみると良いんじゃないか?今のお前なら、いい線いけるだろうし、見えなかったものが見えるかも知れないし、学べる事もあるからな」
そう言ってルイーズは食後のコーヒーを飲んだ。
「どうせ明後日まで期限はあるんだ、もう少し考えてみろよ。それと何だったら彼女にも話聞いてもらえば?」
それを言われたローグは、
「彼女いねえし!」
ルイーズは笑いながら食堂を後にした。
その後はローグも食堂を後にし、教室に戻った。
午後の授業も終わり帰りしたくをしていると、
「ローグ、授業終わった?」
「あぁルミルか、終わったけど」
この少女ルミル・ルイストンは、ローグの幼なじみで魔法を使うソーサラーでローグをライバル視している。
「ねぇこの後予定あるかなぁ?少し付き合ってほしいんだけど?」
ルミルはローグに近づき前の席に座った。
「あぁ少しだけなら時間あるよ」
そう答えると、
「ありがとう、じゃあ行こうか」
2人は教室を出て養成所を後にした。
ローグ達は、ここ最近出来た言う雑貨屋に向かっていた。
「ここのお店ね、買い物した後期間限定でそこのカフェが全部半額になるんだ」
「へぇ~そうなんだ、じゃあ付き合って正解だな」
ルミルに笑って返すと、
「でしょ!それとこれ。先に渡しておくね」
ルミルはバックから小さい紙袋を取りだし、ローグに渡した。
「ん?これは?」
(ガサガサ、チャリン)
「ルミル、これ」
出てきたのは鈴のついた綺麗なブルーの硝子玉が出てきた。
「ローグ昔から青い物が好きだったじゃない?だからさ。それと次の選手権に出るんでしょ?その御守りと言うか・・・」
ルミルは頬を紅くしながらローグに言った。
それを見たローグは、
「ありがとう。でもまだ悩んでいるんだ、出場するか否か」
ローグはルミルに、選手権の悩みと兄ルイーズの話をした。
「そっかぁ~、ローグも色々あるのね~」
ルミルはパフェを頬張りながらローグの話を聞いていた。
ローグもカフェ特性ミントティーを飲んでいた。
「うん、それに今日は・・・」
ローグは口をつぐんだ。
もちろんルミルもその理由は知っている。
「今日だったね、お父さんの命日・・・」
そう、実は偶然にもローグとルイーズの父親の同命日であった。
ルイーズの父親とローグの父親、そして2人の母親は同じ騎士養成所の同期生であった。
ルイーズの父親は先の大戦、パルテノン大戦で殉職その後はローグの父親と一緒になり、そしてローグが産まれた。
そしてローグの父親もミノスエン戦争で怪我を負った仲間を救っている時に、相手の自爆譜を止めようとして間に合わず殉職。
その頃よりルイーズはローグを大事にしてきた。
ルイーズはローグの父親とも顔見知りで、母親が一緒になる事やローグが産まれる事も心良く受け入れた。
そして母親もルイーズやローグの父親を今でも同じ位に心から慕っている。
その証拠に、3人で写った写真や2人が幼い頃まだ別々に撮った写真を戸棚に飾っている。
「ねぇローグはさぁ~」
「ん?」
2人の静寂を先に割ったのはルミルだった。
「お母さんやお兄さんに会えて良かった、産まれてきて良かったって思ってる?」
ローグはその言葉を聞き少し驚いた表情をした。
「何だよ急に?」
「良いから答えて」
正直ローグは困っていた。
(ルイーズ兄さんがいて良かった?産んでくれた母親?・・・)
ローグはしばらく頭の中で考えた、そしてローグはルミルに、
「ごめんわかんない、母さんは母さんだし、兄さんは俺の相手を良くしてくれるし面倒も見てくれる。でもルイーズ兄さんはどうなんだろうって。だから良くわかんない・・・」
ローグはそう言って飲み終わったカップを置いて財布からお金を出して、
「御守りのお返し」
テーブルに置いて店を出た。
その後ろ姿をルミルはただ見送るだけだった。
一方ルイーズは、職務が終わり墓にそえる花束を購入していた。
「やべぇ、少し遅くなった!ローグ待ってるだろうなぁ」
ルイーズはそう愚痴りながら小走りで急いだ。
それから10分後、
「はぁはぁ~ 、おーいローグ!」
「ルイーズ兄さん、遅かったね」
ローグは霊園の入り口に立っていた。
「いやぁ~中々に終わらなくて」
「そっか、とりあえずお参りに行こうか?」
「あぁ」
そして2人は霊園に入っていった。
「久しぶりだな、2人でここに来るのわ」
「うん、そうだね」
2人は霊園に入ってから何やら口数が減り、ただ歩いていた。
