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54話 100年経ちました

あの戦争と、その後の混乱を経験した人たちも、さすがに100年経つと寿命でいなくなりました。災厄は昔のこととして、学校の歴史で習い、また、語り継がれてゆきます。


ホーソン人は1億3000万人ほどに激減しました。ララたちの移住2000万人と、妖精族を足して、1億5500万人が現在のホーソン星人口です。ホーソン神が司る輪廻からの、魂が年間120万人が限界のためです。まあ、それは神様が決めたホーソン人に対する『けじめ』なんですね。


市中のホーソン人たちは、自分たちが激減したことについて、『神さまが知っていなさる』と、概ね許容しているようです。足ることを知るといいますか、欲にまみれた人が少なくなりました。


妖精族は、災厄を避けて全員、ゴラン王国に避難しておりましたが、100年経った今は、元居たところに戻ってゆきました。魔素がホーソン星に充満するようになってから、ホーソン人にも妖精族が見えるようになったのです。互いに交流も進んでおります。


携帯通信機は、いまだ開発されていません。その代わり、固定電話として、重さ10キログラムほどの魔道具が各家庭に普及しました。有線ではありません。ゴラン政府から、電磁波受送信の技術が譲られて、固定電話機が開発されたのです。もちろん電話交換機も魔素式で開発されました。



さて、電子物理の終わりがなぜ起こったのかという、議論が歴史学の人たちの中で盛んにおこなわれました。なぜ戦争が起こったのか、どのようにして助かったのか、ホーソン神が身もって守った御業も、きちっと学校で教育されています。忘れてはいけないことです。




一方、ララ・ゴランたちは、カルミア大地に移住を開始して100年経ちました。 無事に2000万人が大地の上に立ったのです。念願の大地。それは、もう感激でした。今日は、ポンタ町という名前の新しい町が発生しました。うん、ホーソン人曰く、たぬき顔の人たちです。


「ララ様、ポンタ町の町長を仰せつかっております、イルジオと申します。よろしくお願いします」


「了解しました。問題があれば忌憚なく言ってね」と私は応えました。


毎年10万人規模の町を王国のあちこちに配置して、すでに200ほどの町ができました。町長は、私が任命します。一応、個々に自主統治としています。



 従来からのアミューズメントパークも規模は小さくなったものの、大盛況で多くの人たちが楽しんでいます。



魔素文明もレベル5に達しました。そろそろ魔素の流れを検知する仕組みとスイッチが開発されるかも。そうしたら、魔素式のトランジスターがみられるかも知れません。

そうそう、点火プラグに相当する魔素発火制御装置が発明されたそうです。戦争以前には沢山走っていた、自動車の復元が間近になって来たように思います。




「ねえ、ララちゃん。移民星の人たちは、此の世界に希望を抱いてやってきたよね。でも、ホーソン人は希望が見いだせていないのよね」


「確かに、衰退の過程として捉えたとしても、いずれ脱力感で滅びるかも知れませんね」


パラレルワールド管理局が言ってたように、滅びの笛は鳴り止まないのでしょうか・・・。種族としては、あのとき壊滅していたほうが一瞬の苦しみで終わったかも知れないのです。

ホーソン神が『この星の人が壊滅してもさほど気にならないし、また、一から新しい命を育む機会が得られるのだから、楽しみが増えるだけだ』と言った言葉が重く感じます。

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