第十三話 一応落着
朝、起きて寮の談話室に行くと、吊り下げてある新聞を手に取る。
『北麗学園、謎の意識不明大量発生事件』
そう書いてある記事を読んでいたら、不意に声をかけられた。
「桧山先輩!」
「ああ、おはようございます。日向くん」
話しかけて来た私服姿の日向に、同じく私服姿の桧山は笑って挨拶した。
手に持った新聞を日向に見せて、
「記事になってますよ。日向くんたちが倒れた一件」
と話す。
「ああ、……結局なにがあったかわかんないんですよね。
礼賀たちも無事だったし」
「ひとまず事件は解決したみたいです。意識不明になっていた三十人も、意識を取り戻したとありますし。失踪した生徒もそのうちに見付かると思いますよ」
「あ、そうなんですか。よかった」
桧山の言葉に日向は安堵して息を吐く。
「あ、じゃあスマートフォン返さないと」
「そうですね。僕も君のを返さないと。
ちゃんと毎日ログインしておきましたから」
「あ、ありがとうございます」
笑顔で礼を言って、それから少し沈黙が落ちた。
「結局、今回の事件ってなんだったんですかね?」
「チェスの陣地取りって話したの覚えてます?」
「はい」
「それで、僕たちの味方側が勝った、ってことだと思います。
そうじゃないと、あまりに幕切れが唐突すぎますから」
桧山の言葉に、日向は難しい顔をして悩んでいる。
「まあ、そう難しく考えなくてもいいと思いますよ?
僕たちがどうにか出来る範疇を超えていますから。
考えても無駄というやつかと」
「はっきり言うなあ」
「事実ですので」
「それ、桧山先輩でも?」
日向は「本当は桧山先輩ならわかっているんじゃないか」という顔をする。
「生憎と、僕も普通の高校生なので、なにもわかりません」
「……………そっかあ」
少し残念そうに呟いた日向の頭を撫でて、桧山は笑う。
「まあ、これに懲りたら、もう好奇心で危ないことはしないようにね」
「はぁい」
桧山の忠告に頷いた日向の髪を、窓から差し込んだ陽射しが照らしている。
今日は臨時休校だ。なにしろ、あんなことがあったので。
だが徐々に落ち着いていくだろう。
また、次の事件が起こらなければ、の話だが。




