434、高等技術
私が走るより速いペースで飛ぶこと十五分。同じ地下にしてはえらく遠いな。
「あそこだ。あそこを右に曲がると運搬場の入口がある」
「分かった。じゃあここまででいいよ。戻ってて。」
「ああ、何もできない我らで申し訳ないが……すまん人間よ。どうか精霊様を……」
「ああ。こっちも友達が囚われてるからね。」
「うむ、そちらの精霊様もご無事であることを祈っておく」
さて、あの角を曲がったら戦闘開始か。どうしたもんかな。アレクにはマックレスの面倒を見てもらわないといけないからな。じいちゃんの護衛はどうしたものか……ん? 何か忘れてるような……あ!
「トーア!」
「どうしたのカース?」
「トーアのことを忘れてたよ。あいつにはおじさんの護衛を頼んでたのに。」
「……オレがどうした?」
えっ!?
「トーア……さっきまでいなかったろ? どこにいたんだ?」
「……ずっといたぞ……お前達がドワーフに夢中で気づいてなかっただけだろう? くくく……」
こいつ、すげぇな。霞の外套並みってのは言い過ぎにしても、どんだけ気配を隠せるってんだ? 全然気づかなかった……私の隠形並みか? いつの間にやらいなくなったかと思えば……いや違う。いなくなったことすら忘れてたんだ。こいつヤバいな……
なあカムイ、お前は気づいてたよな?
「ガウガウ」
当たり前だって? ほっ、よかった。
「まだ飽きてはないな? 今からが危険なところだからな。おじさんの護衛をきっちり頼むぞ?」
「……飽きるどころか楽しんでいる。まさか城の地下にこんな場所があろうとはな……しかもドワーフに精霊か。生きて帰れたなら大儲けできそうだな……」
「まあがんばれ。その予感は正しいと思うぞ。」
商王に口止め料を強請るのか、それともドワーフを手懐けて魔道具利権にでも食い込むか。確かにいくらでも儲けられそうだよな。
「くくく……おもしろくなってきやがったぜ……」
さっきまで黙ってたくせに。
「じゃあアレク。ちょっと行ってくるから待っててね。」
「ええ。カースなら一分で終わるわよね。」
はは、どうだろ。では……
『隠形』
ちょいと制圧してくるぜ。
洞窟の先を右に曲がる。おお、洞窟が壁で塞がれている。いや違う。あれ壁じゃなくて扉じゃん。エレベーターのドアみたいに横に開くやつか。てことはどこにスイッチかボタンがあるのか? うーむ見当たらない。
見張りの騎士はいない。壁の向こう側にいると見たね。
『水鋸』
ボタンがないなら仕方ない。ドアを斬ろう。どうせミスリル製なんだろ? お前らが思うほどミスリルは無敵じゃないからな?
ほぉら開いた。でもおかしいな。誰も出てこない。気配も……ない。仕方ない、入ってみるか。うおっ、危なっ! 床がないじゃん! 危うく落ちるとこだった……何だこの縦穴は。底が見えない……マジでエレベーターなのかよ。だから普段は警備してないってことか。ワイヤーなんかも見えないし脱出不可能ってことだもんな。
よし、行ってみるか。いや、その前に……
一度戻って、打ち合わせオッケー。私は上、アレク達は下を探ってもらうことになった。ただしマックレスが目を覚ましてから。トーアをどこまで信用できるか気になるところだが、カムイもいるし大丈夫だろう。アレクだって甘くないし。
さて、下も気になるけどやっぱ私は上だよな。先に出発しよう。尖塔を制圧して精霊を探さないとね。あっちの方が警備が厳しそうだし。待っててねコーちゃん。