そして2人は、
「着いた」
それぞれの父親の墓に辿り着いた。
それからルイーズはローグに買った花束を渡し、2人は黙祷を捧げた。
「よし、帰るか?」
ルイーズが言った。
「うん」
ローグは静かにこたえた。
それから2人は自宅に向かって歩みをとっていた。
「ねぇ兄さん・・・」
ローグが静寂を割った。
「大会・・・出てみようと思うんだけど・・・どうかな?」
ルイーズはその言葉を聞いて少し驚いた。
「どうした急に?」
「うん、今日ルミルと出掛けてさ。大会の話になってさ」
ローグはルミルとの会話をルイーズに話した。
大会の話、ルイーズの話、そして自身の話。
ルイーズは静かにローグの話を聞いていた。
「そんな話をしていたのか・・・そうだな、まず大会の話だが、お前自身の問題だから俺は何も言えないからなぁ~」
ルイーズは困り顔でローグに話をしていた。
「まぁね~、でも大会に出るのは俺が決めた事だからさ」
ローグは笑ってルイーズにこたえた。
「後は~ん~まぁ後でな」
「何だよ~気になるじゃんか?」
2人が自宅玄関に辿り着くと、
(ガチャ)
「あ、お帰りなさい2人とも」
「ただいま母さん」
「ただいまどこか行くの?」
「うん、ちょっと郵便局に行ってくるね」
母エミカがそういうとルイーズが、
「何なら行ってこようか?」
エミカは少し驚いた表情を浮かべた。
「でも今帰ってきたばかりじゃない?」
「丁度俺も用があるから別に構わないさ」
ルイーズの返答に対し、エミカは少し考えて、
「ん~じゃあお願いしようかしら」
エミカは笑顔でルイーズに言った。
「じゃあ俺も一緒に」
ローグがそういうとルイーズが、
「お前は家に残って勉強!明日はテストがあるんだぞ」
「大丈夫だよ、兄さんが教えてくれるじゃん」
と言うと、
「駄目だ、テスト前はいつも通り1人で勉強!」
「えぇ~そんな~」
ローグが残念そうな顔をしてると、エミカがローグの肩に手を当てて、
「ならお母さんが見てあげるから一緒に勉強しようよ、ご飯の準備もしなきゃだし」
「じゃあ行ってくるよ」
ルイーズが歩き出そうとした時、
「はいこれ」
エミカが1つの封筒を渡した。
「了解」
ルイーズはそれを受け取り郵便局に向かって行った。
ローグとエミカはその背中を見送り、
「じゃあ中に入ろうか」
「あぁ、所で今日のご飯は?」
エミカは少し考えて、
「ロールキャベツとシーフードピラフにしようかな」
ローグはそのメニューを聞き、
「それって父さん達が好きだった料理・・・」
「えぇ・・・ルイーズとローグ、そして私の大好きなお父さん達のね」
ローグとエミカは戸棚に飾ってある2人の写真を見つめた。
一方その頃ルイーズは、
「それじゃあお願いします、さて後は・・・」
ルイーズが郵便局の後に出向いた場所。
「ごめんください」
「はいはい、おぉルイーズ君!元気そうで!」
「お久しぶりですガーモンさん」
ここは加治屋天花、アーロミノト養成所の武器や武具等の調整搬入、それと家庭用道具を作るのを生業にしている。
因みにルイーズの武器大剣ルフグラス、これもここで作ってもらった。
そして今回の目的・・・
「これなんじゃが・・・どうかね?」
モーガンが一緒に持って来たものそれは、
「これは中々の物ですね、流石モーガンさん」
「ふぉっふぉ流石ルイーズ君、この刀は業物十二工の1つ清劉じゃ。重さは約1.5キロ、刃は乱れ刃、強度はルイーズ君と同じ位かの。そしてこれはワシからの贈り物で束と柄には知り合いの術師にある彫り物を彫ってもらっておる」
ルイーズは首を傾げた。
「まぁこれに関しては渡す相手が気付かなくてはいかんからの~」
ルイーズは少し考えた、そして数分たった時、
「わかりました、モーガンさんありがとうございます。これいくらですか?」
ルイーズが、財布を出そうとした時モーガンが、
「あぁ気にせんでえぇわい、アーロミノトにご贔屓してもらっとるからの~」
「そうはいきません、今回は個人的な買い物なのでちゃんとお支払はしますよ」
そう言ってルイーズは支払いを済ませた。
その後はまっすぐ家に帰り、3人で食事を取りなんやかんやでルイーズはローグのテスト勉強を手伝っていた。
それをエミカは洗い物しながら2人を眺めローグは嬉しそうに勉強をしていた。
そしてルイーズも何だか嬉しい気持ちになっていた。
そして明くる日選手権の日が来た。




