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転生内親王は上医を目指す  作者: 佐藤庵
第85章 1930(昭和2)年処暑~1931(昭和3)年夏至
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前(さきの)内府殿下、東奔西走

 1931(昭和3)年5月14日木曜日午前11時35分、有栖川宮(ありすがわのみや)家葉山別邸。

「王室はやはり、我が国のように、議会や行政とは関与させないでおく方がいいだろうね」

「そこは賛成いたします。今のシャムでは、皇族が省庁の大臣をしている場合もありますが、王族が国費を無駄に使う危険などを考えると、それは憲法の制定を機に廃止すべきでしょう」

「その通り。ただ、模範たる我が国で、宮中と府中の別が簡単に踏み越えられてしまっている例もあるわけですが。例えば、(さきの)内府殿下は……」

巳代治(みよじ)、貴様、前内府殿下を愚弄するのか?前内府殿下は、まだ天皇の位についておられた上皇陛下を補佐するために宮中に入られたわけで……」

「愚弄などとはとんでもない。私はただ、事実を述べているだけで……」

 葉山別邸の一室からは、男性たちの議論が聞こえる。物騒な響きを伴う声も聞こえるような気がするけれど、気のせいだということにしておきたい。私は騒がしい部屋の(ふすま)の前に立つと、「失礼します」と中に声を掛けた。

「おーっ!前内府殿下じゃ!」

 そこは、私が葉山別邸に滞在する時、居間として使っている和室だ。そこに、長方形のちゃぶ台を囲んで、6人の男性が座っている。枢密院議長の伊藤博文さん。枢密顧問官の伊東巳代治さん。我が有栖川宮家の別当で、中央情報院麻布分室長でもある金子堅太郎さん。この3人は、亡くなった井上(こわし)さんとともに、1887(明治20)年の夏に大日本帝国憲法の草案を作成した。その3人に、枢密顧問官の陸奥宗光さんと高橋是清さん、そして議論の書記役に選ばれてしまった堀悌吉(ていきち)海兵中佐、以上の6人がこの葉山別邸でシャムの憲法の草案作りに励んでいる。私の姿を見るなり嬉しそうに叫んだのは、やはり伊藤さんだった。

「どうも……」

 紺色の和服を着て、診察カバンを持った私は機械的に頭を下げた。お(かみ)のお声がかりで4月中旬から正式に始まったシャムの憲法草案作りの会場に、我が有栖川宮家の葉山別邸が選ばれたのは、“機密がきちんと守られるところで作業がしたい”という伊藤さんの願いに、私の義父・有栖川宮威仁(たけひと)親王殿下があっさりと応じてしまったからだ。そして、お上からの命により、私は週に1度葉山別邸を訪れて、作業の進捗と、葉山別邸に泊まり込んで作業をしている6人の健康状態をチェックしていた。

「進捗はどうですか?」

 私は畳の上に正座すると、高橋さんと堀さんに向かって尋ねる。内容が多岐にわたる議論を冷静に把握しているのは、何と言っても高橋さんと堀さんである。

「なかなか大変ではありますね」

 ノートに書きつけをしていた手をいったん止めると、堀さんは私に向き直った。「シャムは日本と同じように、昔から王が治めている国ではありますが、王族や官僚の力の持ち方、そして国民の根底に流れる考え方や文化は、やはり日本とは違います。そのあたり、金子閣下のご意見を伺いながら作業をしています」

「まさかこの年になって憲法の草案をまた作るとは、思ってもみませんでしたね」

 私と堀さんのやり取りを聞きつけた金子さんが、こちらを振り向くと笑顔で言う。恐らく、仕事柄得たシャムの国情が、金子さんの頭の中には全て入っているのだろう。

 と、

「あの、前内府殿下」

堀さんの隣に座っている高橋さんが、私に声を掛けた。

「私は、何をしたらいいのでしょうか?憲法については、私、そんなに詳しくはないですし、こうして議論の場にいても、争いの仲裁しかしていない気がして……」

「それでいいんです」

 若干不安そうな高橋さんに向かって私は断言した。「高橋さんは、この場にいてくださるだけで価値があります」

 実は、高橋さんにこの別邸にいてもらっているのは、議論の間に発生するであろう陸奥さんと巳代治さんの争いを止めてもらうためである。比較的自由に動ける梨花会の面々には、高橋さんの他にも西園寺さんと西郷さん、それから私の義父がいるけれど、彼ら3人は、争いが生じれば、争いを止めるのではなく面白がって観戦してしまう。それでは議論が進まないので、高橋さんに争いの仲裁役をしてもらうことにしたのだ。

