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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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288、無邪気な女の子

うーん……いい朝……かと思ったらもう昼か……別に急いでないから全然オッケーだよな。結局昨夜は風呂に入ってないから『浄化』で済ませちゃったんだよな。

さすがに今なら空いてるだろ。ちょっと聞いてこよ。


「あっ、魔王様おはようございます。お食事されますか?」


「おはよう。食事の前に風呂かな。今は空いてる?」


「ええ、空いております。しかしながらまだ掃除が済んでおりませんので……」


「ああ、気にしなくていいよ。むしろ入った後できれいにしとくから。」


掃除や洗濯は得意だからな。もっとも、客から気にするなと言われてもそうはいかないだろうけどさ。そこらの安宿じゃないんだから。


「そ、そうですか……かしこまりました。それでよろしいのでしたら……ご案内いたします」


あらま。いいのね。言ってみるもんだわ。


よし。場所は分かった。掃除してないって話だったが、どれどれ中の様子は……うっ……マジかこれ……


カビだらけじゃん。無事なのは湯船周辺ぐらいか? そこそこ立派な岩風呂だろうに台無しだよこれ……仕方ないなぁ。


『浄化』


まずはざっとカビを落として……


『水滴』


それから高圧高温のジェット水流で細部まできれいにして……


『風操』


窓を開けてしっかり換気。どうよこの流れるような魔法清掃は。もうどこにもカビなんてないぜ。すっきりだ。オディ兄なら浄化一発で終わったかも知れないけどさ。

でも、これでアレクと一緒に入れるな。カビだらけの場所にアレクを呼ぶなんて冗談じゃないもんな。よーし、アレクを起こしに戻ろう。昨夜は浄化で済ませてしまったからな。私の手で念入りに洗ってあげねばならないのだ。ついでにカムイもね。






「も、もうカースのバカ……」


結局洗うだけでは済まなかった。だってアレクが悩ましい声を出すんだもん。


「ふふっ、昼からアレクはかわいいね。いつもだけど。さ、何か食べようか。」


「ええ、カースのせいでお腹すいたわ。」


風呂はきれいになったしアレクはかわいいし、気分がいいね。




昼飯は心なしか豪華だった気がする。喜んでくれたのなら幸いだね。


「あ、あの、魔王様、あのような汚い浴室を……本当にありがとうございました」


「いいっていいって。でもよくあそこまで放置してたよな。次からはこまめに掃除した方がいいよ?」


「ご忠告真摯に受け止めたいと思います……」


わざとカビだらけにしてたって可能性もあるけど、それなら掃除をするって言った時点で止めるだろうし。よく分からないね。分からないけどきれいなのは気持ちがいいね。




ランチもうまかった。ジャムまでワイン風味だなんて粋なことするよな。同じ領内でも色んな料理があるもんだ。やっぱその辺はクタナツやフランティアよりこっちの方が歴史が長いことも関係してるんだろうね。クタナツは百年、フランティアは二百年。アレクサンドル領はローランド王国成立前からだから三百五十年以上の歴史があるってことだよな? いやーあれこれ壊しちゃってごめんね。


「じゃ、行こっか。」


本当は昼寝したいけどね。


「ええ。今日中にボルドラまで着けるかしらね?」


「どうなんだろうね。でも日が暮れてきたら飛べばいいよね。」


ここからどれぐらいかかるか聞くのを忘れてたんだよな。そこらで通行人に聞いてもいいのだが、この際だからちょっとしたミステリーツアーといこうではないか。少し違うけど。


「それもそうね。ふふっ楽しいわ。」


アレクがご機嫌だと私もご機嫌になっちゃうね。では腕を絡めて街道散歩だ。




「ピュイピュイピピッピ」

「ガウガウ」


「ピュイッピピッピュイ」

「ガウガウ」


コーちゃんは楽しそうに、カムイは普段通りに何やら会話をしているらしい。私に向けて喋ってくれれば理解できるってのに、この二人同士で喋られてしまったら分からないんだよな。今さらだけど不思議だわー。よくこの二人は意思疎通できるよなぁ。それこそ今さらだけど。


「カース、天気が崩れてきそうだわ。」


「あら、本当だね。でも気にせず歩こうか。」


進行方向である西の空が曇っている。一雨くるかな?


「カースらしいわね。たまには雨の中を歩くのも風流ね。」


「だよね。」


ヒイズルでもあったよな。あの時も街道だったのに、気持ち悪いミミズみたいな魔物が現れたんだっけ。この辺だとたぶん何も現れないんだろうな。


心なしか道ゆく人々が足早になっている。当たり前か。ペースが変わらない私たちを奇妙なものを見る目でチラ見しながら追い抜いたりすれ違ったり。

慌てて馬車の荷台にカバーをかける御者もいるな。こうやってのんびり観察してると色んな人がいるよなぁ。散歩しながら人間観察か、悪くないね。


『風壁』


とうとう降り出したので、頭上に屋根を作っておく。コーちゃんとカムイは何やらテンションが上がってるみたいだけど。


「二人とも楽しそうだね。」


「私たちもやる?」


なぬっ? 雨に打たれてずぶ濡れのアレク……いいかも……


「面白そうだね。ちょっとだけやってみようか。」


アレクが風邪をひかない程度にね。


『風壁解除』


うはっ! こりゃ強烈だわ。めっちゃ土砂降りじゃん。


「うふふっ、カース! こっちよ!」


走り出した。無邪気な顔してるなぁ。土砂降りの雨の中を走る高貴な姫君……絵になるなぁ。かわいすぎる……


「ははっ、待て待てーー!」


私の特技の一つ、いつでも童心に帰れることだ。豪雨の中を逃げるアレク、追いかける私。その先にはコーちゃんにカムイもいる。

今日のアレクの服装は私と同じドラゴンのウエストコートにトラウザーズ。だから艶めかしい生足が見られないのは残念だが、濡れた髪が顔に張り付くところは見れそうだぜセクシー。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 2200話おめでとうございます!
[良い点] 2200話おめでとうございます! この一行、ぶれないですね~。そこが良いんですけど(笑) まだまだ物語が続くことを感じさせる一幕でした!
[一言] 2200話の更新おめでとうございます。 いつも楽しみに拝読させていただいております。
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