419、コーネリアスの危機?
こっちの質問は無視か?
「彼らをどう扱ってるか知りたいんですがね。例えば、一日にどれだけ働かせているのか。食事量や回数は? 睡眠時間は? 自由時間は? 報酬は? 娯楽は? 地下と言いましたけど日に当たることはあるんですか?」
「くくく、キサマはどこの商人か。そのような些末なことをワタシが知るはずもなかろう。ではこちらの質問だ。白い蛇はキサマのペットか?」
あぁん?
「くくく、やはりそうか。好奇心は猫を殺すと言うが蛇でも同様らしいな」
ちっ、顔に出てしまったか。だが……
「何が言いたい?」
コーちゃんを殺した、コーちゃんが死んだなんて話を私が、私達が信じるはずないだろう。死体を見せられても信じないぞ?
「ワタシの城を我がもの顔で彷徨かれたからには駆除しても不思議はなかろう? キサマらの国は違うのか? 王城とは小汚いケダモノが這いずりまわっ「カース!」ても許される場所なのか? んん? キサマどうした? 言いたいことがあるなら言うがよかろう?」
危なかった……アレクが一声かけてくれなかったら……こいつ殺してたわ……
くそが……余裕たっぷりの顔しやがって。自動防御の魔道具持ってるからって余裕こいてんだろ? 舐めんなよ? 私がその気になればどうとでもできるってんだ。
「何の話か分かりませんな。私達の連れである白蛇が現在行方不明であることは間違いないですがね。幸運を呼ぶと評判なものですから不埒な輩に誘拐されてないといいんですがね?」
「くくく、誘拐ときたか。まるでこちらに責任があるかのような言い草だの? 無礼にも突然やって来たのはキサマらなのだがの? あまつさえ歓待したのはこちらのはずだな? それを誘拐などと言われては、いやはや何とも対処に困るではないか。たかがケダモノの一匹や二匹がどうしたと言うのやら」
さっきから何なんだこいつは? もしかして私を怒らせようとしている? それで手でも出そうものなら喜び勇んで制圧するってか? 大義名分ができたってさ。
落ち着こう……こいつを殺すのも王城を更地にするのもいつでもできる。重要なのは奴隷の一族を救うことだ。でなければわざわざこんな所まで来た意味がない。でも万が一、いや億が一にもコーちゃんを殺してたら何も気にせず更地にしてくれるがな……あり得ないな。うん、無理無理。
「あー、とりあえずさっきの質問に答えますわ。白い蛇ちゃんは私らの友達ですよ。ペットなんかじゃないですね。じゃ、次はこっちの番ですね。えーっと、奴隷の一族ですけど聞くところに寄ると契約期間を過ぎてるらしいですね? それなのに解放しないんですか? 一国の王が約束を守らないってやばくないですか?」
「くくく、友達だと? キサマ正気か? あのようなケダモノと意思の疎通ができるわけでもあるまいに。現にキサマのもとからいなくなったではないか。友ならばキサマのもとから離れるはずがなかろう?」
意思の疎通? できるよ? できるけど、なんか妙だな。何やら誘導されてる感があるんだよな。迂闊に反論しない方がいいような……
「都合の悪い質問は無視ですか。てっきりこちらが質問する番かと思ったんですがね。もう一度質問しますよ。奴隷の一族との約束の期間は過ぎてるんじゃないんですか?」
自分のペースに巻き込もうったってそうはいかんぞ? お前が答えないなら私だって答えないさ。ちなみに周囲の護衛どもは怒り心頭って感じ? 今にも剣を抜きそうだ。抜いたら即殺してやるんだがねぇ?
「くくく、何度言わせるつもりだ? キサマは道具と約束をするのか? キサマの武器は神木とか言ったか。そんな棒っきれと『毎日磨く』だの『毎日素振りを欠かさない』だのと約束をしてるとでも言うのか? 道具だか作品だか知らんが約束とは対等な立場同士で行うものだ。契約期間? なんだそれは? 寿命がきたら壊れるだけのことだろう? 壊れたら新品と換えるだけのこと、至極当たり前ではないか」
この野郎……どこまでも舐めくさってやがる……
「さて、キサマとの問答もそろそろ飽きてきた頃だの。最後の質問をしてやろう。魔道具造りにおいて抜群の腕を持つあやつらが、なぜ長年に渡って奴隷であり続けているか分かるか?」
分かるわけないだろ……ここの騎士たちはさほさど強くないし。すごい魔道具を作れるような奴らならいくらでも逆襲できそうなもんだよな。それなのに立ち上がらない理由……分かるわけないだろ。
「知りませんよ。弱みでも握ってんですかね。」
弱みとか人質とかじゃ無理だろ。二百年だぜ? そんな都合のいい弱みなんかないだろ……
「ほう? まんざら愚者ではなかったらしいな。ついでだ、教えてやろう。あやつらの弱みと帰ってこない白蛇。共通点があると言ったらどうする?」
なん……だと?