 すると、

「ならば、食事をもう少し増やしていただけませんか」

高橋さんが哀願するように私に言う。

「ここの食事は非常においしいのですが、量が足りない。せめておかわりが1度だけではなく、5、6回できるようでないと……」

「高橋さん、医者としてそれはおすすめできません」

 私は高橋さんの要求を冷たく断った。

「?!な、なぜですか!私は、自宅では、食事のたびにおかわりを5、6度はして……」

「だから多すぎます」

 私は一言だけ言うと立ち上がる。そろそろ、ここにいる面々を診察する準備をしなければならない。診察カバンを持ち直した時、

「前内府殿下、堀君は素晴らしいですな」

突然、巳代治さんが私にこう言った。「はぁ」とだけ返事をした私に、

「我々の議論について行ける上に、適切な意見を述べて議論をまとめることもできる。最初、堀君を書記にと言われた時は、法律をかじったこともない軍人に、我々の書記役など務まるのかと疑問に思っていたのですが、蓋を開けてみれば、その優秀さを遺憾なく発揮しています。軍人のままにしておくのはもったいない。是非、法制局長官に推挙したいと思っております」

巳代治さんは口を極めて堀さんを褒め称える。法制局長官とは、内閣の下で法案や法制の審査・調査を行う部署の長官で、今の憲法では、内閣書記官長と同じく閣僚に列する。その職務の性格上、“憲法の番人”と呼ばれることもある法制局の長官に、あの法律にやかましい巳代治さんをもってして“推挙したい”と言わせるとは……。

(流石、“神様の傑作の1つ堀の頭脳”って言われる人だなぁ……)

 私がこう思った瞬間、

「そんなことよりね、殿下。早く診察していただけませんか?」

巳代治さんと私の間に、陸奥さんが割って入った。すると、

「むむ……その通りだ。我々の仕事のため、殿下の診察は必要不可欠……」

「そうじゃそうじゃ!前内府殿下、早く診察を!」

巳代治さんと伊藤さんが同時に言った。

(なんでそこ、3人とも意見が一致するんだよ……)

 そうツッコみたかったけれど、口にしたら、ややこしいことになるだろう。私は心の声を押し殺すと、無言で診察の準備を始めた。


 1931(昭和3)年5月15日金曜日午後3時40分、東京市京橋区築地4丁目にある浜離宮。

『ご体調はいかがですか、国王陛下?』

 浜離宮の中にある貴賓室。室内には、先月の16日に眼の手術を終えたシャム国王・ラーマ7世と兄が向かい合って座っている。私は兄に付き添い、一緒に貴賓室の中に入っていた。

『おかげさまで、視力はだんだん回復しています』

 兄の問いに、国王陛下は笑顔で答えた。『この離宮の庭園の様子も、だんだんと分かるようになってきまして、その美しさに心を打たれています。章子妃殿下のお顔も、はっきりと見えるようになって……』

 更に国王陛下が言葉を続けようとした刹那、猛烈な殺気が貴賓室の中に充満する。私の隣に座る大山さんが、国王陛下に鋭い視線を向けたのだ。

「お、大山さん、相手は国賓なんだし、事を荒立てちゃダメだよ」

「そうだ、大山大将。国王陛下は、まだ何も言っていないではないか」

 私と兄は小声で大山さんに注意したけれど、大山さんは澄ました顔で、

「万が一、国王陛下が梨花さまを狙う素振りを見せたら全力で守って欲しいと、若宮殿下からご依頼を受けておりますので」

と言う。かわいそうに、大山さんの殺気をまともに食らった国王陛下はガタガタと身体を震わせている。「大山さん、とにかく殺気は出さないで」と私が命じると、大山さんの身体から放たれていた殺気は一瞬で消え去り、国王陛下の身体の震えも止まった。

『私の臣下が、大変ご無礼を致しました』

『いえ……勘違いさせてしまうようなことを口にしてしまい、大変申し訳ありませんでした』

 私と国王陛下がフランス語で謝罪をし合うと、

『ところで章子、憲法草案の進捗はどうなっている?』

軽い咳ばらいをした兄が、私にフランス語で尋ねた。

『昨日の段階で、半分ぐらいまで完成しました』

 私は国王陛下に身体を向けるとこう答える。

『おお、それは素晴らしい……』

『憲法作りに関しては、手練れが揃っていますからね』

 感嘆する国王陛下に兄が微笑む。大日本帝国憲法の草案を作成したメンバーが加わっているだけではない。10年以上前、オスマン帝国の建て直しに関わった大蔵大臣の浜口雄幸(おさち)さんも、仕事の合間に葉山に現れ、シャムの憲法草案作成を手伝っている。また、メンバーの1人である伊東巳代治さんは、かつて、清の憲法作成を指導した。錚々たる面々が、有栖川宮家の葉山別邸に集まって、シャムの憲法草案を作っているのだ。

