3節
「出羽先輩、どうです?」
出羽先輩、先ほど草むらから出てきた女性で、出羽粒子という。
一応天神川の学校の先輩・・・なのだが、年齢はもう20代を越えているのでは、という噂が流れたほどだ。
「・・・すまない。見失ってしまった」
出羽はそう答えると、起き上がった。そして、羽織っていた白衣を脱ぎ、叩いて鞄に強引に詰め込んだ。
「先輩ってなんでこうもガサツなんですか?」
「仕方ない。そういう家系だし」
「そういう問題じゃ・・・」
天神川はそう言いかけたが、それと重なるように、出羽は訊いた。
「どうする?GPSも使おうと思えば使えるが?」
「先輩、私がなんて言うか分かります?」
「君の事だから『そんな邪なことできません!』って言うんでしょ?」
「ふふっ、正解」
「あれ、『邪』の用法間違ってるわよ。」
「・・・ほんと?」
「私理系だから分からないけどっ」
出羽は、襟の方に入った長い黒髪をかき上げ、ゴムで結んだ。
「先輩って髪の毛良い匂いですけどどんなシャンプー使ってるんですか?」
「オーガニックの天然素材100%の・・・って、山城クン追っ駆けなくて大丈夫なのか?」
「・・・車無いの?」
「中学生だからまだ運転できねぇよ!」
「先輩ってもう大人じゃないんですか?」
「山城クンどころかアンタにも身長負けてるわよ!」
その後間髪を入れずに返そうと画策していた天神川だったが、出羽の鞄から出てきた針金ハンガーを頭に付けられ、ひとりでに首が左に回った天神川。
「いい加減にしてくれないか。これ以上やって手を汚したくない」
「すいません先輩・・・でもとりあえずハンガー外して下さい・・・痛いです」
「すまない」
出羽は、天神川の頭にはまった針金ハンガーを外した。
「こんなことしてないで早く探しましょうよ」
「・・・やっぱりそうよね。目星付きそう?」
「・・・携帯番号入ってるの忘れてましたテヘペロ」
「今までの労力水の泡じゃねぇか!」




