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30ー2.男達の休日~美少女とのパラダイスを添えて~

 俺は木陰で涼みながら寝ようと影がありそうな木の近くに行くことにした。


 だが、そこにはバレッタが居た。


 黄色いパーカーを着ていてその隙間から見える黒のビキニはとても魅力的に感じた。


 そんなバレッタだが誰かと通信しているように見えた。


 休みの日まで仕事とは熱心だな。


 とりあえず声だけかけとくか。


「バレッタ、こんな所で何してんだ?」


「ゲイル・リバスターですか・・・覗きとは趣味が悪いですね」


「覗きってなあ・・・俺はただ変な所に居るから何してんのかなって話しかけただけなんだが・・・」


「変・・・ですか?」


「俺の印象ではバレッタはリーネのそばに常にいるって感じだからな」


「そんなことはありませんよ。割とそばに居ませんよ?」


 今までの事を思い出した。


 よく考えたらリーネとバレッタが一緒に居る所そんなに見たことないな。


「そう言えばそうだな」


「では、私はリーネ様の元に向かいますので失礼させていただきます」


 バレッタがその場を足早にどこかに行こうとしていた。


 まるで追及されるのを逃れるかのようだった。


 俺は不審な動きをするバレッタにさっきの通信について聞くとこにした。


「ああ、そう言えば・・・誰と通信してたんだ?」


「覗きだけじゃ飽き足らず盗み聞きまで・・・どれだけ罪を犯せば気が済むんですか変態魔王?」


 バレッタは動じもせず俺を冷ややかな目で見てきた。


「変態じゃねえよ! で? 誰なんだ?」


「リーネ様の次の作戦に必要な情報を集めるために使った部下ですよ」


「休日まで仕事とはな。随分仕事熱心なんだな」


「当たり前です。リーネ様のやる事を全力でサポートするために私が居るのですから」


「そうかい。まあ、今日ぐらいは仕事は忘れて遊んだらどうだ?」


「ええ、そのつもりです。リーネ様のあの水着姿は目に焼き付けておかなければいけませんので。それでは」


 パーカーのポケットから茶色い魔導書みたいな本が落ちた。


「おい! 本落としたぞ」


「・・・っ! あ、ありがとうございます」


 ん? なんだこの違和感は・・・あの本に何かあるって事か?


「この本の中身ってどんな感じなんだ? 面白いなら後で貸してくれないか?」


「貸すことはできません。それは私の日記ですから・・・それとも人の日記を見るような趣味が御有りなのでしょうか?」


「すまん、すまん。外側が立派だったから日記とは思わなくてな」


「そうですか。立派過ぎますか・・・」


 俺はバレッタに本を手渡しした。


「改めてここで失礼致します」


 バレッタは本を懐にしまいリーネの元に向かって行った。


 バレッタが何を隠しているのかは知らないが警戒しておくに越したことは無い。


 よくある映画であるだろ味方に裏切り者が居て情報が筒抜けだったみたいなやつ。


 まあ、何かあったら疑えばいい。


 それまでは泳がせておくさ。


 リーネも何もしてないしな。


 周りに誰も居なくなったところで俺は横になって寝た。


「さて、俺はちょっとここで休むとするか・・・」


 目を閉じて寝ようとした時、カイが俺を見つけて俺の元にまで小走りで寄ってきた。


「居た! ゲイル! ご飯まだでしょ? 肉貰ってきたから一本どう?」


 串には野菜と肉が交互に刺さっていていい感じの焦げが涎を誘う。


 うまそうだな。


「そう言えば何も食ってないな。一本貰おう」


「はい」


 俺はカイが差し出してきた串をもらい口にいれた。


 その瞬間肉汁が口いっぱいに広がり旨味が口の中で爆発した。


 旨いと思った・・・その直後、辛み、渋み、甘み、苦みとあらゆる味が俺の口に襲い掛かってきた。


 この意味不明な味に混乱した俺は飲み込めず吐き出してしまった。


「ごふぉお! こ、この感じた事のある意味不明な味は・・・!」


「ゲイル・・・まだもう一本いけるよね?」


「おい! カイ! どういうことだ? この味はセレネの作った料理の味だろうが! 串に刺して焼くだけでなんでこんな味がするんだよ!」


「まあまあゲイル。もう一本逝けるよね?」


 カイはニッコリしながら俺に手に持っている串を差し出してきた。


「俺の質問に答えたら考えてやる」


 カイは急に真面目な顔をし話し始めた。


「セレネが特製のスパイスを用意していてそのスパイスをかけてしまって出来上がっちゃったんだよ」


「どうしてセレネに料理を任せたんだ!? この結果は目に見えていたはずだろ!」


「寝ずの作業のせいで僕達の判断能力が低下していたからだと思う・・・でも、串に刺して焼くだけだし大丈夫だと思うじゃん! まさか懐から隠し玉を出してくるとは想定できないじゃん!」


「・・・なんで俺がこれを食わなければいけないんだ!」


「ゲイル・・・この苦しみを君だけが味わっていると思っているのかい?」


「まさか・・・」


「クリスタリア王国軍の全員とグレイ様も全員食べているんだよ」


「おい! 俺だけ食べてないのが許せないから俺の所に持ってきたとか言う気か?」


「違うよゲイル・・・これはリーネ様達に食べさせないためにやっていることなんだ。幸いセレネの持ってきたスパイスには限りがある。スパイスを使い切ればリーネ様達は素晴らしい思い出のままこの海を過ごすことが出来るんだ。協力してくれるよね?」


 まあ、リーネのそばにはハユが居るからリーネが口にすることは無いだろうな。


 だが、可能性はゼロに近いほうがいいはずだ。


「・・・後五本はいける。どんどん持ってこい」


「ありがとう」


「水臭いこと言うんじゃねえよ・・・俺達親友だろ?」


「そうだね」


 俺は吐きそうな思いをしながら無理やり食べきっていた。


 粉が掛かっているだけだから前よりはだいぶ食べやすい。


「ど、どうだ? もう食い切ったか?」


「ばっちりさ」


 俺とカイはその場に倒れていた。


 寝不足と食べ物による精神攻撃は思いのほか応えたらしく意識が飛んだ。


 そして数十分後、俺とカイは起き上がった。


 セレネの料理のおかげで寝不足による気持ち悪さと吐き気は全て治っていた。


 さすがはセレネの料理だ。


 一瞬の地獄を見るだけでその後の体はスッキリと良くなっている。

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