188、組打ちスティード
みんなと別れた地点まで戻った。どうやら私が一番乗りか。迎えに行ってもいいけど魔力探査じゃ見つからないからなぁ。のんびり待つとするか。錬魔循環しながらでもいいが、気分じゃないしな。普通に棍の形稽古しながら待つとしようか。
「カース。待たせたかしら?」
「おかえり。無事みたいでよかった。全然待ってないよ。」
まずはアレクとコーちゃん、そして護衛のエルフが帰ってきた。
「やっぱりここは危ないわね。ブラージがいてくれて助かったわ。」
ブラージ? エルフ三人組の一人か。さすがにアレクはよく覚えてるよなぁ。
「あら、待たせたかしら。あっ、カース君、浄化をお願いしていい?」
おお、サンドラちゃん達も帰ってきた。無事は無事みたいだけど、泥だらけじゃん。
『浄化』
「怪我はないみたいだね。じゃ、帰ろうか。話はボードの上で聞かせてね。」
「ええ。楽しませてもらったわ。さすがはカース君ね。いい所知ってるわ。」
「はは、こいつらに教えてもらっただけだよ。」
『浮身』
『風操』
まずはカムイを拾って、と。
さあ、帰ろう。
ほうほう。サンドラちゃん達は草をメインに集めたのね。ちゃーんと根っこからしっかり集めたんだね。カンナビ草って言ったっけ? 私も少しは集めたよ。燻製に使うからね。私は適当に切っただけだがね。
で、アレクは何をゲットしたの? え、内緒? 確か前も内緒じゃなかったっけ? でもそれ食べるのどうせ私なんだよね? だったら教えてくれてもいいのに。まったくもうアレクったらかわいいんだから。
そんな風にお喋りをしてたらフェアウェル村に到着。わずか二日ぶりだけど久しぶりにも感じちゃうね。
まだ夕方には早いな。エルフのみんなは何やってんだろう。農作業かな? 少しぐらいなら手伝うぜ?
「そんじゃ兄貴ぃ、毛虫出してくれよ。燻製してくるからよ」
「おお悪いな。頼むわ。」
「うえっ、カース君それもしかして……」
ふふふスティード君。聞くと見るでは大違いかい?
「そうだよ。これがあの芥子毒牙虫だよ。元はどう見てもただの毛虫だよね。」
しかも禍々しいしね。こいつを燻製すると毛が全部なくなって芋虫になるんだよ。それならまだ丸ごと食うのも不可能じゃない見た目だよね。まあ丸ごと食うと私でもぶっ飛びそうな気がするが。
「うえぇ……すごいんだね……」
スティード君達もカンナビ草を抜くたびに地面から飛び出してくる虫の対処が大変だったらしいじゃん? 虫ごときにやられるスティード君じゃないけど、飛び跳ねてくる泥まではどうにもならなかったらしいね。
「あ、そういえばカース君! 夕食までまだ時間があるじゃない? 稽古しようよ!」
どこから『そういえば』が出てきたんだよ……
「……じゃあ日が沈むまでね? ちなみに何する?」
「そうだねぇ、たまには組打ちなんてどう?」
うげぇ……スティード君は素手でも強いんだからさぁ……棍の間合いじゃないとマジで手も足も出ないぞ。
「それならセルジュ君もやろうよ。一組ずつ交代でさ。」
そうすれば私の番がほんの少し減るからね。
「絶対嫌だよ。むしろ二人が組打ちするなら横から魔法でも撃つし。油断のできない稽古ができるよ?」
やはりだめか……セルジュ君のいけず……
「それいいね! 心眼の稽古にも通じるものがあるよね! じゃあカース君やろう!」
「やろうか……」
『換装』
上半身裸になり靴下とブーツも収納した。もちろん籠手と脛当ても。これがあったら勝負にならないからね。
でもなぁ、あー……嫌だなぁ……痛いの嫌だよぉ……
せめて準備運動ぐらいさせてくれよぅ……




