20話 文明、文化の調査
アマチ家のララ・ゴランです。
部屋や廊下などには『照明』があって、スイッチというものを押すと、拳大の白い球体が明るく輝きます。魔法の『ライト』みたいなものですね。中には魔素ではなく電気が流れているようです。
この電気が、この世界の文明を支えています。その代わり魔法はありません。
電気は電線を媒体にして、至る所に届けられて、多くの電気機器が動いているらしいです。
照明の他に、調理器や、冷暖房機、映像装置、音声装置などいろいろあります。便利ですね。
移民星からの望遠鏡や、地上に探索モニタを下して、間接的に見たものとは異なり、実体験は楽しいです。多くの電気機器が生活に調和しているのがうかがわれます。
ホーソン星は、電子物理の世界です。移民星は魔素と魔法の世界です。
「ヤクゾウさん。これは何をするものですか? 」
「あぁ、それは携帯電話というもの、離れた人と会話したり、情報を見るものだよ」
「ちょっと、使って見せてよ」
ヤクゾウが画面を触ると、(ぷつっ、ぷつっ)と音がする。
「ああぁ、もしもし。おれヤクゾウ。ちょっとテスト会話だよ。用事はないよ!」
『用事がないなら電話するな!私は忙しいの!』
と、携帯電話から、女の子の声が聞こえてきました。
ほおー。遠隔通話道具なのか。この世界は魔法がないので、この器具を使うようです。
ララは、魔法以外の文明を見るのは初めてなのですが、科学者ではないので細かなところに興味はありません。移民星でも同じような機能を持った魔法のアクセサリがあって、それを介した会話が成り立っています。
「ララちゃん、これから、携帯を買いに行こうか? 」母のミノリの声がした。
また迷子になられるのも困るので、と言うことらしい。
5日ほどして、アマチ家がお世話になっている役所に連れてゆかれました。
記憶喪失で出自がわからない、顔写真で世界に照会してみたそうですが、当然該当者が見つかるはずはありません。仮の住民登録をして、アマチ家預かりとなっております。




