美人さん祭り
この街を案内しに来たよ、と軽い感じで歩き始めた。
街は樹木が溢れレンガや石造りの家が並ぶ。
店やは活気があり、笑い声が届く。
路地裏は薄暗いがこの国はまあまあ平和に見える。
こちらは初夏のような心地よい暑さだ。
露天のアイスらしきものを奢って頂いた。さっぱりしてて蜜柑の味に似ていた。
公園や食料品のお店、衣料品がそろうお店に生活雑貨のお店、
大体の必要なお店は案内してくれた。
やっと心配事が少し減った。
女性物の下着もゲット!
最後の極めつけはお城に案内された。
なんとヒューはお城勤め!!
ステファノさんとコッソリ見学に。
絶対面白がってる…。
***
「おい…何故ここにいる?」
「…あはは。」
(デスよね~)
「僕が案内したんだよ。シュリちゃんが是非見たいって言ったからね。」
(嘘をつけ!!嘘を!!!なんだこの美人2号!!)
「忙しい。帰れ。」
「そんな事言わずにお茶くらい出してよ。」
(ステファノさん押しが強いし怖いよ…)
ニコ…
(怖!!笑顔怖!!もうブラック過ぎる!!)
「…そこに座って待ってろ。」
はぁ、とため息をついた。
こういう事は慣れているらしい。諦めた目をしてる。
ヒューは宰相様らしい…。なのに補佐的な誰かはいないの??
お茶も自ら入れていた。本当に何でも出来るらしい。
しかし出入りは激しい。
ヒューはお茶を飲みながら器用に書類を捌いている。
また一人、また一人と入ってきて、書類が積まれていく。
これは忙しい…。
コンコン
「入れ。」
「失礼します。」
(あわわわ!髪が黄緑!!目が真っ赤!い…異世界!!!)
この男の人も大層な美人さん。美人さん祭りですな。
異世界万歳!!
目の保養!!
短髪黄緑の赤目、すごく目立つ容貌だ。
街に初めて出たがこんなに目立つ人はいなかっただろう。
背が高く筋肉質、顔は童顔なのか若いのか、明らかに朱吏よりは下だ。
頬に傷があって分かりにくい。
でもワイルドな美人さんだ。
今まで出会った中では一番の筋肉!
話が聞こえる限り騎士団長さんみたいだ。
騎士のイメージは甲冑!と思っていたが、そうではないらしい。
イメージ通りだったのは赤のマントだ。ヒーローっぽい。
制服は上下紺一色でシックだ。
そして流石騎士。長さの違う3本を帯剣している。
「あ、この人がシュリさん?」
「え?あ、はい。宜しくお願いします。」
(不躾にジロジロみるんじゃないよ…。私なんか変なのか?)
「…オレはフィリップ・ルプレヒト・ヴィルヘルム、騎士団長をやってる。
よろしくな!」
「フィリ…フェ…フィリップ?」
「そ、また会うと思うから。じゃ。」
颯爽と去って行ったが書類を忘れ戻ってきた…。
大丈夫なの?団長…。