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人生の意味論  作者: いのうげんてん
6章 神学的な人生の意味論
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  (2)宇宙の創造目的

 本項では、著書『神との対話』に書かれた人生論について解説してみます。


 「6章[1]キリスト教教義の人生論」で記したキリスト教教義と比較して、両者の相違点を書いてみようと思います。


①キリスト教教義の見解まとめ


 『旧約聖書』創世記には、神の天地(宇宙)創造の経緯が書かれていますが、その創造目的については、はっきりとは記されていません。


 キリスト教教義では、神が宇宙を創造した目的について、「神は、神ご自身の栄光を現わすために、宇宙を創造され、ご自身の愛の対象とするために、ご自身のかたちに似せて人間を創造された」と説いています。


 神の創造した宇宙は、地上界と霊界から成り、人間は地上界における人生を通して人格を完成し、死んだ後に霊界(天国)に行くように創造されたのです。


②著書『神との対話』の見解


 『神との対話』には、神の宇宙創造の目的について、明確に述べられています。


 絶対的存在(「有りて有る者」)である神は、自らの神性を概念としては知っていたのですが、それらを体験的、実感的に知ってみたいと考えたのです。


 すなわち、神は自分自身(神性)を、体験的、実感的に知りたいと思ったのです。


 これが神の宇宙創造の動機であり目的なのです。


 「概念として知る(原著:know conceptually)」とは、分かりやすくいうと、私たちの頭の中にある思考やイメージと似たものといえるでしょう。それらは物理的な形が無く、実感的ではありません。


 思考やイメージは、文字化すれば「言葉」という形になり、より外形化しますが、それでもまだ実感的、体験的なものではありません。


 私たちにとって言葉が実感的であるのは、それを既に体験している場合に限られます。


 例えば、私たちが「暑い」という言葉をすぐ実感的に理解できるのは、それを体験して知っているからです。もしそれを体験していないなら、実感的には理解できません。


 このことを、原著の中では「体験として知る(know experientially)」と表現しています。


 絶対的存在である神は、自らを体験的に知るために、相対性の理論を利用して、相対的な世界、すなわち宇宙を創造し、魂(および人間)を通して自らの神性を実感的に知ろうとしたのです。


 相対的な世界とは、男性―女性、オス―メス、陽イオン―陰イオン、陽子―電子などの陽―陰、大―小、長―短、熱い―冷たい、遠心力―引力、ここ―あそこ、など、相対するものによって成り立つ世界のことです。


 これに対して絶対的世界とは、中和的な世界ともいえます。


 陽―陰、大―小などの相対的なものすべてが存在しながら、それらが渾然一体(中和)となっているのです。


 色が無いように見える透明な光も、分解すれば、無限の色が現れるのと似ているのです。


 これは鏡を例にすると、理解しやすいと思われます。


 自分だけで自分の姿を見ようとしても見られません。もっと極端にいえば、自分の目で、直接、自分の目を見ることはできません。


 しかし自分を鏡に映して、映った像を見れば、目はもちろんのこと全身の自分の姿を相対的、客観的に見ることができます。


 創造した宇宙を鏡として、自らを映すことによって、自分の姿を、神は見ることができるのです。


 さらに画家を例にしてみましょう。


 画家は自らの脳裏に浮かんだ無形のイメージ(すなわち概念としての知識)を、キャンバスに描いて絵として具現化、有形化し、それを客観視することにより喜びを実感します(すなわち体験としての知識)。


 神の宇宙創造の目的は、それと似ているといえるでしょう。


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