53話 仕事を求めて冒険者ギルドへ
「こんにちはー」
僕は、お金がないし物々交換できるものもありません。毎日、神ヤシロの炊き出しで、飢えを凌いでいます。今日は、思い切って冒険者ギルドを訪ねてみました。大学2年生で、親の仕送りとバイトで細々と生活していたのですが、あの災厄のあと、今まで銀行にあった貯えも、プリペイドカードも使えなくなりました。毎日の生活に困窮しております。
「いっらしゃい。どのようなご用件ですか? 」
「冒険者登録をしたいのですが」
事務員の人が、用紙に記入を求めてきました。
「依頼は、あの掲示板にあるもので、できるかな? と思うものを、私のところに持ってきてください。問題なければ受諾していただきます。受諾したけれども、できなかった時は、報酬予定額の1割を払っていただきます。気を付けてくださいね」
あぁぁ、よく愛読していた異世界物の冒険者とギルドによく似ています。依頼の掲示板を見ると、僕のFランクで受けることができるのは、薬草集めです。『ヨモギを100束集めよ。報酬は500円』。これは一食、食べられるぐらいだね。とりあえず、午前中に達成して、昼ご飯代にしよう。
2時間ほどで、100束を背負ってきました。換金しました。これで、かつ丼が食べられます。
久々にかつ丼を食べて、再び午後の冒険者ギルドにやってきました。さて、夕食と明日の食事代を稼がなくては。引き続きFランクの掲示板を見ていると、
「これいいね!」って、小柄な少女が横から、僕が見ていた依頼書を引っぺがしたのです。
「アカネ、それはパーティ依頼で、二人じゃ受けられないよ」と少年がダメ押しをしています。
「ねえねえ君、私らとパーティー組んで、これやらない。君も興味あったんだよね」一緒に居た少年は、サムだと自己紹介をして僕に話しかけてきました。
受付のお姉さんから、説明を受けて、アカネとサムと僕ナカヤの3人で隣町に行くことになりました。依頼は『ひつじの毛刈り』、一頭400円で、30匹、一人当たり4000円ぐらいなりそうです。2人で押さえて、一人がバリカンで刈るらしい。隣町へは、乗り合いバスになります。
そんな、にわか冒険者が各地で発生しました。冒険者ギルド、商業ギルド、魔道具ギルド、輸送ギルド、漁業ギルドなどなど、ゴラン政府指導のもとで作られました。ギルドの運営は当面アオシかモモコが担当しています。
アカネとサムと僕ナカヤの3人のパーティー名は、『暁の盾』になりました。まったく、昔のラノベにあった異世界物を地でやっているような、むずがゆい気もします。
そう、定番のゴブリン討伐の依頼を『暁の盾』で、受けることにしました。討伐訓練があって、装備一式はギルドから借りることができます。サムは前衛で盾持ち、アカネは弓、僕はサムの後ろから剣で戦うスタイルになりました。依頼は、ゴブリン20匹、報酬は一匹3000円、6万円の稼ぎになります。
準備が整ったので、乗り合いバスで3つ先の村の奥にある森に出かけました。難なく23匹を討伐して、証拠の耳をカウンターに提示したのです。
「楽勝だったね!。魔石も2万円で買ってもらえたし」
「「「かんぱい!」」」
問題は、魔素が降り注ぐことで、魑魅魍魎がモンスターに変化します。ゴブリン、スライム、レッドウルフ、オーク、トレントなど、様々な形態と強さのモンスターが確認されています。基本的には冒険者ギルドが請け負って、冒険者が討伐に出向きます。毛皮や肉、魔石などが冒険者の収入につながります。ただし、手に負えないほど手強いモンスターは、ゴラン政府から討伐隊がやってきます。




