プロローグ
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俺の名は赤城陽一。霊感持ちの19歳だ。
幼い頃から、不燃ごみを出すくらいの頻度で幽霊を見てきた。何なら、理解はできないものの、幽霊の声が聞こえてくることもある。
こう言うと特別な能力と思われがちだが、決して優れているわけではない。ただ知覚できるだけで、幽霊を利用することも、追い払うことも出来やしない。加えて幽霊の姿・声というのは非常におぞましく、全身の毛が逆立ちするような恐怖に苛まれる。
今でこそ収まってきたが、小学校に入るまでは幽霊を見た日、必ずと言っていいほど布団を濡らしたものだ。
こんな能力、早く捨て去ってしまいたいとこれまで何度願っただろう。
幽霊にもいくつか傾向があり、同じ場所にとどまっているものも居れば、人間に取り憑いているものもいる。取り憑かれた人間は決まってやつれた表情をしており、どう見ても健康に悪影響を及ぼしているように映る。
かといって、俺に何かができるわけでもなく、ただ罪悪感に襲われるだけの、全く持って不快な能力だ。
きっと、俺が大学入試に落ちて一浪したのも、これまで彼女ができなかったのも、貯金が底を着きそうなのも、この霊感のせいに違いない。
……人間とは何もしていないと、負の感情に囚われてしまうのだろうか。
しかし明日からは、1年間恋焦がれたキャンパスライフが始まるわけで。引っ越しが落ち着いてから、漫然とネットの海を漂った生活ともおさらばだ。俺の大学生活が薔薇色になって、埋もれた才能が開花し多数の人に認められる『何者か』になれるかもしれない。そんな一縷の望みを信じて、今日ばっかりは日付が変わる前に寝ることとしよう。




