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プロローグ


頭が思考を停止する、なんて漫画みたいなこと本当にあるんだなって思った。


 「えっ!?僕って死んでるんですか!?」


「うん。ポックリ。……あーなんじゃったかな、川で溺れた犬を助けようとしたら溺れちゃったんじゃよ、確かね。……どれじゃったかの、おぉ、この資料かな?……うむ、やっぱりそうじゃ。――あ、ワシ神様ね。」


「は、はぁ……。」


 バチン!とかわいくもないウィンクをして目の前の自称神様が分厚い冊子をペラペラ捲る。

 うん、割と気持ち悪かったな。本人には言わないけど。

 


「どれどれ。――織田藤四郎、20XX年6月8日、午後3時25分45秒、犬を助けようとして死亡。」


「そうだ…!あの犬はどうなったんですか!?」


「生きとる。」


「ッ!――よかったぁっ…!」


「うん、でな?実はな、お主が助けなくても生きとったんじゃよ、あの犬っころ。」


「……エッ??」


「あの犬っころな、普段からあの川でバシャバシャ犬かきしながら泳ぐのが好きなんじゃって。……泳ぎ方が溺れてるのか?ってくらい下手なだけで。」


「……その、つまり、僕は…。」


 背中に嫌な汗が伝うのが分かった。

 ――いや、まさか、そんなことは……この先を言われたりしたら僕は。二回死んでしまう。


「お察しの通りってヤツじゃな、無駄死にってヤツ⭐︎(ウィンクバチコーン!)」


「んのオオオオオオオッ!!!?そんなあああああッ!?」


 その場であまりの情けなさ――恥ずかしさに顔と身体を交互に隠しながらその場で思わず身悶える。

 ――言われちゃったよ!!!この目の前のじいさん言っちゃったよ!!人の心とか無いんか!?いや、神か…?


「まぁまぁ、落ち着け。そんなとびっきりに可哀想なお主にはワシからの雑よ……ゲフンゲフン、第二の人生……いや、転移……?まぁそこはいいとして、プレゼントがあるんじゃよ。」


「……雑用……?なんか今不穏な言葉が聞こえた気がするのですが…?」


「……やっかましいわ、気じゃろ!?これだから最近の若いモンは!!」


「………なんだこのじいさん……こわ…。……あの、それって辞退できますよね??」


「エッ?無理じゃが?もうワシ決めちゃったもんねーだ!――というわけでじゃ、織田藤四郎、17歳、性別は男、身長は可もなく不可もなくな171センチ、体重は57キロ!うっわガリやん!寿司皿に乗っとけ!じゃなくて、ワシに代わり…でもなく、ワシからのプレゼントじゃ!異世界に転移させてやるから第二の人生を歩め!」


 ――パチン!


 と自称神様が指を鳴らした瞬間だった。反論する余地もなく僕を覆うように床に大きな円陣が現れた。逃げ出そうとするもの何かに身体を縛られたかのように指一本も動かせない。


「ハァッ!?いきなり何言ってるんですか、第二の人生とか意味、分かんなっ…ッ!?――クソっ、なんで動けないんだよッ……!ッもう!!なんなんですかっ、この光は!?」


「ん〜??転移魔法陣。――うっま、この日本の煎餅美味すぎんか?」


「そんな雑な説明で分かるかぁっ!!?人の話を聞けぇーーーーッ!!てか煎餅!?煎餅なの!?そんなゼウスですが?みたいな身なりしてるのに!?」


「うふさいのぉ〜、ゼウスなんほ知らんが??あ〜、そんなひ不安なはワシの力分けたふから。な?……ホレ、ホレホレ。――あ゙っ゙!?」


「!?」


 自称神様がポロ、と大きな声と共に口から煎餅を落とす。思わず驚いて肩を跳ねさせる。

 ――というか、うっわ、汚いな、ちゃぶ台あんなに汚くできることある?髭も食べかすで汚いな…。本当に神様なのか??

 そんなことを思ってると、身体から力が抜けていくのが分かった。無理やり、意識を落とされていくような、そんな感じ。それと同時に身体に何か入ってくるのも感じた。


 ――熱い、冷たい、寒い、苦しい。


「ちょ、待てよ!返すんじゃ!ワシの力全部持ってくな!ワシ偉い人なんじゃぞ!?力なくなったらただのおじいちゃんやないかい!おいコラッ!あ〜っ!!!?何身体薄くしとんじゃ!?行く気か!?ワシの力奪っといて!?ワシの力奪う気か!?謝る!謝るから返すんじゃああああああああああッ!!!!」


 ……うるさいな、勝手に僕に力渡してきたんだろ…、欲しい…なんて、ひと、ことも――

 ブツン、とそこで意識が途切れた。

 


 ――パァアア!……シュンッ!

 


「ヒィヨエエエッ!!!!……マジで!?マジで行っちゃったの!?ワシの力全部持って!?そんなことあるゥ??



 ………………エッ?これワシ最高神の称号剥奪かの…??オワタwww」




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