『こんなに早く、夢が叶うとは……』

 感激の面持ちで呟く国王陛下に、

『そうおっしゃるのは、まだ早いですよ』

兄は苦笑しながら言う。すると、

『そうでしたね』

国王陛下は神妙な顔つきになった。

『貴国のように、立憲君主制、そして健全な議会政治が成り立つためには、健全でほぼ同規模の与党と野党が必要。そして、議会政治の基盤となる国民が教育によって醸成されるまでは、元首たる国王は、議会政治の調停者として振る舞うことも必要とされる……』

『それはあくまで、我が国での場合ではありますが、貴国の状況を考えると、国王陛下には、その覚悟を持っていただく方がよろしいかと思います』

 国王陛下の長い言葉に兄が注釈を入れると、国王陛下は大きなため息をついた。

『できるかな、そのようなことが……。有力な王族や官僚たちには“頼りない”と言われているこの私が……』

『だからこそ、国王陛下御自らが、“国を変える”という姿勢をお示しになることが必要なのです』

 弱音を吐く国王陛下に、大山さんがフランス語で力強く言った。『王族が国費の無駄遣いを止めれば、政府の財政は健全となりましょう。官僚たちの根底にある王族への反発も、多少は和らぐのではないでしょうか』

 実は、シャムの国家予算は赤字が多い。これは先代の国王の時代から続く宮殿造営や、王族たちの豪華な生活に起因するものだ。そのことにラーマ7世も気づいてはいるけれど、豪華な生活を手放したくない王族たちの反対により、国家予算の赤字が減らせておらず、官僚たちの反発を招いている……それが院の掴んだ情報だった。

『国王陛下、国の頂点にいる人が姿勢を示さないと、その下にいる人たちは動きませんよ』

 大山さんの言葉に続いて、私はこう言ってみた。

『関東大震災の時、兄は皇族と宮内省の役人にかかる年間予算の3分の2を、震災復興の応急処置に使うようにと政府に下賜しました。それで、復興に携わる人々の士気が上がりましたし、皇族たちも“これは他人事ではない”という意識になって、積極的に各地を慰問してくれたのです』

「おい、梨花。あれは当たり前のことをしただけだぞ」

 フランス語で力説する私に、兄が少し恥ずかしそうにしながら日本語で囁いた。

「は?事実を言ったらいけないの?それはないでしょ」

「いや、だからな。今の文脈だと、俺の自慢話になってしまうだろう。ここは、中国の古典あたりから例を引いてな……」

「そんなの、私にできるわけないでしょ?!私、漢文が苦手なんだから!」

 小声で私と兄が言い争っていると、クスクスと笑い声が響く。振り返ると、国王陛下が私たちを見ながら、楽しそうに笑っていた。私たちに見られているのに気が付くと、国王陛下は慌てて笑い声を収め、『失礼しました』と謝罪した。

『上皇陛下と妃殿下が、あまりにも息が合っていらっしゃるので。……しかし、そうですね。私も、国を変える覚悟を持たなくてはならない。どんな困難に見舞われようとも、国民の幸せのために、国を変える覚悟を』

 そう言った国王陛下は、

『何と申し上げて良いのかよく分かりませんが、上皇陛下と妃殿下には、強い絆を感じます。兄と妹のそれとも、夫と妻のそれとも、主君と臣下のそれとも違う、強い絆を……』

と更に続ける。私が『はぁ』としか返せなかった一方、兄は、

『この妹とは、小さい頃から私が結婚するまで、一緒の家で育ちました。きょうだいたちの中では、一番仲がいい。それゆえに……かもしれません』

とフランス語で返答すると、私の頭を撫でる。「あのさ、私、子供じゃないのよ」と私が兄に抗議すると、

「上皇陛下、そろそろお時間です」

懐中時計の盤面を見た大山さんが兄に告げた。

『もう帰らなければなりません。それでは国王陛下、また“見舞い”に参ります。お大事になさってください』

 杖を使いながら椅子から立ち上がると、兄は国王陛下に別れの挨拶をする。

『はい。またいらっしゃるまで、私も色々と、己を見つめ直します』

 国王陛下は兄に笑顔で挨拶した。


 それからも、私の葉山別邸への往診は続いた。

 基本的に、毎週水曜日には、宮中で枢密院会議が開かれる。葉山別邸に集まっている何人かは、枢密院会議に出席するために、毎週水曜日の朝に上京していた。東京と葉山の往復に疲れて体調を崩す人が出ないか心配だったけれど、彼らは最後まで元気に草案作りを続けた。

 また、往診の際にチェックした憲法草案の進捗を、ラーマ7世に報告するのも私の仕事だった。その報告の際には兄と大山さんが必ず同行し、国王陛下に話をする。更に、国王陛下のところには、立憲改進党の党首で内閣総理大臣の桂さん、立憲自由党の総裁である原さん、そして立憲改進党に所属する衆議院議員で農商務大臣を務める町田忠治さんと、立憲自由党の幹事長である横田千之助さんなどが訪れ、日本の議会政治の実際を話す。国王陛下に療養する暇があったか怪しかったけれど、国王陛下の視力は順調に回復し、7月上旬に日本を出発して帰国することになった。

