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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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282、ベルグ男爵領のベルグラック

昼食を終え、再び歩き始める。


奴らのペースが上がってる。どうしても日没までにベルグラックとやらまで辿り着きたいらしい。あいつらともそこでお別れか。


それにしても、街道を歩くってのは面白いもんだよな。冒険者、商人、農民に職人。色んな種類の人間を見ることができる。時々奇抜なファッションで素性が知れない人間もいれば、貴族だろうに馬車にも乗らず歩いている奇特な者もいる。

私達はアレクが一緒だからかなり注目されるんだよな。白い毛並みが美しいカムイがいるせいかも知れないが。それでもここまで一度も絡まれたり声をかけられたりすることがなかったのは足早に歩いているからか、六等星の奴らが一緒だからか……両方かな。




日は暮れ、影が私達の左側に長く伸びる。


「どうやら間に合いそうだなあ」

「おお、ちいとばかり疲れたぜえ」

「だが今夜あ旨い酒が飲めそうだぜよお?」


あれがベルグラックか。あと二キロルってとこか。そこそこ丈夫そうな城壁じゃん?


「閉門までに入れそうか? まあまあ人数が多そうだが。」


だめならアレク頼りで貴族門から入るけどね。


「んーー、ちっと多いみてえだなあ」

「別によくねえ? 魔王さんに女神さんもいんだしよお?」

「おおー! そりゃそうだ! 頼むぜ魔王さんよお!」


もう気づきやがった。察しがいいねえ。


「ああ。アレクがいるから大丈夫だ。ねっ、アレク。」


「ええ、アレクサンドル領内だもの。問題ないわ。」


だよねー。ここを正確に言うとアレクサンドル公爵領ベルグ男爵領ベルグラックか。アレクサンドル領内はフランティアと違って代官を置かずに地方領主が治めてる所が多いよな。

それにしても、男爵である領主より男爵令嬢でしかないアレクの方がよっぽど高位だってのは貴族の悲哀を感じさせるねぇ。




到着。貴族門は……あるにはあるが小さいな……大型の馬車がぎりぎり通れる程度のサイズだろうか。あまり貴族が出入りしないのか? 街道沿いだってのに。実はスルーされがち? それとも単に城壁の堅固さを優先しただけとか? まあどうでもいいけどさ。


「フランティア領はクタナツ、アレクサンドル男爵家のアレクサンドリーネよ。通るわね。」


ギルドカードとアレクサンドル家の紋章入り懐剣を見せながらアレクが言う。それにしても不思議な組み合わせだよなぁ。門番の騎士が戸惑うのも無理はない。さぞかし、なんでアレクサンドル家の人間が冒険者やってんだよ……と言いたいことだろう。


「ど、どうぞお通りください……」


「ありがとう。」


さらりと礼を言うアレク。


「ほれ、とっとけ。」


「あっ、ああ、ど、どうも……」


金貨を一枚握らせる私。いつもは銀貨一枚なんだけどアレクサンドル公爵領内だからね。ほんのサービスさ。




「おっしゃあ! そんなら行くぜ! 今夜あ派手に飲むからよお!」


「どこで飲むんだ?」


「ギルドの隣にいい店があってよお! 運が良けりゃあ吟遊詩人も来てんぜえ?」


ギルド併設の酒場ってわけではないのか。それよりギルドかぁ……冒険者は街に着いたらギルドに顔を出すのがマナーだが、どうしよう。明日にはもう発つしなぁ……


「お前らギルドには顔出すのか?」


「おお。当たり前だろお?」

「ついでに良さそうな依頼がねえか見ときてえしよ?」

「魔王さんらあは行かねえんかあ?」


「いや、もちろん行くぞ?」


ギルドには伝言が届いてることもあるしね。だからってフランティア領都やクタナツでもないこんな所のギルドに私宛ての伝言なんか届くわけないよなぁ。本当に顔を出すだけでいいだろ。後は依頼表でも冷やかしてみようかな。




「ちっ、さすがにこの時間は混んでやがんなあ……」

「俺が並んどくぜえ? お前ら先に行っとけやあ」

「おお、そうすっかあ。悪いなあ。そんじゃ魔王さん、店あ隣だからよお。早く来てくれやあ?」


「おう。」


こいつらっていいチームワークしてるよなぁ。


と言われても私達も並ぶ気はないんだよね。本当に顔を出しただけなんだから。

さて、依頼表でも見てみよう。


「何か面白そうな依頼はあるかなぁ。」


「護衛系や運搬系が多いわね。納品系はほぼなくて残りは討伐系みたいね。」


あー、そこそこ盗賊が出るって話だったもんな。討伐系の依頼ってクタナツだとあんまりないもんなぁ。盗賊が少ないから。代わりに魔物素材の納品系が多いんだよね。


「そういえばヒイズルでも盗賊退治やったよね。なんだかすごく大昔みたいな気がするよ。」


「そうね。あれからまだ一年も経ってないなんて不思議な気分ね。」


「それを思うと一件ぐらい受けてもいいけど……いや、やっぱなし。めんどいや。」


ヒイズルか……ヤチロで畳を作った時のように面白い出会いがあるかも、と思ったけど……そんな都合のいいことがそうそうあるはずがない。だいたい今欲しいものなんか特にないし。


「げへへへへへえ! こいつはいいやあ!」

「女の前だからってカッコつけなくていいんだぜえ!?」

「そーそー! 素直にできませんって言えってんだあ!」


うーん、見るからに粗野な冒険者。フェルナンド先生の自称『粗野』とは大違いで本当に粗野で臭い冒険者に絡まれた。つくづくギルドあるあるだよなぁ。

どうしよ?

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[一言] 今度こそたちが悪い冒険者?
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