 1931(昭和3)年7月4日土曜日午後2時、新橋駅。

『盛大なお見送りをいただき、感謝します』

 新橋駅にはお上をはじめ、私や栽仁(たねひと)殿下などの皇族や大勢の政府高官たちが、ラーマ7世とラムパイパンニー王妃の見送りに詰めかけている。新橋駅の構内から溢れそうになっている見送りの人々に対して、国王陛下は丁寧にお礼を言った。

『日本はいかがでしたか』

 お上のフランス語での問いに、

『とても素晴らしい国です』

と国王陛下は即答する。

『この国の進歩した医療によって、私の目は光を取り戻しました。更に、皆様方の心のこもった()()()()()によって、視界が開けました。……浅学菲才な身ゆえ、どこまでできるか分かりませんが、シャムに帰ったら、国のために力を尽くそうと考えています』

『きっと、国王陛下ならおできになります。大丈夫ですよ』

『ありがとうございます。……いつか、天皇陛下にも訪れていただけるよう、我が国をより良い国にしたいです』

 お上と会話を交わしていた国王陛下に、侍従の1人が囁く。どうやら、特別列車が出発する時間が迫っているようだ。

『それでは天皇陛下、ここでおさらばです。貴国のますますのご発展を祈ります。もっとも、陛下のご聡明な叔母上がいらっしゃる限り、貴国は安泰でしょうが』

『ありがとうございます。僕も、貴国のますますのご発展を祈ります』

 挨拶を交わすと、お上と国王陛下は固く握手する。そして、王妃とともに特別列車に乗り込んだラーマ7世は、集まった見送りの人々に手を振り、特別列車で新橋駅を後にした。

「ふう……」

 特別列車が見えなくなると、私は大きなため息をついた。周りに誰もいなかったら、あくびをしてその辺に寝転がっていたかもしれない。

「だいぶ疲れてるね」

 そう言って微笑んだ夫に「そりゃそうよ」と私は答えると唇を尖らせた。

「だって、国王陛下が日本に来てから、毎週東京と葉山を往復して、国王陛下にも草案の進捗を報告して……ついでに、前世の私が生まれたころのコメ不足に備えて、品種改良して、タイでも育つようなジャポニカ米を作って欲しいって国王陛下に頼んでさ。もちろん、その間に軍医学校の仕事もしないといけなかったから、私、疲れちゃって……」

「そうだったね。お疲れ様」

 私の愚痴を受け止めると、栽仁殿下は私の頭をそっと撫でる。そして、

「せっかくだから、お休みを取って、どこかに出かけたら?例えば、舞子の別邸に泊まって、姫路城に行くとかさ」

私にこう提案した。

「舞子……姫路城……いいわねぇ、それ!」

 たちまち元気を取り戻した私は、夫の手を掴んだ。

「そうよね、こんなに働いたんだもん。言い争う陸奥さんと巳代治さんをなだめたり、憲法草案に対する意見を言わないといけなかったり、国王陛下にいろんな話をしたり、本当に大変だったんだから、1週間ぐらいお休みを取って、旅行してもいいわよね。よーし、早速勤務を調整して、早ければ明日には東京を出発して……」

 私がバラ色の未来に心を躍らせた時、

「前内府殿下」

いつの間にか私のそばに来ていた鈴木侍従長が私を呼んだ。

「ご歓談中、大変申し訳ないのですが、天皇陛下が、シャムの憲法草案について、来週の月曜日に話を聞きたいと仰せです」

 鈴木侍従長の言葉に、私は「へ?」と間抜けな返事をしてしまった。

「“きっと話が長くなるだろうから、火曜と水曜も時間を作って欲しい”とも陛下はおっしゃっておいででして……」

「~~~っ?!」

 鈴木侍従長の淡々とした声に、私は思わず天を仰いだ。これでは、せっかくの休暇の計画が、全て台無しである。

「やっぱり、“いれば日本は安泰”と言われる人は忙しいね」

 栽仁殿下がクスっと笑う。「諦めないといけないよ。お召しなんだから」

「うう……で、でも、この夏は、絶対どこかのお城を見学するわ。じゃないと、私、もう限界なんだから!」

 私が駄々っ子のように叫ぶと、「はいはい」と応じながら、夫がまた頭を撫でる。

「相変わらずですな……」

 鈴木侍従長の呟きが聞こえた気がするけれど、私はとりあえず無視することにした。

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なんて贅沢な是清の使い方なんだ…… 後ひっそりとタイ米騒動フラグを折りに行ってるのワロタ。
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